第2話 青龍団現る
「はぁ!」
アランはバンダナの男たちの元へ走った。
その時、手の紋章が光った。
「私も行くわよ!」
リサはもう一人の男の方へ走った。
リサの紋章も同様に赤く光った。
「へっ、ガキめ!!」
バンダナの男は剣を振った。
ガキン!!
アランの剣とバンダナの男の剣がぶつかり合った。
「いくぜ」
アランは後ろへ回避し、またしても走り出した。
「な、はやい!?」
アランは男の懐へ潜り込んだ。
隣では燃え盛る剣を持ったリサが敵に斬りかかっていた。
「はぁ!!」
アランとリサが同じタイミングで声を出した。
その直後、二人は同時に男たちの腹をズバッと切り裂いた。
「ぐぁぁ!」
バンダナの男たちは倒れた。
「やったわね!」
「あぁ、厳しい修行をした甲斐があるな!」
(厳しい修行か…あの日々を思い出すな)
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5年前…
「ほらほら、どうしたの!?」
人気のない道場から声が聞こえる。
そこには竹刀を突きつけるリサと、尻餅をついているアランがいた。
「痛ってえよ!」
バシッ!
リサが竹刀で床を叩いた。
「ひょえ!?」
「あんたね、男のくせにそんなんで弱音吐いてるんじゃないわよ!!」
「…んなこと言われたって」
「口答えしない!!」
リサはまた地面を叩いた。
「うっ…わかったよ…」
アランは竹刀を持ち、立ち上がった。
「それでいいのよ」
「とりゃぁぁあ!!」
アランが走り始めた。
すると、一瞬手の甲が光り、手に黄色い紋章が現れた。
「!?」
「うぉぉ!!」
スパァン!!
「…いったぁぁあ!!!」
アランは竹刀でリサの頭を思いっきり殴った。
「やった!!」
(こいつ、急に早くなった…それにあの手の甲のやつは何?)
「アラン、ちょっと手見して!」
リサは力強くアランの手を引いた。
「イテッ!」
「これ…母さんのと似てる」
「え?」
「凄いわ!アランも紋章が出来るなんて!!」
「な、何のこと?」
「これよ、手の甲の」
「なにこれ!?」
「気づいてなかったんかい!」
「…てかこれ父さんのと同じだ」
アランは手の甲を見つめながらいった。
その時のアランの顔は、好奇心溢れていた。
「そーなの!?いいわね…」
「俺にもできたんだからリサにもできるって!」
「…そうね、やりましょう!!」
リサとアランはまた竹刀を持った。
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「はぁぁ!!」
リサが竹刀を振ろうとした時だった。
リサの手には赤い紋章が現れた。
「とりゃぁぁあ!!」
リサが力を入れると、竹刀から炎が出始めた。
「ぎゃぁぁあ!!あぶないよっ!!」
アランはギリギリで剣を避けた。
「…やった!!私も出来た!!」
「あの…俺の心配は?」
「やったわ!ありがとうアラン!!」
リサがアランに抱きついた。
(ブフォ!!)
アランの顔は赤く染まっていた。
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「あれは辛かった…何回殺されかけたか」
「別に殺そうとはしてないわよ、貴方が勝手に死にかけただけでしょ?」
(外道かよ!!)
そんなことを思っていると、
「あのー…」
後ろから女の人の声がした。
「?」
そこにいたのは茶髪のショートヘアーで、同い年くらいの女の子だった。
「あ、あの、その…救っていただいてありがとうございます!!」
少女は深々と頭を下げた。
「あ、えーと…」
アランとリサは顔を合わせた。
「だ、大丈夫よ、そんな頭まで下げなくても…」
「い、いえ!!町を救っていただいたんです、これくらいは当たり前です!」
少女の後ろから老人が歩いてきた。
「そうですじゃ、感謝しかないですじゃ。お礼に是非うちの宿へ来てくださいな」
「え、いいんですか!?」
「もちろんですよ」
少女がニコッと笑ってみせた。
(かわえぇぇぇ!!!)
アランの顔が少し赤らんだ。
「こらっ!」
リサはアランの耳を引っ張った。
「いててててて!!」
「女の子見て興奮してんじゃないの!!」
「別に興奮してねぇよ!!」
「嘘つけ!!」
そんな喧嘩をしていると、「ふふふ」と少女が笑った。
「お似合いですね」
「誰が!!」
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老人と少女に案内され、町でもかなり大きい建物に案内された。
「私、ユリーナっていいます。それで、このおじいちゃんが私の祖父のセマフです」
「よろしくね、ユリーナ。俺はアラン。それでこっちのちっせーのがリサ!」
「誰がちっせーのだ!!」
リサはアランの足を思い切り踏んだ。
「ぐぉぉぉお!!なにすんじゃ!!」
「あんたがちっせーのとか言うからでしょ」
「…本当のことじゃん」
アランはボソッと言った。
「なんか言った?」
リサが鬼の形相で言った。
「言ってません」
「よろしい」
「ふふ、ふふふ」
ユリーナは腹を抱えて笑いだした。
「本当にお二人って面白いですね」
「そうかな、ははは」
アランは苦笑いをしながら言った。
「そうかしらね」
リサも苦笑いをしながら言った。
「そうですよ、あ、ご飯の用意しますね!待っててください!」
ユリーナは台所へ走っていった。
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「それでセマフさん、さっきの青龍団って何なんですか?」
アランは真剣な面持ちで聞いた。
「…奴らは盗賊グループですじゃ。主にこの辺の村や町を襲ってるんですじゃ」
「盗賊グループね…」
「そして、奴ら青龍団以外にも、この辺にはもう一つ盗賊グループがあるんですじゃ。それが赤龍団というグループですじゃ」
「赤龍団?」
「青龍団のライバルのようなグループですじゃ。青龍団は氷、赤龍団は炎を操ると聞いたことがありますじゃ」
「氷と炎…いかにもライバルって感じね…」
リサは顎に手を当てながら言った。
「そういえば、お二人はどうしてこの町に?」
「…隣の村から旅をしてるんです。それでたまたま…」
「そうでしたか、それは大変ですな」
「はい」
「明日にはこの町を出たいんですが…隣町までどれ位とか分かりますかね?」
「うーん…ここからじゃとベティストリートが近いですじゃ」
「ベティストリートですか」
「北にまっすぐ進めばありますじゃ」
「へぇー、それじゃ明日はそこに向かうか」
アランはリサの方を向いて言った。
「そうね、それがいいわ」
「みなさーん、ご飯出来ましたよ!!」
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リビングに行くと、そこには豪華な料理が並んでいた。
「いただきまーす!!」
アランとリサはご飯を食べ、眠りに着いた。
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ドォォォン!!
その爆音は、町中に響き渡った。
「なんだなんだ…?」
眠りから覚めたばかりの人々が外の様子を伺っている。
「…なんだ?今の音」
アランは頭を掻きながら外を見た。
「…なんだ、あれ」
そこには、青い龍のマークのついた服を着ている男たちがいた。
どうやら青龍団とかいう盗賊グループのようだ。
「まずいな…」
アランは剣を背中にかけ、部屋を出た。
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一階の玄関にはリサがいた。
「アラン…」
「あぁ」
「次の町へはまだ行けそうにないわね」
「そうだな」
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「なんだね、君たちは」
「通りすがりの旅人です。あなた方は?」
「我らか?我らは青龍団だ」
「やっぱり…」
「そして私はこの青龍団のリーダー、ブルー・ワトソンだ!」
ヒゲを生やし、オールバックの男が言った。
「あんたがボスか…」
「アラン、やる?」
「もちろん…!」
アランとリサは剣を抜いた。
「ふん、ガキの遊びに付き合ってる暇は無いんだがな…よし、カルム、いくんだ」
「はい」
現れたのは、白髪で、右手の凍った同い年くらいの少年だった。
「なんで右手凍ってんだ!?」
「手の甲見て!」
手の甲を見ると、水色の紋章があった。
「あれも能力か…」
(青龍団は氷…あのおじいさんの言ってた通りだ)
「さぁ、やってしまえ!カルム!!」
「来るぞ…!」
「わかってるわよ!」
アランとリサは深く構えた。
投稿は不定期で行います。