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ぼくの詩集

生きているもの

作者: 桜井あんじ

生きてるものなんか

どこにもいない

ここには


見渡す限り 荒野 

世界の果てまで ずっと

時間はのろのろと

蝸牛のように躄ってゆき

熱帯の熱い風が

地の表面を舐めて通り過ぎるだけ


生きてるものなんか

どこにも いない


夜ともなれば また月が登る

空っぽの世界を照らすために

粉々に飛び散った希望が

空に昇り 星になって 瞬いている


生きてるものなんか

どこにも いない


ここにいるのは

死にかけた 生きそびれた 中途半端な なにか達

まだ 息をしている

生きてなんかいないくせに


ごほごほと 病気の咳をしながら

よろよろと よろめきながら

何も見ちゃいない瞳を 瞬かせながら

ぼろぼろに なりながら

それでもまだ 息をしている

生きてなんかいないくせに


生きているものは

どこだ


きらきらしたもの

ぴかぴかしたもの

ほかほかしたもの

瑞々しいもの

うつくしいもの


血の通うものは どこだ


それらは どこへ消えた

ぼくは会いたいのに

いきている ものたちに


ああだけど

こうして 陽の光の元に ただ黙って座っていると

むうむくと

生きているものたちが また

そんな気も するのです

このぼくの 死んだ世界に

生きているものたちが また

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