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白の童話騎士  作者: アースウェル
カエルの王さまと鉄の帯
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悪戯ニャンコ

 時雨を抱えていると、短いファンファーレが頭の中で鳴り響いた。


「これでようやく僕も魔法使い、か」


 恐らく風魔法でも増えたのだろう。

 隠し切れない期待を口笛にしつつ、ステータスを見る。

 するとこれまで空欄だったスキルの欄に新しいものが増えていた。


〇魔法才能

 効果

 『魔力感知(マギセンサー)』/消費MP0 カテゴリ/アクティブ

 魔力を五感で感知できる。

 『魔力操作(マギコントロール)』/消費MP0 カテゴリ/アクティブ

 魔力を操作できる。


 うん?予想とは斜め下な感じのスキルだな。

 この様子だとあの風魔法(仮)は使えなさそうだな。


 何はともあれ狼共が今回の目的に沿う物なのかどうなのか。

 魔法の事は帰り道にでも考えよう。


「なぁ?この狼の肉って美味しいのか?」


「あ、ああ。ホーンラビットとまでは言えないが、味がしつこくなくて人気だぞ」


「そうか。ならいい。---『空間創造ディメンションクリエイト』---じゃあ案内頼む」


 何と狼の肉は美味しいらしい。名前しか分かんなかったけど他にも何かスキルあったかね?次はゆっくり狩ろう。

 

 そんなことを考えているとサリーが話しかけてきた。


「急にこんなことを聞くのは失礼かもしれませんが、あなたは魔法使いなのですか?」


「うん?」


 どう答えたらいいだろうか?

 心当たりがあるとすれば、『アイテムボックス』だが、あれはちょっと違う気がする。

 少なくとも自分はそう思ってないし、違うって言っとくか。


「いや、違うぞ。ただ便利そうなのは少しずつ齧ってる程度だよ。

どうしたんだ?急に?」


「いえ。ただの好奇心です。お気になさらず。

では行きましょうか。」


 サリーは踵を返すと町に向かって歩き始めた。

 それに姫様が続き、最後に昼寝を始めたフレイと時雨を乗せたスノウと煙管を吹かせた僕が追いかける。


「姫様」


「ああ。彼で決まり(・・・)だな」


 そんな会話が前方の二人の間で交わされていたことは、僕たちは知る由もなかった。


☆・☆・☆・☆・☆

 外壁について3時間。

 僕たちは馬車に乗って移動していた。豪華な装飾の大きな馬車で、スノウも中で眠っている。


「なあ。これから行くところはどんなところなんだ?」


「うむ。とても立派なつくりをした建物でな。客の対応もしっかりしている」


「おまけに防犯方面もしっかりしていて、ご飯も美味しいですよ」


「よくそんなところの宿が空いてるものだな」


「結構な穴場だからな」


 そう言葉を返して姫様は銀色の腰まで伸びる髪を払う。

 他の人達は御者をしている付き人さん以外みんな眠っている。

 丸まっている時雨を掴みあげてみるともこもこぬくぬくだった。新触感!

 そのまま時雨を弄っていると、姫様が羨ましそうにちらちら視線を向けてきている・・・。


「・・・触りたいのか?」


「!な、な、なにをいっておりゅのだ!お前はぁ!」


「・・・」


「はうぅ・・・」


 まさかこんな反応が来るとは・・・。面白いなこの人。


 恥ずかしそうに赤面している姫様の膝の上に時雨を置くと、姫様は時雨の白い毛皮に顔を埋めた。


「そういえば」


「ん?」


「なんで君はそれを被っているのだ?」


 しばらく馬車に揺れていると姫様が赤い顔を誤魔化すようにそう聞いてきた。

 そういやずっとこのフードコート被ったままだな。

 つけてても違和感なかったからずっとこのままだったな。


「別に理由なんてないぞ。ほら」


 そう言って僕がフードを取ると。


「・・・(ぽー)」


「・・・おーい?」


 姫様はさらに顔を赤くして林檎のようになった。

 暫く待っているとどうやら覚醒したようで、八ッと声を上げるとすごいスピードで顔を隠した。・・・いったい何なんだ。


 その直後馬車が止まり、扉から付き人さんが入ってきた。


「姫様。目的地に着きました」


「う、うむ!ご苦労だったサリー!」


「?なぜお顔が赤いので---そういうことですか。

お待たせしました。あなたもこちらに」


「ああ。ありがとう」


 急いで出て行った姫様に、微笑ましいものを見るような付き人さんを追いかけると---一瞬息が詰まった。


「おい、ちょっと、これってまさか---」


 目の前にあるのは---ずらりと並ぶメイド(・・・)騎士(・・)。視界の端に映る山ほどの高級と思われる食材(・・・・・・・・・)。どこまでも白い壁の立派なお城(・・)


「王城に連れてきたのか・・・。この銀髪王女・・・」


 どっからどう見ても庶民の僕をここまで連れてくるとは・・・。


 やっと調子を取り戻した王女は、にっこりと笑って振り返る。


「ようこそ『フロッキン城』へ!歓迎するぞ客人にして我が助っ人(・・・)よ!」


 ・・・どうやらまたまた面倒事にぶち当たったらしい。

 そう考え僕は目の前のクリスティーナ(悪戯ニャンコ)に苦笑を向けた。

眠い!そんだけ!

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