捜索
「なに!フレイがいない!?」
「はい、村のどこにも」
コボルドの殲滅を終えた後の北門。
僕はマリルと話していた。
いつもマイペースな彼女の声も緊張感が滲んでいる。
「先ほどのコボルドの群にはセンチネルが混ざっていたそうです。でもまだコボルドロードの死体は見つかっていません。今森にはコボルドロードがいるかもしれないんです」
「で、その森の中にフレイがいる、と」
転移直後フレイと会ったのは森でもかなり浅いところだった。だからモンスターはそうおらず、彼女は大丈夫だったのだろう。
だが今は違う。コボルドたちは村に攻撃出来るまで近くにいたのだ。モンスターに遭遇していてもおかしくはない。
「現在シーフの方々が彼女を捜索中です。ですがまだ見つかっておりません」
「まだ探していない方角は?」
「真北の方角です。他は別の冒険者が」
「そうですか。では僕は北に真っ直ぐ進みます」
「はい。了解しました。発見しだい。保護をお願いします」
「では、行ってきます!」
そう言って僕は森に突っ込み、真っ直ぐ北に向かって走り出した。
木の根は跳び、モンスターは避けて、ただただ駆ける。
せっかく今回の襲撃は犠牲者0で押さえられているのだ。それが一人の少女の犠牲でけちがつくなど誰も納得出来ない。
それに、彼女とは約束しているのだ。
『そうだフレイ!明日は一日中一緒に遊ぼう!』
自らした約束を破るなど、そんなのごめんだ。僕の趣味じゃない。
「待ってろ。フレイ」
もうすぐ日が沈み、魔物の跋扈する夜になる。
親しい女の子の笑顔を想いながら、僕は走り続けた。
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