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白の童話騎士  作者: アースウェル
赤ずきんと断罪の銃
19/57

フレイ

『いつも』と変わらない森。『いつも』と変わらない空。

その中に1つだけ、『いつも』と違うもの(・・)があった。


 ---あれはなんだろう?---


そう思ったけど、その目の前にいる熊を見て、また『いつも(・・・)』に戻るのだと落胆した。

興味を失い、その場を離れようとした。

その直後大地に衝撃が走った。


 ---ああ、また『いつも(・・・)』に戻ったのか---


振り返ってはならない。見ては必ず後悔する。

頭ではそう分かっていても、『いつも』を変えてくれるかもしれない。その期待に、その希望に抗うことは出来なかった。

そうして振り返った先には---


 ---ズズゥゥゥンッッッ!!!---


---『いつも』を変えてくれる()がいた。

わくわくに胸が踊った。涙で目が曇った。

その人はまだそこにいる。『いつも』から私を救い出してくれる。そんな可能性が今ここに・・・!

感情を落ち着かせ、その人に声をかける。


『ねぇ、あなたはだぁれ?』


---押さえきれない好奇心を胸に


☆・☆・☆・☆・☆

「けど・・・あのおにぃちゃんもうでていっちゃうんだよね・・・」


この村の皆は私を肯定してくれる。

だが、逆に言えば肯定しかしない(・・・・・・・)のだ。

それに遊ぼうとしても、どこの誰でも『恐れ多い』と構ってはもらえなかった。

でもムツラは違う。


---あんな風に私を叱ってくれる人はいなかった!

---あんな風に私と遊んでくれる人はいなかった!

---あんな風に私に構ってくれる人はいなかった!


・・・けれど、それももうおしまいなのだろう。また明後日から『いつも』に戻るのだ。そしてこの村で終わりのない『いつも』を延々と繰り返すのだろう。


「せめて、なにかおもいででもつくりたいなぁ・・・」


せめて瞬くような間でも夢を見せてくれたのだから。そうだ、花飾りなんてどうだろう?北の森にはキレイな花もあったはず。

そう思い私は門を出て、北の森に足を踏み入れた。


 ---『ヤット、コノトキガキタカ・・・』---


---その中に潜む獣に気付かずに。


ホラゲーでありそうな展開ですよね。

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