やくそく
万年筆をフレイから貰った次の日
「そろそろここを離れるか」
僕はこの村を出る決心をつけた。
何だかんだ長居してるけど、この村の文化は独立しているみたいで、魔法等の情報が少なすぎる。コレじゃ元の世界に戻る手がかりもなんもあったもんじゃない。
「まあ元の世界に未練があるって訳じゃないけどな」
そうと決まれば路金を稼ぐために一発デカイクエスト受けないといけないな。
「あれ?ムツラくんこの村出ていくの?」
少し残念そうにそう言った彼女は、『妖精の庭』の女将の娘のクルマ。
10歳と聞いてはいるが僕より背は高く、胸は控えm「何か失礼なこと考えてない?」・・・モデル体系をしている。
女って自分の話にすごい敏感だよね。咲と同じ殺意が・・・。
「おにぃちゃんでってっちゃうの?」
「なんだかんだ長居しちゃったしな」
フレイは普通にさみしそうに涙目になりながらそう言った。
こういう素直な反応が純粋な子供のいいところだな。
「巫女さまもそう言ってる事だしもうちょっといたら?」
「いや。ここにも結構な期間タダで泊めて貰ってるんだ。我が儘は言えんな」
いくら未成年でも気にしないといけないよな。金のことは。
そのあと数回言葉を交わし、朝食を食べ終わると僕とフレイはギルドに向かった。
☆・☆・☆・☆・☆
「こんちゃー」
「こんにちはー」
『おい!ムツラさんが来たぞ!』
『なにぃ!『血被り』さんが!?』
『テメェらも挨拶しやがれ!』
『『『コンチャースッ!!!』』』
・・・いつからギルドは暴走族の溜まり場に成り下がりやがったんでしょうか。新人さんたちも端っこの方はビクビク僕に対して怯えています。おのれ・・・物騒な通り名のせいでっ!
「なんとなくだけど・・・いまおにぃちゃんがかんがえてることっておにぃちゃんのせいだとおもう・・・」
フレイがジト目でそう言ってるけど気にしない。
ビクビク震えている中少年達を無視してマリルのもとに向かう。
「よう」
「はぁい。こんにちはぁ」
いつ会ってもマリルの雰囲気は変わらない。
「『血被り煙管』さんは今日はどんなクエストをご所望ですかぁ?」
会話にちょっとした皮肉が混ざったけどネ。天然ぽいけど。
少し動揺したけど、用件をこなそうか。
「そろそろこの村を離れようと思ってな。金をたんまりもらえるクエストがいい」
「そこまで稼いでおいてまだ足りないんですかぁ?」
「いくらあっても困んないしな」
「それもそうですねぇ。それでは『コボルド殲滅』はどうですか?報酬は50万ゴールドですぅ」
コボルド・・・確かオークの狼バージョンみたいなモンスターだったな。ランクはゴブリンエースと同じDランク。戦闘時は常に5体以上のパーティで標的を追い詰める厄介な奴だ。
それでも僕にとっては有象無象に過ぎない。受けて損はないだろう。
「分かったそれを受けよう。」
「分かりましたぁ♪場所は南の森の洞窟でぇす!あなたなら大丈夫でしょうけど気をつけて行ってくださいねぇ!」
「ああ。行ってくる」
僕は依頼書を握り絞め、村の南の門に向かった。
☆・☆・☆・☆・☆
「フレイー?そろそろ離れてくれないかな?」
「いやー!」
困った。フレイがぐずり始めた。今日話したのは失策だったか。小さい子が涙目になってる光景は胸が痛くなる。
とはいってもこのままいけないのも考え事だ。何とか説得しなければ!
「そうだフレイ!明日は一日中一緒に遊ぼう!」
「ふぇ?」
よし!効いてる!これで押し切る!
「ほんとに?」
「ああ!」
「なんでも?」
「ああ!」
「・・・やくそくだよ?」
「分かった!じゃあまた明日な!」
「うん!」
計画通り・・・!
こうして僕は笑顔のフレイと門の近くで別れた。
フラグ一本入りまーす!




