第3話
大変お待たせしました。
ようやく更新です。短いですが。
「………………」
「………………」
どうしてこうなった。
目の前には川、木、そして裸の女の子。
おそらく勘違いされているだろう。オレの容姿だ。
万が一していなかったとしてもこの空気が変わる訳じゃないが。
まぁ、この程度の状況なら前世から継続してきた鍛錬により研ぎ澄まされた我が精神にとってはとるに足らないことだ。
この場合変に態度をかえたりするのはまずい。というわけで気にしないのが最良だろう。
そうなると重要なのが第一声。
あくまで別に覗いてた訳じゃないよー、裸をみても何も思ってないよー、と気にしていないという風にあくまでも冷静に。
少しでも取り乱してはならない。
「あー、すまにゃい」
「………………」
「………………」
しまった。外した。
断じて噛んだわけではないがこの空気はさっきよりも痛い。場を和ませようとしたのが仇となったか。
そう、これは場を和ませようとしてわざとやったんだ。
だが、相手は何も反応を示さなかった。
つまりオレの選択が間違ってたわけではなく、相手側に問題があったんだ。
大事な事だからもう一回言っておこう、断じて、噛んだわけではない。
気を取り直して、もう一度。
「すまないが、ここはどこだろうか?犬を追いかけていたら迷ってしまってな」
「…………迷子?」
そうだよ。
オレのプライドがガリガリ削られていくがしょうがない。
今のオレにそんなことを気にする余裕なんてないのさ。
主に空腹のせいでな!
「ああ、恥ずかしながら迷子だ」
「…………大丈夫?お腹……減ってない……?」
やばい、感動した。
なんて優しき御仁であられるか。
随分と心が広い。この世の中でこんなに暖かい心を持ったやつは久しぶりだ。
ご飯をくれるやつに悪いやつはいない。
オレはそういう教えの所で育った。
もちろんオレもそう思っている。
オレの故郷、南蛮と呼ばれてる場所では食事も一苦労なのだ。なにも狩れずに、食べないなんてこともよくある。
それに問題なのが南蛮出身というだけで場所によるが迫害されるのだ。
オレたちの特徴的な耳と尻尾を見られようものなら食べ物はもちろん、本に玩具、高くなるが薬なども売ってはくれない。それだけならまだいいが隣接地なんて石を投げられる。
そんな中だ。こういう人に会えるだけで嬉しくなるのも仕方ないだろう。
「まぁな……ありがとう」
差し出してくれていた握り飯を貰う。
……うまいなぁ。
†
「オレは、祝融。字はない……真名は音々《おとね》だ。是非貰ってくれ」
空腹も紛れた所で自己紹介。
この人は命の恩人だ。
真名を渡すことにより誠意を見せる。
なに、社会人として大切なことさ。
「……恋……名は……呂布……字は、奉先……」
ん……?
りょふ……。りょふ?リョフ、良夫
って――
「呂布!?」
「……音々って…………女の子?」
主人公の名前と性別が判明しました。