あとがき2
皆さま、このような場所までありがとうございます。
この物語は無事に終わりました。1年前に危惧してた「無事に終わるといいな」という私の願望は、皆さまの温かなご助力のおかげで、見事に! ……とまでは言えないかもしれませんが無事に終りました。改めてお礼を申し上げます、ありがとうございました。
これだけ書くとちょっと寂しいので「あとがき2」に変えて、いくつかの裏話的なものを、少しだけ。 この作品が出来上がった経緯や理由やエピソードなどを書き記しておこうと思います。
この作品の原案を想いつたのは結構前でした。もう6年も7年も前、いやもうちょっと前でしたでしょうか。
私は物語を組み上げる時、ラストシーンを先に思い浮かべます。そこに物語のテーマがあるように思えるからです。そして物語を思いつくのは、たいてい夢で見た情景からだったりします。
ある時、疲れていつもより早く布団に包まっていた時、読書をしながらそのまま寝入ってしまいました。そんな寝方をすると寝苦しく、暑苦しく、また寒さなどで身をよじり眠りが浅くなります。またいろいろと思い悩むところがあった頃です、そういった理由も眠りを浅くします。そしてそのような時はよく「悪夢」を見ます。その中でこの作品の元になったイメージを見ました。
主人公たる自分は、なんだか不思議なロボットに乗って、泣き叫びながら殴り合いをかましていました。炎と血とオイルと粘液にまみれており、泣いている女の子を背負って、血だるま火だるまになって燃え尽きようとしている、まあそんな夢です。
私は「同じ状態」になると「同じ夢を見る」と言うことが良くあります。同じように体調が悪い時、そして同じような心配事に晒された時などで、私は良く「同じ夢」とか「夢の続き」を見るのです。場合によってはそれは1年後2年後に見ることもあります。大抵はろくでもない叫び声を上げて、脂汗でぬめる額をぬぐっての起床になりますが、夢ゆえの臨場感と言いますか、その3D映像映画を見たような感覚は「ああ、ちょっとスペクタクル、得したかも」と思わないでもないこともあるかもないかもしれません。どっちだ。
そしてこの、ロボットに乗って血まみれ炎上という夢は3度ほど見ました。
正直なところ、悩み事を前にして現実逃避的に睡眠直前まで読んでいた「バトルテック・栄光のグレイデス軍団」とか「聖刻1092・熱砂の貴公子」とか「聖刻軍龍伝」とか「鋼馬章伝」とか各種もろもろの冒険物語が原因だとは思うのですが、聖戦士ダンバインのOPとか、ザブングルのOPとか、妙なヒーリング曲とか民族音楽とかが原因だとかとも思うのですが、こうも何度も繋がった状況のものを見てしまうと「ねえ、この先、彼らはどうなるの? どうなっちゃうの」的な疑問も浮かんできます。しらんがな、お前の夢だろう。
そういう不完全燃焼な気持ちを抱いて私は日々を忙しく過ごしておりました。その合間にちょっと「夢ノート」ではないですが、いくつかのキーワードや覚え書き、シーンの描写をメモしておいたのです。そしてふとした時にそのメモを見たり、自転車に乗ったり、バイクに乗ったり、オープンカーで走ってたりと風を感じることがある時、ぼんやりとその自発的に浮かんできた物語の行く末や、そもそもの物語の発端などを夢想し、予想し、組み立てることをしてしまいます。運転は集中しようよ危ないよ。そうだね。で、そうしてひととおり自身に納得ができる筋道が立てられたら、その妄想に対する宿題は終わり、心が落ち着き、ひと仕事終えた気持ちで私の記憶の奥底にしまわれる訳です。そして霧散する日を待つのです。
いつも、そう過ごしていました。
忙しく慌ただしく、そしてやるべきことが多いい日常の中では「想いを整理」する時間を取るだけでも贅沢で、それができれば充分幸運。普通は不安な思いや中途半端な気持ちに封印をして、普通の生活を続けるために真剣に過ごし、そのうちに忘れ去るものです。当たり前のこと、大事なことは目の前にあります、現実をちゃんと直視しなければ生活を組み立てることは出来ません。
その頭の切り替えがちょっと鈍いと、他人から、友人から、家族から「ぼーっとしてる」「あ、またなんか変なこと考えてる」「お前を見ていると糸の切れた凧か風船のように、行き先が不安になる」とか言われることになります。まあ実害はそれだけで、もしくはちょっと社会的信用が失われるとか。職場でポカをやるとか。いいんです、放っておいてください。だから泣いたり不安になったりしないでください、頭の病院を勧めないでください。無理やり誰か保護者を探さないで。俺いくつだよ。
しかし今回は恵まれていました。整理したものを書き留める時間があり、そして発表する場があったからです。
そうして綴ってみました。
当初のメモ書きを見ると題名は「人形と武者」となっています、何が何だがさっぱりわからん、そんな物語です。そしてそんな物語のストックは、まあなんですか、戸棚から溢れるように存在する気もします。むしろやばい、雪崩が。
これは「ファンタジー」でした「冒険物語」でした「戦記」であり「SF」であり「娯楽作品」であると思って綴りました。そして隠しテーマでは「恋愛小説」でした。
そうです、これは一人のおっさんとひとりの少女の恋愛物語です。自分でまさか恋愛物語を書くことになろうとは当初思ってもみませんでした。でも、私がいままで書いてきた、書こうと思ってきた作品て基本全部コレだったかもしれません。ボーイミーツガールというか。還るべき場所というか。
大の男が、真面目な顔して、ロボットで恋愛小説。
正直マイナーニッチで書いていて倒れそうな作品でした。そんな作品に本当にお付き合いいただきありがとうございました。大丈夫でしたかこんな作品で。少しでも楽しんでいただけたのでしたらうれしく思います。最後にちょっと走り書きで残っていたエピソードを再編集する姑息な手を使い「おまけ2」として記載してみました。
完結マークを付けますが、今後ももしかしたら思いついた小エピソードを書き足すかもしれません。思いつき、時間があればですけれど。
またね。