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海に降る雨  作者: 美斑 寧子
本編
132/152

132.演出家、ミリアムの策略

 人々の注目の中、そのリムジンから真っ先に降り立ったのは、金色のドレスを着た、ハーズバーグ男爵夫人、ミリアムだった。

 蜂蜜色のブロンドを高く結い上げた頭の天辺に真っ赤な紗のリボンを幾重にも重ねて束ねた髪飾りを載せている。照明を受けてきらきら光る金の髪の中に赤い髪飾りがアクセントとなり、互いに映えて眩いほどだ。

 そんなミリアムが身につけているドレスはといえば、これまた凝った作りでそこにいた誰もが目を(みは)った。

 まるで和紙のようなシャンパンゴールドの硬い布地を折り畳み、複雑な襞をよせては留めるを繰り返して身体を覆っているドレスに、東洋風の幅広帯を締めたミリアムはそのふっくらとした外見と相まって、まるでどこか異国の王族のように見えた。またその幅広帯には、深紅の絹糸で複雑な刺繍があしらわれ、威風堂々とした様子と相まって、どこかエキゾチックな雰囲気を醸し出すのに一役買っており、それを眺めていた人々に畏怖の念を抱かせるのに十分な効果を発揮したのだった。

 一方、当のミリアムは、微笑みながら周囲をぐるりと見回した。予め知らされていたとはいえ、なんと沢山の招待客が揃っていることだろう!!


(さあ、物見高い、ゴシップ好きな人達よ!メイン・イベントはこれからよ!存分に、眺めて、そしてその美しさを吹聴してちょうだい!私の自慢の親友であり、また可愛い妹であり、そしてなにより愛するお義姉(ねえ)さまである、リン・バクスターのね!)


ミリアムは自分の(しつら)えた舞台が、十二分に観客を呼んだことに満足して、微笑み、そしてたっぷり待った(待たせた)。目の前の物見高い人々を焦らして、今夜の主役であるリンへの期待を嫌が応にも亢進させるための策略であり、また、演出である。

 やがて、ミリアムの意地悪な焦らしに、人々の間からザワザワと不満のつぶやきが漏れ始める。


(今よ!)


 ミリアムはこれ以上ないくらいの絶妙なタイミングで、滑らかな動作でたった今、自分が降りた方向を振り返った。


(さあ、舞台は整ったわ!リン、頑張って!!)


心の中で熱いエールを送りながら、ミリアムはほんの少し、視線を背後のドアの中に向けた。ただそれだけでーーことは済んだ。その場にいた全員が、ゴクリと唾を呑む。

 もうすぐ、もうすぐあの、ディスカストス侯爵閣下の婚約者だという女性が現れるのだ!そこにいた全員が、息を詰めながら暗いリムジンの車内を見つめた。

短くて、ごめん!

しかも、また、リンを登場させることができませなんだ……゜゜(´O`)°゜。

続きは明日、アップします!

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