4月=日 ショッピングにて その2
高橋はMじゃあやません。
断じて。
「大体なによ!私よりも胸小さいくせにお兄ちゃんをどうやってたぶらかしたの!」
「胸だけで理くんが落とせると思ってるんなら永久に理くんはあなたのものにはならないわ!」
「僕のために争わないでぇっ!」
「お兄ちゃん(理くん)は黙ってて!!」
ごめんな。一生で一度は言ってみたかったんだ!
さて、どうやってこの修羅場を切り抜けるかな……おい高橋笑いすぎだ。
「は、腹痛え……笑い殺す気かよ」
よし、方針転換決定。この馬鹿に全部押し付ける。修羅場を笑うと酷い目に遭うと教えてやる!
「しかしはた目に見たら可愛い女の子が僕の奪い合いしてるんだからうらやましい状況ではあるよな。僕背も低くて男らしくないのにさ」
さあこれで引っ掛かるかなこれで上手く引っ掛かればあとは誘導していくだけで……
「アッハッハ!確かにお前背低いし男らしくないな。一歩間違えたら女子だぞ」
はい引っ掛かったー。て言うか速すぎるー。マジで欲しかった回答ですよー。こいつの残念な脳ミソに同情するわー。さてここでちょいと落ち込んだフリをしてやれば……
「……それはいくらなんでも酷くないか?……高橋」
「いーや!去年の文化祭が証明してるぜ。『お前ちっちゃくて女子みたいだな』って言われて襲われそうになってたじゃんか……思い出しただけで、フッ、プクク……」
「そ、そんな……やめて……」
おっしゃー。その言葉が欲しかったー。さてこれで……何ですか?
何?「去年の文化祭のそのエピソードを詳しく」?
別に何もありませんよ。去年の文化祭で女装させられて、勘違いした先輩に告白されて「男です」って言ったらさっきのセリフを言いながら襲われそうになりまして全力で逃げました次第です。
ちなみに高橋はこの時危ない気がするからって理由でついてきてました。
ヒカリから聞いたところによるとこの文化祭の後になぜか女子の間で「理くんに可愛い格好をさせる会」なんていう集まりもできたらしい……いったい誰が作ったんでしょうか。
話が脱線しまくりましたが要は「あの」セリフを高橋から引きずり出せればよかったのですよ(笑)
「それじゃそろそろ解決してくるか」
「え?出来んのかよ理?」
「まあ見てろって」
さあ二人のところに突撃ヤッホー!
「二人とも……」
「あんたの長所全て削ぎ落として二度とお兄ちゃんの前に立てなくしてやる!」
「理くんはどうなっても私のことを見てくれるわ、バイバイ二号さん」
ヤバい、かなり怖い。まあこれくらい頭に血が登ってないと意味がないが。冷静に考えられたらアウトだからな。
さあ読者の皆さん、僕が高橋とあんな他愛ない話なんて普通しませんよ。はい取り出しましたるケータイ。ボイスレコーダー機能つき。
迷わず再生ボタンプッシュ!
『……高橋』
『お前ちっちゃくて女子みたいだな』
『そ、そんな……やめて……』
あ、高橋の顔が青ざめてる。さてラストの詰みですな。ちょっと泣き真似しながら……
「僕は……もう……!」
お、二人からなんかスタンドみたいなのが出てる。目には怒りが溢れてますね~。いい感じに怒りの矛先が高橋に向きましたな。
高橋はすでに二人に背を向けてクラウチングスタートの体勢に。
あ、逃げた。
……て言うか無言で追いかけるヒカリと真が凄い怖い。
この計画冷静な時じゃできませんが人間頭に血が登ってるときに更なる怒りの種を目の前にだすとそのまま簡単にそっちに怒りの矛先を変えられるんですよね~。
「イヤアァァァ!!」
あ、見えなくなったけど角を曲がったところで高橋捕まったっぽい。
……あの二人の状態じゃ殺しかねないから弁解しに行ってあげましょうかね。
「ヒカリさん、お兄ちゃんに卑猥なことしたこのゴミはこうしたらどうでしょうか?」
「ちょ、真ちゃん誤解だ!俺は奴に……どこにそんなもの隠してたの君!?ヤメッ……アッ───!」
「そうね、真ちゃん。二度と理くんに卑猥なことできないようにそんなことするものを再起不能にしちゃいましょ」
「誤解だ!え、ヒカリちゃん?なにその鈍器!?アッ!それだけは!それだけは!男として生きていけなイギャバアァァ!!」
……急ごう。
皆さんも泥沼化に修羅場にならぬよう気をつけてくださいね。