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今日の理くん  作者: ルパソ酸性
三月編
3/15

3月○日 デートにて その①

理、調子に乗ります。高橋、調子に乗って裏目に出ます。作者、こき使われます。

                        ~3話め~


 皆さんこんにちは。理です。

 タイトルどおり、僕は今公園にいます。

 何でかって?

 デートですよ!デート!で・ぇ・と!


 なんですか?彼女がいちゃいけませんか?

 自分で言うのもアレですけど、僕そんなにもてないわけじゃないんですよ。僕みたいなのは彼女作っちゃいけないって言うんですか?

 え?なに?

「お前みたいなやつと付き合う彼女の気が知れない」

 って言いたいんですか?

 ……ふう、読者の方に僕の彼女の実物をお見せできないのは本当に残念です。

 いいですか、彼女の名前はヒカリちゃんです!さらっとした肩にかかるくらいの長さの黒髪!透き通るような瞳!美しく響く声!僕の心を掴んではなさないその表情!すべてにおいて僕の好みであり、ど直球ストライクなんです!

 ……付き合ってまだ数日ですが。しかしここで僕はやっと初デートに誘えたんですよ!皆さん!僕を祝福してください!

 

 そのとき僕が公園で「なんか変に悶えてる人」と見られていることに気づいていなかった。ああ恥ずかしい。


 さて、今回なぜ僕が皆様に話しかけているのかというと、僕は今回、ある失態を犯しているからです。 それは、

 何をどうすればいいのかわからないんです!

 デートに誘えたことに浮かれすぎて、何をしたらいいのか、何をしたらヒカリちゃんが喜ぶのかまったく見当がつかないんです!

 

 ああ!そんなことを言っている間にもう来ちゃいましたよ!

 とりあえずここからは地の文は作者にやってもらいます。僕の心の叫びが聞こえたらどうか祈ってください!

 

 どうか、僕のデートがうまくいくよう見守っていてください!

 それでは逝ってきます!

 

「おはよー理君。待った?」


「お、おはようぜんぜん待ってないよ、今来たところ」


 嘘である。

 ここから作者がやりましょう。

 前日から緊張のあまりほとんど寝れず、約束した時間の二時間前から待っていた。デートという生まれてはじめての経験に完全に緊張してしまっている。

 その挙句、何とか失敗したくない理は高橋にいろいろ教わっていた。


「いい感じだぞ理!」


「面白そう」という理由で高橋が自分を追跡していることに気づいてはいないが。


(えっと、高橋に聞いた一番初めに行くところは…!)


 緊張している理を見て、茂みにいた高橋も少し不安そうにつぶやく。


「落ち着いて思い出せ理!大丈夫だ!昨日しっかり教えたろ!」


 前日。


「いいか?デートについて簡単にまとめてやったからこれを思い出しながらデートしろ」


「高橋!ありがとう!」


「デートのときにやるべき優先順序で書いてある。1がダメなら2、2がダメなら3、って感じな。まずデートのはじめに行くところ」

理がメモ用紙を見る。

 

 一番最初に行くところは、

 

 1、食事に誘う。

 

 2、映画に誘う。

 

 3、彼女の行きたいところに行く。(君に任せるといわれたら1,2以外で何かを言う)※初デートでは家には呼ばないこと



「理君?どうしたの?」


「は!いや!あの、」


「もしかしてプランとか考えてある?」


「い、いや!別に考えてなんかいなかったりなんだりで!」


「…?あはは!いいよ、理君の好きなところ行こう?」


 その会話に高橋がガッツポーズをする。


「よし!悪い雰囲気じゃない。どこでも良いと言っているのであれば1か2だ!」

 

 しかしそのとき理は完全に頭が真っ白になっていた。

 

(やばい、やばいやばいやばい!昨日あんだけがんばってイメトレしてたのに完全に忘れちゃった!僕どうすれば!読者の皆さん僕を導いて!助けて!)

 

 そんなことを読者に言っても助けはこない。

「わかってるわ!」


「わっ!ど、どうしたの?」


「いやなんでもない」


 高橋も理が完全に頭が真っ白になっていることに気づいた。


(理、ヘマはするなよ)


そして理がついにきりだす。


「じ、じゃあさ、僕の家で料理でも食べながら映画見てヒカリちゃんの好きなところ行かない?」


「全部やるバカがどこにいるんだよ!」


 理の言葉に思いっきりツッコミをした高橋は、すぐさまヒカリの反応を見る。


「え?えっと……家に呼んでるのに好きなところ行こうって……」


 茂みで高橋がひっくり返る。

(理め……どうだ?やばいか?)


理は顔が真っ赤になっていて、もはや使い物にならなくなっている。


「ふふ、理君緊張してる?別にそんなに緊張しなくてもいいのに」


「あーその、じゃあ……エーと」

 理、グロッキー。

 こういう状態を世間では「役立たず」というのでしょう。


「私の好きな所でいいんだよね?」


「も、もちろん!」


「それならちょっと買い物付き合ってくれないかな?」


「あ、うん。いいよ」


 そのまま公園から出て行く二人を見ながら高橋は安堵しながら悩んでいた。


(俺としたことが……買い物なんかは教えてなかった!あいつアドリブで何とかできるのか?)


 嫌われてはいない様なので少し安心しながらも再び高橋は二人を追跡し始めた。

 ちなみに今のこの高橋の状態を世間では「ストーカー」もしくは「変質者」といいます。


 そのまま歩いて十分ほど


 二人とストーカー一人はデパートに着いた。

 理も歩いているうちに少し楽になったようで、普通に話せていた。


「ちょっと新しい服ほしかったんだ」


「へー……」


「試着してきてもいいかな」


「ああ、いいよどんどん着なよ」


女性服売り場でそんな会話をしているとき、

(よしがんばれよ!)


「きみ、ちょっと」


「何だよ今いいとこ……」


「ちょっと裏来てくれるかな」


「……ハイ」


 二人を影からこっそり見ていた高橋は不審者としてほかのお客さんから通報され、店員に連れて行かれた。

(理……どうやら俺はここまでだ……がんばれよ……ぐふっ!)

 

 理の助っ人およびストーカーはここで離脱。ここからは理の孤独な戦いに……

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