2月☆日 映画館にて
~2話め~
「カイロが欲しい・・・」
あ、どうも。理でございます。
今二月です。
誰がなんと言おうと二月です。
二月ですったら二月です。
読者の皆様の言いたい事はわかります。
「前話は3月じゃなかった?」・・・でしょう?
仕方ありません。このお話の仕様と言うか悲しい性とでも言うか・・・
作者はあくまで僕の行動を書いているだけ。
そりゃ時間軸多少ずれますよ。
思いつきで行動するとよくある事です。
どうせこのお話を作者が投稿した時は二月でも少し経ったらすぐに三月。あっという間に季節外れの話になりかねません。
こんな時に投稿しようってんだから作者は何を考えているのやら。
それはさておき、僕は今外にいます。
友達である高橋が映画の試写会のチケットを手に入れたので、一緒に行く事になったのです。
「全く~あいつはホントに困ったやつだな~『一人は寂しいから一緒にきてよ~』なんて泣きつかれたら断れないじゃんか~」
「おかしいな?てめえが泣いて『試写会連れて行ってくれないなら死ぬ』とかだだをこねてた気がするんだが気のせいか?」
理は一瞬で凍りついた。
そしてこれから起こる惨劇が脳裏に浮かんだ。
「いきなり後ろに現れるとか怖いわ!!」
「お前がわけわかんない独り言べらべらくっちゃべってるからいけねえんだろが!!」
読者の皆様、ここにいるこの鬼のような男でいながら影の薄さは入学早々端っこの席で本を読みふけっている生徒と同レベルという高橋です。
「誰に向かって喋ってるんだ?」
「読者」
「読者?何の?」
「大丈夫、問題ない。お前には分からない事だからな」
「そ、そうか」
「だから進行上いちいちお前がこれにツッコミ入れてると話が進まないわけよ」
「わ、わかった・・・スルーだな」
さて、高橋が黙ったところで今回見に行く映画ですが、「銀シャリウォーズエピソード2~寿司の復習~」という壮大な映画なんですよ。
一介の寿司職人だった主人公、アナゴ・スイカウォークマンが本物のシャリを求め宇宙へと旅立っていくのですが、このエピソード2では主人公が自分の未熟さを痛感し、一から寿司を学びなおす修行の回なんですね。
・・・なんですか。
何でこの話聞いて発売日にクソゲー買っちゃって後悔した目と同じ目してんですか。
いいじゃないですか。笑いあり涙ありの超大作なんですよ!?
「早く行かないと閉まっちまうぜ?」
「あ、ごめん高橋!」
映画館はものすごく混んでましたね。
いや、ほんとに。マジで。信じて。
試写会だからなんですがやはり人のテンションは高いですね。
早速席に行くとまあぎゅうぎゅうでしたけど何とか座れました。
もう上映する直前だったようで辺りが暗くなりました
「さすがにキャンセルしたりする人いないからきついな・・・」
「我慢しろよ理。見たかったんだからちょっとぐらい環境が悪くたって・・・」
そこまで高橋が喋ったときでした。僕は自分の目を疑いました。
アフロが、ひとりふたりさんにんよにんごにん・・・
五人もの立派なアフロメンが入ってきたんです!!
すごく・・・大きいです・・・
読者の方に見せてあげられないのが悔しい!!
あ、席探してますね・・・
『あ!!』
僕と高橋が声を上げたのはほぼ同時。直感しました、ここで大変なことに気づいてしまったと。しかも想像し得る最悪のシチュエーションを。
高橋も気づいたらしく僕を見て「どうしよう」といった感じの顔になりました。
僕も高橋も考えてることは同じです。
僕らの席の前・・・ちょうど五席空いてるんですよね・・・
くるなくるなくるなくるな・・・・・・
お願い来ないで・・・
僕らの前の席に・・・
・・
・・・
あー座っちゃった!!
チキショー見えない!!アフロがでかくて見えない!!
どいてくれよアフロレンジャー!!
何で五人も同じアフロしてんだよ!!
ああ・・・音声だけが聞こえる・・・見えるのは・・・もじゃもじゃだけ・・・
「シャリだけじゃ・・・寿司は出来ないんだ!」
アフロだけじゃ・・・なにもわからないんだ・・・
終わったあと、アフロメン達を呪い殺さんとばかりに睨みながらも僕らは映画館を後にしました。
「高橋・・・大丈夫か?」
「大丈夫だ・・・問題ない・・・」
『うわあああああ!!!』
僕らの悲痛な叫び声は冬の寒空によく響きました。
チケットだけじゃ・・・映画は見れないんだ!!