3月×日 コンビニにて
基本的に一話完結ですが登場人物は毎回理と高橋です。
時間が空いたときにちょろっと読んでみてください。
~1話め~
昼のコンビニ。ここに、変な高校生が一人、おにぎりの棚の前で友人の高橋を待たせて悶絶していました。
どうも皆さん初めまして。
理と申します。
今僕はコンビニにいます。皆さんもありますよね?コンビニでお弁当を買ったり、おにぎりを買ったり、今日髪形をかっこよくセットしたいのにワックスがないから買いに来たり。手軽にいろんなものが買えるいい場所です。
さて、こんな風に読者の皆さんに話しかけている僕に皆さんが言いたいことは良くわかります。
「そんないい場所で何しているの?」
でしょう?
…違う?
「何で話しかけられるのか?」
ですか?
それはお答えできません。こういった作品にした作者に直接聞いてください。
では、話を戻して。
僕はお分かりの通りコンビニにいます。
そして今ものすごくあせっています。
なぜなら、
そう、
「欲しいおにぎりが無い」んです!
学校の昼休みにちょっと外に出て、おにぎりでも買って昼飯にしようと思っていました。しかし、欲しい具のおにぎりが無いんです。
僕はおにぎりの時には必ず鮭とシーチキンマヨネーズにすると決めているので…
……なんですか、その
「じゃああきらめて別のおにぎり買えば?」
みたいに考えた目は?
いけません。僕、そこは譲れないんです。
なんか負けた気がしてきちゃうんで。
プライドあるんで。
しかし、今から別のコンビに行っていられるほど昼休みは長くない。
昼飯を食べる時間を考えるとあと五分。そこがデッドライン。
おにぎり一個では確実に午後の授業はおなかが空いてしまう。授業中におなかがなったりしたら、僕のあだ名は間違いなく「ハラヘリー理」になってしまう!
うわ、だせえ。
なんとしてもそれは避けなければなりません……!
だが読者の方に今この状況を打開してもらうのは不可能…。
「はっ!そうだ!」
無ければ作ればいいんだ!
ツナ缶とマヨネーズと、あと白いおにぎりを買えばちょうどツナマヨネーズになるじゃないか!
理はすぐに缶詰売り場へ走り出した。
すぐさま高橋が制服を引っ張り理を止める。
「ちょっと待った。それはだめだ」
じたばたする理はそれでも缶詰を買おうとする。
「何でとめるんだ!僕はただツナマヨネーズの――」
「作るつもりなんだろう!その思考回路に待ったかけてんだよ!」
「だって僕はツナマヨ食べたいだけなんだ!」
「よく考えろ!今から材料買ってツナマヨ作っておにぎり握ってなんてしてたらあっという間に昼休み終わっちまうぞ!」
「…あ」
…しまった。
これでは本末転倒だ。読者の方も気づいているなら教えてくれればいいのに!
高橋のおかげで大幅なタイムロスは防げたものの残り三分。どうにかしてツナマヨを買いたい。どうすれば…
そうだ!高橋に昼休み終わる前に別のコンビニで買ってきてもらって、その間に僕が学校で鮭おにぎりを食べていればちょうど高橋が帰ってくるくらいで食べ終わるはず!
これだ、これしかありませんよ!
皆さん大丈夫です、高橋とは小学校からの幼なじみなんです。僕のことを最もよくわかっている彼ならば間違いなく僕の頼みを聞いてくれるはず!
「なあ高橋」
「却下」
「高橋?僕何も言ってないけど…」
「別のコンビニに行ってきてくれって言いたそうな顔してっけど?」
「ば、バカなこと!いい言うなよ!そそそんなこと…」
「図星か」
「なあ頼むよ!一生のお願い!」
「お前の一生のお願いはこれで百回くらい聞いたことがあるよ」
「うぐぐ…」
「俺が昼飯食う時間も考えろ」
万事休すか…
もう残り一分ほどしかない。読者の皆さんがもしシーチキンマヨネーズを持っていたとしてもそれを奪うことはできません。
このまま午後の授業でおなかが鳴って惨めな午後を過ごさねばらないのか!
だれか、誰でもいい!シーチキンマヨネーズおにぎりを持っていれば!
そのとき理はふいに高橋の買おうとしているおにぎりに目をやった。
「高橋、おまえ、おにぎり何買うの?」
「ん?日高昆布と、鮭と、ツナマヨ」
「…」
「どした?」
「悪い!」
理は高橋のおにぎり(シーチキンマヨネーズ)を奪うとすぐにレジにおいてお金を置いた。
「あっ!てめっ!」
「勝負とはこういうものなんだよ、悪いな」
「ふざけんな!最後の一個は俺のものって決まってんだよ!」
「知ったことか!レジでお金を払ったのだから僕のものだ!」
今日の昼ごはんはツナマヨネーズおにぎりと鮭おにぎりです。高橋君にぼこぼこにされましたが後悔はしていません。皆さん、必死の思いで手に入れたおにぎりはおいしいですよ。
コンビニって、便利ですよね。