■8話■
「魔王さま、ここでお昼にいたしませんか?お弁当も用意したんです」
「それはよいのう。昼飯の用意までしておるとは感心じゃ。その献身の心はわらわの大きな助けとなるやもしれぬな。どうじゃ、ペルシーはわらわの配下に加わらぬか?」
「私ホビット族ですが魔王さまが良いと仰るなら喜んで」
「ふむ、ならば今よりペルシーも我が配下じゃ。まだそなたで3体目じゃがのう。
じゃが苦しい日々を共にした者達を決して蔑ろにはせぬぞ。魔王として権勢をふるえるようになれば、そなたらは魔王軍の大幹部じゃ。楽しみにしておるがよい」
「私ホビットなのにすごい!たくさんの凶悪なモンスターを指揮したりするんですね!」
「とらぬ狸の皮算用にならなければいいがな」
「そうならぬようにそなたも力をふるうのじゃ!」
すこし赤くなったフレアをみて相変わらずかわいいなぁと思うロリコーンであった。
「それより、昼飯を食べようぜ」
「そうじゃな、ペルシー用意してくれ」
「はーい。まずシートを広げますね。ロリコーンさん端を持ってください」
「あいよー」
そうして広げられた昼食は、バケットに細長いパンと生ハム、プチトマトにチーズとひょうたんに入った赤ワイン。それにソーセージ。サイズはホビット用に小さいが、十分な量がを用意されており、どれも非常においしくフレアもロリコーンも大満足だった。
「さて、そろそろ行くとするか。ポチ、戻ってこい」
ポチは、遠くで野生動物と戯れていたが、いつの間にか仕留めてその肉を食らっていた。
「向こうに見える渓が国境ですよ、ここを降ってしばらく東に歩くと渓に当たりますのでそこから渓に沿って北にいくと桟橋があります。そこを渡って行きましょう」
そういて一行はのぼった丘をきた道とは反対を下って行った。
途中、魔法薬の原料になるという珍しい植物が群生しているのを見つけたらしいペルシーがフレアの許可をとって採集しているところ、新たな魔物に出くわした。大きな羽音で空気を震わせ近づいてくるそれは、こぶし大くらいの蜂の姿をしている。
「うひゃっ!?」
ペルシーは持っていた草の束を投げ捨てて、荷物の置いてあるところへ逃げた。
「あれは、ゾルキラービーじゃな、ミツバチの魔物じゃ、大して強くもないし、ロリコーンよ、一つあれを折伏して配下にせよ」
「おーけーボス!」
ロリコーンはさっきフレアから聞いた例の呪文を心のなかで唱えつつ、ゾルキラービーの複眼を睨みつけた。勢いよく飛んできたが、目の前僅か10cmの停止し、ホバリングしながらロリコーンと対峙した。
近くではやたらとうるさい羽音に耳を塞ぎつつ、数十秒の睨みあいの後、ロリコーンはその魔物の名前を聞いた。そのまま名前を上書きしゾルキラービーはロリコーンの最初の配下となった。
「お前ミツバチらしいから、名前はハッチだ。よろしくな!」
そう言うと、ハッチは空中を飛びまわり何かの図形を書いた。
ロリコーンはその意味がなんとなく読み取れた。
「ふむ、こちらこそと言っておるようじゃな。おぬしも意味が分かるようになったであろう」
「ああ、これも配下にしたからか?」
「そうじゃ、配下にしたものの知恵や力の一部があるじにも備わるようになる。魔の支配とはそういうものじゃ、積極的に魔物を配下に加えるとよいぞ」
「ロリコーンさんすごいですね!ゾルキラービーの集める蜜ってすごくおいしいんですよ!」
「へぇ、でもこいつ一匹じゃな」
「まぁ、しばらくそのハチを使役しておれば、扱いが上達するようになる。そうなれば使役する魔物の眷族ならば折伏せなんでもある程度は協力させることができるようになるぞ。もっともハチならクイーンを配下にした方が早いであろうがな」
「ところで、こいつどんな事ができるんだ?」
「そうじゃな。見たとおり体が小さいから戦力にはならん。今だと斥候として遠くに飛ばして危険があるか知らせるぐらいかのう」
「いまフレアは人間どもに狙われているから、わりと使えそうだな。早速渓まで飛ばしてみるか。ハッチ、向こうの方を偵察してこい」
そう言うと、ハッチは東の空へ飛んで行った。