■2話■
「フレアちゃんの為ならやぶさかではないが、どうすればいいんだ?」
「禁忌を破って邪まな欲望を満たせば、わらわが術を使って魔へ落とすことができるのう。
そなたはどのような欲望を持っておるのじゃ?おぬしの欲望を魔力に変えてその願いを叶えるぐらいの事はできるぞ。まぁ、欲望の深さが欲する物を上回っていればじゃが」
そう言うと、フレアはカケルのエロい視線に気づいた。
「フレアちゃんのおパンツください」
「なっ?!
それならばわざわざ魔法をつかわぬでも叶えられるが、
…おまえはすでに人間をやめておるのではないか?」
「それは百も承知です」
「む、まぁよかろう。わらわを性的な目で見ておることぐらい承知しておったしな、わらわは体を求められるぐらいの覚悟はしておった。おぬしはある意味で紳士じゃな」
「はは、ありがたきお言葉」
「少々、待っておれ」
そう言うと、フレアは黒いローブの中に手を入れてパンツを下ろしていった。
カケルにもしもすでに魔力を宿す身であれば、眼力でゴブリンぐらいは倒せそうなほど凝視した。
「ほれ、一体それをどうするつもりじゃ?…な」
「くんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくんくん」
カケルは受け取ったパンツをすぐさま鼻に押し付け肺いっぱいに少女の匂いを満たした。
「おぬしにやったものだからどう使おうが自由じゃが、流石にこれは恥ずかしいのう」
真っ赤になりながら、フレアは術を唱えた。カケルが想像以上に陰の気を発していたため
フレアは大して魔力を使うことなくカケルを魔へおとしめることに成功した。
「これでそなたは魔の眷族に生まれ変わったぞ。自身に魔名を付けるがよい。
なるべく邪悪そうなのを付けるとよいぞ。その名前もまたそなたに力を与えるじゃろう」
カケルはそう言われてすぐに頭に浮かんだ名前を吟味することなく名乗った。
「我が名は、ロリコーン伯爵。フレアちゃんのパンツによって目覚めた者」
「うむ、なんだか凄まじいほど邪悪な名じゃ」
いつの間にかフォーマルスーツのような服を身に纏い、パンツを被ったその姿は高貴な変態紳士だった。
「パンツを被るのをやめい」
「これは失礼した」
そう言うとロリコーンは名残惜しそうにパンツを剥がすと、丁寧にたたみ、胸のポケットにしまった。
「ふむ。思ったよりも強い魔力をもって生まれ変わったのう。今のわらわよりもよっぽど強い力を感じる。
これなら人間の1人や2人ぐらい簡単に殺せるのではないか?とりあえず何か魔法をつこうてみよ」
と言ってもロリコーン伯爵、もといカケルはまだこの世界で魔法を見た事すらないから、
何ができるかもどうやってやるかも分からなかったので適当にやってみせた。
『美しく可憐な少女を穢れた瞳から隠したまえ!ハイド!!』
唱え終わるやいないや、フレアの足元を中心に光の輪広がり、半球状の虹色の膜ができたかと思えば、
忽然とフレアが見えなくなり後ろの景色がそのまま透過して見えた。
「なんと、これはすごいのう。姿を隠す呪文か」
そう言うと、突然目の前にフレアが現れた。
「どうやら見た目だけでなく、気配すら消してしまうようじゃのう。それに何の違和感も感じられん。
呪文はなんだか聖句のようじゃったが、おぬしが使うとむしろ邪悪に感じるから不思議じゃ」
「光栄です」
「他にはどんなのがあるのじゃ?攻撃魔法とかはないのかのう?」
「それじゃ、次はこんな感じで」
『その汚れた手で少女に触れるな!セパレイト!!』
フレアの周囲から強烈な突風は放たれ、周りの木々やロリコーン自身を吹き飛ばした。
しばらくすると風は止み、地面にはフレアを中心にらせん状の風の傷跡が残った。
「いたたた」
「すごい威力じゃのう。
しかし、わらわはかまわぬが、そなたにとってはあまり使い勝手が良くないのではないか?」
「フレアさえよければあとはどうでもいい」
「もしかしたらわらわは無二の臣下を手に入れたのかもしれんのう」
「可愛い少女の為なら命をかける、それが私だ」
「よきにはからえ」