■24話■
ペルシーも空中の図形に触れてみた。しばらくして要領がつかめたようで、
奇麗な星型を作っていた。
「この図形ってひょっとしてそのまま部屋の形になるのでしょうか?」
「そう見たいだよ」
「地面がこの形に掘れてしまうってことですか?」
「そうなんじゃないか?やってみないと分からないけど」
「さっそく、魔王の間に寝室を追加しましょうよ!」
「そうだな、ベッド3つを魔王の間に置くのは流石に間抜けだもんなぁ」
「はい!」
「ところで、本当にこれ使って部屋を拡張してもいいのか?魔王の間も外壁で囲われていると思うんだが」
「ちょっと父ちゃんに聞いてくる」
そしてベンゼルはすぐに戻ってきた。
「いいって!ドアの大きさ分だけ外壁のコンダクションを解除してそこから別の部屋を作るといいって言っていたよ!」
「コンダクション?」
「伝導の魔法のことだよ。ダンジョン作成キットはコンダクションの操作もできるって言ってた!」
「よーし、じゃあさっそく拡張工事しようぜ!」
「「おー!」」
「ところで、このMP10って描いてあるやつ、ひょっとしてこれやると消費する魔力のことか?」
「うん、そうだよ!!」
「ん?この子は?」
「俺の妹のレンセル」
「よろしくねロリコーンお兄ちゃん!」
「ああ」
ロリコーンは僅かにロリコン魂を揺さぶられたが、顔が完全に人外だったので問題なかった。
「レンセルは、昔迷宮の拡張工事を依頼したダークエルフにいろいろそのアイテムの使い方を教わってたんだ。俺よりよく知ってる」
「ふふん。私専用の部屋を作って貰うために、ダークエルフのお姉ちゃんをわざわざ雇ったんだよ!その時いろいろ教えてもらったんだ」
レンセルは、得意そうに胸を張って見せた。
「じゃあまず最初のメニューに戻るね。作成キット下げて」
ロリコーンは、レンセルも操作できる高さに下げてやると、レンセルは画面端に浮かぶ黄色い丸をちょこんと触れた。画面が切り替わり、3つのアイコンが現れた。初めて触った時に現れたのと同じ映像である。アイコンに指を近づけると文字が浮かび上がった。
「この白い六芒星のアイコンを押すと、外壁の解除範囲が指定できるようになるわ。んで、この鼠色の四角いやつを押すと、部屋を作る画面がでてくるわよ」
「この、青い三日月のアイコンは?」
「空間を撮影することができるよ!」
「空間を撮影?!」
「うん。例えば、草原を撮って、迷宮にそれを再現することができるんだって!」
「ええーそれってすごいんじゃあ?」
「でもねぇ、その機能は必要なMPがめちゃくちゃ多いんだよ。再現率を調整できるんだけどね、ものすごく再現度を下げないと使えないってダークエルフのお姉ちゃんも言ってた」
「でもでも、ロリコーンさんや魔王様なら使いこなせるんじゃないでしょうか?」
「まぁ、そのうち試してみようか。先にコンダクションの解除をしてみよう」
ペルシーは、通称魔王の間の右端に置いてあった調度品をどけた。
「寝室は魔王の玉座の裏手ですから、ここに通路を設置しましょう」
「コンダクションを解除する分はこの部屋のドアと同じ大きさで良いかな」
「うん。一度にたくさん解除するとたくさんMPを使わないとだめだしそれぐらいがいいと思うよ。とりあえず、これを押してそっちに向けてこれを押してみて。外壁が読み込まれるよ!」
「ほいほい」
作成キットの先端中央に埋め込まれた宝石から放射状に光がでていた。その光の接触面らしきものがキットの中央に映像として浮かび上がる。
「この白い板が外壁で、その手前の鼠色が内装なんですね?」
「そうだよー。ロリコーンお兄ちゃん、操作してみて」
「ほいほい」
そういうと、白い部分にちょんちょんと指で触れる。触れた部分に点ができ、それを頂点として線が生まれる。
「ちょっと歪んでいるかな?」
「指だけじゃなくて、イメージでも操作できるよ。そこのドアの大きさとかを思い浮かべてみるといいよ」
「どれどれ。おーなるほど」
「そこのドアと同じ大きさにしたかったらそれよりも少しだけ大きく削るといいよ」
「こんなもんかな。MP8か」
「おーけーだね!それじゃあ、これを押して!」
―ポチッ
「なんか、出てきたけど?」
「これはパスワード。この装置で簡単にコンダクションが解除されないようにロックがかかっているだよ」
「ああ、そりゃそうか。じゃあどうすれば?」
そういうと、レンセルはその部分を指で触れて目をつむった。
立体のアスタリスクがザーっとならんだ。
「最後にこれを押せばおーけーだよ!」
―ポチッ
―シュイーーン
「うまくいったみたいだな」
開発キットに映し出される外壁には長方形の穴が映し出されていた。