■22話■
「つまりじゃ、迷宮はいきなり大きくするのはあまり好ましくないということじゃな。
おぬしもよく覚えておくように。
まぁ、わらわもお主も今は大した魔力を持ち合わせておらぬから、『伝導の魔法』を掛けるにしても一度にというわけにはいかぬであろうな」
「ふーむ、ん?ひょっとしてフレアも迷宮作るの?」
「当たり前じゃ、いつまでも居候しているわけにはゆかぬじゃろう?わらわも歴代の魔王のように魔王城や大迷宮、巨大な塔なんかに住みたいのじゃ」
「わー、夢が広がりますね!ホビット族ってみんな小さな建物に住んでいますから、大きな建物にあこがれているんですよ!!」
「でも作るっていってもどうやって?『伝導の魔法』とかフレアできんの?」
「ふむ。わらわの魔力が回復すれば新しく習得できるがのう、しかし、魔力が回復したらまず魔力容量を増やさねばなるまいな。あとわらわ専用の魔法を作ってみたいのう。そのあと…」
「おいおい、ずいぶん後回しになるな」
「ふむ、そうじゃな。別にわらわが覚えなければならぬと言う事もないからのう。おぬしが代わりに覚えよ」
「どうやってだよ。ってか、よく考えたら俺オリジナル以外使った事ないんだけど」
「そうじゃな、新しい魔法を習得するのに毎回毎回創造するのじゃ魔力の無駄遣いじゃのう。魔法の得意そうなやつを配下にしてそいつに手ほどきしてもらえ。あとわらわの習得しておる3種類の魔法も暇な時に教えてやろう」
「そろそろ他の部屋もご案内いたしましょう」
そういって、ガンゼルは、残りの部屋をそれぞれ案内してくれた。倉庫として使っている部屋が3つ、僅かな湧水をためておく部屋、トイレとして使われている深い竪穴の空いた部屋。ガンゼルの家族の個室にリビング。あとは特になにもない50㎡程の部屋が2つ。
「ふむ、この空き部屋を使わせてもらおうかのう」
「魔王様がおこしになると分かっておれば部屋を整えておいたのですが」
「かまわぬ」
「倉庫に調度品などが仕舞ってあると思いますので、好きに使ってください」
「うむ」
「よーし、それじゃあ、この殺風景な部屋を奇麗に飾りましょうか!」
「そうだな、フレア、ペルシー倉庫に行こうぜ」
「そなたらだけで行くがよい、わらわは少しオーク達と話をしに行ってくる」
そう言って、フレアは、地下9階へ上って行った。
ロリコーンとペルシーは3つの倉庫を順々に見てまわった。