■19話■
「この壁の幻影を通り抜けるとすぐ前が落とし穴になっていますので、行きすぎないように注意してくださいだ。
壁の幻影を抜けたすぐ右手も壁の幻影になっていまして、その先が地下9階への直通階段になっていますだ」
「なかなかよくできているな。ここを見つけるだけも難しいんじゃないか?」
「それがそうでもないんですだよ。実際そこの落とし穴に落ちる人間が1年に1人はいますだ」
「へぇ、そうなんだ。じゃあこっちの階段側の幻影を見破った人間は?」
「1人だけおっただな。そいつは我らの眷族総出でぶっ殺しましただ」
「そういや地下9階はもうオークのテリトリーなんだっけ」
そして、地下9階までたどり着いた。
「ガンゼル様お帰りなさいませだ」
「おお、ベグーか、今帰っただよ。ほら、お土産だ。それとな、
こちら魔王様御一行だ。挨拶するだ」
「お土産ありがとうだ!あやー、かわいらしい魔王様だで。
魔王さまペグーと申しますだ。ゲートウェイ地下9階オークの住処へようこそ」
「うむ、くるしゅうない」
そう言って通路の奥から続々とオークの眷族達が寄っては挨拶していった。
降りてきた階段の他にも3つの階段が並んでおり、広い正方形の部屋の4隅に位置していた。その部屋の中心は井戸があり、天井はヒカリゴケがびっしり生え渡っていた。そして、階段と階段の間に横幅のせまい通路がいくつか並んでおり、その先にいくつもの小部屋と接続されているようだ。扉はなく、どの部屋もオークの生活空間らしかった。
「なかなかよい具合に陰の気が満たされておるが…」
そこはじめじめし強い獣の匂いが充満していた。
「くさいな」
「うう、あんまり長く居たくないです」
「オークにとってはとてもすごしやすい空間なんですだ。でもたしかに他の種族の方には辛いかもしれませんだが。地下10階は1匹あたりに割り振られたスペースが広いですからもう少しましかもしれませんだ」
「うむ、早々そちらへ向かおうぞ」
そう言って一行は迷宮ゲートウェイの最下層地下10階へ辿り着いた。