■18話■
「なんぞそれ」
「グリムリーパー、つまり死神族じゃな。たしかセドリックというグリムリーパーの王がやっておるらしいのう。そいつに渡す魂に応じて死神ポイントが貰えるんじゃ。そのポイントに応じて能力やら力をくれたりアイテムやらをくれるらしいのう」
「ガンゼルは何貰ったんだ?」
「へい、ロリコーン様、わっしは、娘の為にケーキ1カ月分を貰いましたですだ」
「なんでそんなものが貰えるんだ?」
「セドリックは王じゃからのう、国民に作らせたんじゃろう」
「死神の国の国民なら、死体とか骸骨とかか?それともみんな死神なのか?」
「その国でグリムリーパーはその王1人だけじゃ。あとはみんな人間どもじゃよ」
「え?」
「セドリックは物臭な死神でのう、普通の死神は近日中に死にそうなやつにはりついて死んだその瞬間を狙って魂をキャッチするのじゃ。魂はすぐに成仏したり転生したりするからのう。そうでない魂も放っておいたら異界に迷い込んで永劫さまよってたりするらしい。じゃが陰の気が強いところでは魂が長くとどまるのじゃ。迷宮はすこし手を加えればその魂を1か所に集めて保存することもできる。そこにセドリックは目をつけたのじゃな。
迷宮の主から魂を貰う為にダンジョン協会とやらを作ってのう。それを維持するために1国の王なんぞになりおった。つまり、国はおまけのおまけなのじゃ。
ダンジョン協会は迷宮を運営する魔物どもを奨励し手助けする組織じゃ。魂を貰う対価にいろいろやっておると言う事じゃのう。そして、同時に冒険者も支援しておる。冒険者がそれなりに報われれば冒険者人口も増えるだろうからのう。目的が効率的な魂の調達じゃから迷宮の魔物どもと迷宮を荒らす人間どものどちらとも友好的なようじゃな」
「へぇ、そうなのか!そのセドリックが国王している国がどんなのがちょっと見てみたい気もするな。
ところでずっと気になっていたんだけど、なんでフレアはそんないろいろ知っているんだ?生まれたの最近じゃないのか?」
「魔王の力は陰の気の多さに影響していると前にいったのう?力と一言でいってもいろんな要素があるじゃろう?豊富な知識も、単純な腕っぷしも、配下の多さも、魔力も威圧感でさでさえも力と言えるじゃろう。
魔王は生まれるその時、手持ちの陰の力をそれら必要な要素に割り振れるのじゃよ。
それでのう、結局知識にほとんど振り分けたのじゃ。
手持ちの陰の気があまりに少ないから下手に力に割り振っても大した強さにならぬ、すぐに人間に始末されるじゃろうしな。
膂力、体力、魔力、使用可能魔法、配下、魔力容量、威厳、威圧など振るべき要素はいくらでもあったのじゃ。
しかし、威厳や威圧などには全く割り振れなんだ。おかげでこのような姿になってしもうた。
本来知識なぞ後から身につければ良いから、知識に割り振る必要はないのじゃ。知識は賢さとは違うからのう。
人間どもを本能のままに蹂躙しながら少しずつ知識を身に付ければ楽しく学べる。それが本来あるべき魔王の姿じゃ。
じゃがわらわは生き残ることすら危うかったからのう。少しでも生きるためのヒントが必要だったのじゃ」
「なんだかキャラクターメイキングみたいだな」
「なんじゃそれは?」
「俺の召喚される前にいた世界にあるゲームの一つでな、自分の分身を作るときにあらかじめ決められたポイントを力やらすばやさやら運やらに割り振ることができるんだよ」
「たしかに似ておるのう」
そうして話しているうちに隠し階段の手前までやってきた。