■16話■
「フレア様はこの迷宮は攻略されるのですか?」
「そんなわけあるまい、迷宮の主に会ってしばらく匿って貰うつもりじゃ。そこでしばらく陰の気から魔力を蓄えねばならぬ」
「そうだったのですか!先ほどこの迷宮の主を見かけましたよ」
「え、マジか」
「ほう、それはまことか、ではその者に会わせてくれい」
「しばしお待ちください」
そうしてダークエルフのルーマが連れてきたのは、1匹のオークだった。しかしたくさんの装飾を身に纏っており、一見金持ちの商人のように見える。
「はじめまして魔王様、この迷宮の主をしています、ガンゼルと申しますだ。私含めてオーク族がこの迷宮に住まわせていただいておりますだ」
「うむ。わらわは魔王フレアじゃ。そこな二人は、わらわが召喚し転生させたロリコーン伯爵とホビットの娘ペルシーじゃ。この犬っころはオルトスのポチ。よろしくのう」
「はー、こちらこそですだ。それで魔王様はどういった御用件でこちらへお越しになられたのですだか?」
「うむ、実はな、人間どもの計略によってわらわが生まれるときに必要な陰の気を排除しおったのじゃ、それでこのようにほとんど力を持たぬ体になってしもうてのう。しばらくは陰の気が集まる場所で力を蓄えようとおもうてここまで来たのじゃ」
「そうでございましたか!でしたら、我がテリトリーへご案内いたしましょう。規模はそれほどではないですが、そこそこの頻度で冒険者の断末魔が響き渡るなかなかよい迷宮と自負しております」
「うむ、案内いたせ」
そうしてガンゼルの後をついて行った、ダークエルフのルーマは挨拶もすんだことだしと別れ、いくつかの階段をスルーして袋小路なっている一角へと歩みを進めた。
途中よわそうな魔物が襲ってきたが、ポチが適当仕留めた。ポチは実はそれなりに強い魔物らしかった。
「ここが5階まで直通の隠し階段になりますだ」
そう言うと、壁のある方へそのまま消えていった。
「ふむ、この壁は幻か」
「壁の立体映像ってところか、投射機とかあるのかな?」
そんなことを言いつつ、壁を抜けた先は、らせん状の階段になっていた。手すりが淡く緑色に光っており、足元が見える程度には明るくなっていた。
「我らはここを使って2階で人間どもが開いている店に買い物にきますだ。あそこは我らにとっても有益ですだ。だからあそこで商売するのを許しておりますだ。けっして人間どもと仲良くしているわけではございませんですだ」
「分かっておる。人間どもを利用するのは当然のことじゃ。そもそもあの空間そういう意図を持って造られたのであろう?」
「へぇ、御明察でございますだ」
そんなことを言いながら地下5階へたどりついた。