■11話■
「フレアは、ホビットの村でワイン飲んでたけど、いける口なのか?」
「わらわも酒は好物じゃぞ」
そう言ってドワーフの注ぐアルコール度数の高い酒をコクコク飲んだ。
ペルシーはそこまで酒は強くないらしく、水で割ってテーブルの塩っ辛い食べ物ばかり食べていた。
「そうじゃ、ここでは杖は造っておるのか?わらわ用のを一本欲しいのじゃが」
「もちろん造っていますが、魔王様にふさわしいものが出来るほど魔法の細工に詳しいものが今はおりませんし、よいものを造ろうとすればかなり時間がかかってしまいます。それでよろしければお創りいたしますが」
「すでに完成させてあるやつでよいぞ、わらわも今は対価を持ち合わせておらぬでな、権勢を取り戻した後にあらためて依頼するであろう」
「わかりました、後ほど武器庫へご案内します。そこで気に行った物があればどれでもお持ちください」
「うむ」
「さすが魔王様ですね~。ドワーフの造ったものってすごく高いんですよ。それをただ頂けるなんて」
「フレアはまだ何もしていないのにな。ドワーフにとっては、先行投資ってやつか」
「魔王は良くも悪くも信頼されておるのじゃ。でなければかの国で周到な準備をされわらわが追われるような目にあったりなどせん」
そうしてなごやかに宴会は続き、人間達の動きもある程度聞く事ができた。
曰く、魔王の討伐令はとくに出ていないとのこと。
フレア達が向かっているところは、地下迷宮がたくさんあることで有名で、大陸中から名のある冒険者たちが日々命がけで攻略にいそしんでいるとのこと。
ドワーフの村に立ち寄る冒険者でこの迷宮群を目指して旅している者も多く、よく武具を買って行ってくれるとのこと。
宴会は深夜を過ぎても続いたようだ。フレア達は先に休むことにした。
そしてフレアの布団へ潜るロリコーンであった。
しかしフレアは特に咎めることもなくそのまま朝を迎えた。