■10話■
「ようやくスダドカ国へ来たな」
「うむ、この国はわらわへどういう態度をとっておるのじゃろうかのう」
「これからいくドワーフの村で情報を集めるとよろしいかと思いますよ。彼らも私の村のようなスタンスで人間と接していますから、人間達と親密では無いにしても情報はいくらか入ってきていると思います」
ハッチに斥候をさせながら安全を確保しつつ鉱山があるというペテル山の麓を丸くえぐったような場所にあるドワーフの村へとやってきた。
「盟友ホビット族のペルシーか、はるばるよくきた。みなも歓迎するだろう。さあ入ってくれ、ところで後ろの魔族らしき人たちは何者だ?」
フレアの容姿に関する情報はこちらへは入ってきていないようだった。
「紹介します。こちらにおわすのは魔王フレア様、その配下のロリコーン伯爵です」
「おお、魔王様とな。そういえば前回からもう300年経っておるのか!」
「うむ、魔王フレアじゃ。おぬしは?」
「失礼しました。魔王様。ドワーフのゼッルと申します。ようこそデグデルの村へ。我々は魔王様を歓迎いたします」
「ここも魔王に従順なのか。ひょっとして人間族以外はみんな魔王と友好関係なのか?」
「別にそう言うわけではないのう。人間と同盟を組んでおる種族は我と敵対しおるし、ほとんどは中立じゃのう。こやつらもそうじゃろう。我は単に貴人として迎えられておるにすぎぬ。魔王は基本的に恩には恩で報いるようにしておるから、わらわが蔑ろにされるようなことはないのじゃろう」
「魔王ってみんな律儀なんだな」
「ええ、前回の魔王様はよく我らの造る武器や防具をお買いになりまして、村はとても潤ったものです。おかげで毎日酒盛りしていたらしいですし、坑道に巣くっていたドワーフイーターも滅ぼしていただいたと聞いております」
「なるほどのう、武具は人間どもを迷宮におびき寄せる餌のために作らせたのか、あるいは武具の扱える類の魔物の為に作らせたのじゃろうな」
そう言うとドワーフの村でも宴会が開かれた。
ひげ面のドワーフ達が大きなテーブルを村の中央に用意し、それを囲う。
大量の酒樽が席の後ろに並べられ、テーブルに置かれた食べ物は、塩辛そうなものばかりだ。恐らく全て酒の肴なのだろう。ドワーフは大の酒好きとして有名だった。