第11話 落日余晖
「おい、これがセレストーム家の大天才じゃないか!」
「まだ顔を出す勇気があるのか? 感心するな!」
「セレストーム家、今回は有名になったな!」
廊下から次々と議論の声が聞こえてくる。一言一言が刃のように少年の心を切り裂く。拳を強く握りしめ、レオンが噛みしめた唇には既に一筋の殷紅の血痕が現れ、壁灯の照らす下で格別に鮮やかだ。
重い足取りで、彼は不甘と頑強な眼差しで、自分の部屋へと向かう。背後から聞こえる嘲笑の声は依然として鮮明で、まるで耳元で響いているかのようだ。
「おや、どうした? 我らが大天才? 会っても挨拶もしないのか?」ちょうどその時、前方で、数人の人影が彼の前を塞いだ。
「ヴァレン兄上、何のご用ですか?」自分の前を塞ぐ少年を見て、レオンは低い声で問うた。
ヴァレン、セレストーム家の次男、魔力値47を笠に着て横暴を働くことが多く、普段から自分に少なからず面倒をかけてきた。
「へへ、別に。ただ我が家の大天才がどんなものか見に来ただけさ、はははは……みんなよく見ろ! これが我がセレストーム家の四男坊だ、魔力値3、五年間まったく進歩なし、魔核凝結不可能な落ちこぼれだぞ!」レオンを指差し、ヴァレンは傍らの一行に向かって大声で言った。玩味の表情が露わだ。
途端に、彼らの目が輝き出し、レオンを好奇の目で見つめる。まるで珍しい見世物でも見るかのように。
周囲の嘲笑の眼差しを冷ややかに見つめ、レオンの目は刃のように鋭く、毅然としている。こんな視線には慣れた。こんな場面にも慣れた。他人の評価など気にしない。五年間、どれだけの嘲笑と嘲りを受けてきたか? もう数え切れない。魔力成長停止と判定された日から、影のように付きまとってきた!
諦めるなら、五年前に諦めていた。ここまで耐えてきたのだから、他人の視線や言葉に負ける理由などない。彼はただ信じている。自分はこのまま沈黙したままではいない、いつの日か必ずこの落ちこぼれの称号を払拭してみせると!
そう思うと、レオンは次第に冷静さを取り戻し、前へと歩き続ける。
「へっ……急ぐなよ、よく見せてくれよ。俺の友達もお前に会いたがってたんだ、ははは……さあ、紹介してくれよ、どうやって修練してるんだ? 五年間足踏み状態、お前も大した人材だな!」抜け出そうとするレオンを引き留め、ヴァレンは大笑いしながら言った。
「離せ!」声がやや嗄れ、ヴァレンの手を荒々しく払いのけ、レオンは冷たく叫んだ。
拳を強く握りしめ、手の甲に青筋が浮かび上がり、爪が深く肉に食い込み、一筋の殷紅の血が緩やかに流れ落ちる。表情がやや猟奇的になる。
「何だと? まだ不服か? 何か意見があるなら言ってみろ!」レオンに手を払いのけられ、ヴァレンも怒気を帯び、表情が瞬時に険しくなり、手でレオンの顎を持ち上げ、淡々と問うた。
場面が一瞬凍りつき、空気が重苦しくなる。この状況は廊下を行き来する使用人たちの注意を引き、周囲には知らぬ間に二十人ほどが集まっていた。
人々の議論の声が響く。囲まれたレオンを見て、すぐに彼の身分を見分けた。
そして彼を囲んでいるのがヴァレンだと分かると、途端にひそひそ声が響き、レオンを見る目が憐れみに変わる。
レオンはもちろん、この中にもヴァレンにいじめられたことのある者が少なくない。今や魔力値3のレオンなど言うまでもない。ヴァレンの横暴な振る舞いに、人々は怒っても口に出せない!
セレストーム家の次男坊、彼らが逆らえる相手ではない。
レオンを見て、ただ密かにため息をつくしかない。分かっている、今日彼は不運だと。
「離せ!」ヴァレンの手を荒々しく払いのけ、レオンは低く吼えた。
顔を上げ、ヴァレンを睨みつける。この男のますます過分な行為に、レオンはあらゆる覚悟を決めた。前回のように重傷を負わされてもかまわない。
前世、俺は妥協に妥協を重ね、忍耐に忍耐を重ねた。
最後はあの雨の夜、一人孤独に安アパートで死んだ。
この世では、同じ轍は踏まない。
尊厳は何よりも大切だ。尊厳を失えば、彼には何も残らない。今、彼に残されているのは尊厳と不屈の心だけだ。
「いい……いいぞ! 度胸が据わったな! 俺の手を払いのけるとは?」手を払いのけられ、ヴァレンは怒り極まって笑い出した。これだけ多くの人の前で手を払いのけられ、面目を失ったと感じた。険しい表情でレオンを見つめ、拳を握り締めて前に振り下ろそうとする。
急速に接近してくる拳を見て、レオンの目に凶光が走り、手を上げて反撃の構えを取る。
空気が一瞬凝結点に達した。全員が目を見開き、信じられないようにレオンを見つめる。彼が反撃しようとしている、ヴァレンに逆らおうとしている。
「ヴァレン、何をしているの!」全員が緊張している時、廊下の外から軽い叱責の声が響いた。声は淡いが、霊動的な感覚に満ちている。
続いて人々が自ら道を開け、一つの紫色の影が円の中へと歩いてくる。身体は華奢で、顔立ちは精緻、紫色のドレスを纏い、すらりと立ち、紫羅蘭のように優雅で神秘的、清冷な雰囲気を与える。目の前に立っていても、まるで遠く離れているかのようだ。
「エヴィル様、どうして来られたんですか……何でもないですよ、レオンに会ったから、ちょっと親睦を深めようと思いまして!」来た者を見て、ヴァレンの目に一瞬の忌憚が走り、表情が三百六十度変わり、やや媚びた口調で笑いながら言った。
来た者はセレストーム家傍系の令嬢、エヴィルだ。レオンの幼馴染であり、今日の魔力鑑定で星相系SSS級という驚異的な才能を示した少女。
「大丈夫?」レオンの前に来て、眉をわずかに顰め、エヴィルは淡々と尋ねた。
「大丈夫です」わずかに頷き、レオンは淡々と言った。エヴィルを見て、目にやや複雑な色が浮かぶ。また彼女の登場が自分を助けてくれた。
だがそれゆえに、ヴァレンの恨みを買い、時折自分に面倒をかけてくる。
幼い頃から、エヴィルはいつもこうして自分を守ってくれた。
だが今、彼女は星相系の天才で、自分は魔力値3の落ちこぼれ。
いつまでも彼女に頼るわけにはいかない。
「行きましょう」エヴィルがレオンが無事だと分かり、少女は気づかれないようにほっと息をつき、静かに言った。
「もう行かれるのですか?」エヴィルが去ろうとするのを見て、ヴァレンはやや不満そうに問うた。
ヴァレンには目もくれず、目に濃い嫌悪を浮かべ、エヴィルは真っ直ぐ外へと歩き出す。
あの華奢な影が自分を無視して去っていくのを見て、ヴァレンの目に凶悪な色が走る。
「ふん、小さな役立たず、今回は運が良かったな。エヴィル様が助けてくれた。次はこんな幸運はないぞ!」ヴァレンの傍を通り過ぎる時、レオンは冷たい声を聞いた。
ヴァレンの警告に、レオンは冷笑した。「いつでも相手になる!」
「へっ、小僧、いいだろう、覚えてろよ!」レオンがまだ自分に逆らう気だと知り、ヴァレンは怒り極まって笑った。
人群を抜け出し、レオンは長く息を吸った。「借りを作った! いつか返す」
言葉を落とすと、身を翻して去ろうとする。彼は他人が自分を見る時のあの施しの眼差しが好きではない。
エヴィルはレオンの背中を見つめ、紫色の瞳に複雑な色が浮かぶ。
彼女は何も言わず、ただ静かにあの頑固な背中が遠ざかるのを見つめていた。
◇
夏の夜空は果てしなく、銀月が皿のように輝き、満天の星。
「やはり、駄目か……」
裏庭の芝生の上で、深遠な夜空を見つめ、体内でやっとのことで凝縮したわずかな魔力が修練を止めると再び消え去るのを感じ、レオンはやや失望してため息をついた。
懐中の項鎖を取り出し、目に一筋の哀傷と不甘が浮かぶ。手の中に強く握りしめ、あの数本の傷口が引っ張られ、鮮血が再び溢れ出て吊り飾りの上に流れ落ちる。
「俺は……本当にこのまま終わるのか?」
レオンは呟いた。
違う。
俺は諦められない。
七年前、俺はまだ家の誇りだった。「百年に一度の天才」。
あの頃、父は夕食時に俺の頭を撫でながら言った。『レオン、お前はセレストーム家の誇りだ』
だがあの日、魔力成長が突然止まった。
あの日から、すべてが変わった。
いつか回復できる、栄光を取り戻せると思っていたが、今となっては遥か彼方。
自分の力で、まだこの願いを叶えられるのか?
そう思うと、レオンの目尻から二筋の涙が流れ落ちた。
遠方を凝視し、心は一片の凄涼、だが気づかなかった。涙が手の中のあの古朴な吊り飾りに滴り落ちた時、その吊り飾りが幽蒼の光暈を放ち、一瞬にして消えたことに。
魔核凝結不可能? 何と可笑しな結果だ。どんなに苦しくても辛くても耐えられる。努力すれば報われると信じている。だから、彼はずっと努力し続け、決して諦めなかった!
冷たい目に晒されても、嘲笑と嘲りを受けても。
だが今、目の前の事実が彼の希望を打ち砕いた。信念がこの瞬間崩れ落ちそうになる。この五年間、どれだけの白い目を受けてきたか、どれだけの屈辱を受けてきたか。心の委屈が一瞬で溢れ出し、凄涼を感じさせる。
「天よ、何故だ!」そう思うと、レオンは果てしない夜空を指差し、傷ついた獣のように吼えた。
「本当に俺を永遠に立ち上がらせないつもりか!」
「我が命は我にあり、天にあらず!」続けて、レオンは深遠な夜空に向かって咆哮し、目に頑強で確固たる眼差しを浮かべる。
「いつの日か、必ず自分を証明してみせる!」
「天よ、待っていろ、見ていろ!」
「世に絶望的な状況などない、状況に絶望する人間がいるだけだ」これは長兄ティモシーがかつて言った言葉だ。
この言葉を繰り返し唱え、ついに、彼の目が次第に明るくなり、遠方を見つめ、拳を強く握りしめた。「一息あれば、希望は滅びず」
ちょうどその時——
手の中の吊り飾りが突然微かな光を放った。
幽蒼の光暈が、夜空の下で格別に眩しい。
レオンは呆然とした。
これは……
【第十一章 完】




