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飲んだくれ無職のオッサン、公園で美少女に拾われ、迷宮に帰る  作者: たけすぃ


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落ちるには低すぎて、登るには高すぎた7

 *


 梅田ダンジョン。日本最大級の地下街の事じゃない。

 大阪に発生したダンジョンの事だ。名前の通り、大阪のキタの繁華街梅田にある。

 JR大阪駅の南西側すぐ、複合商業ビルの地下、俺の親世代だと大阪中央郵便局の地下と説明するほうが通りが良い。


 正確にはダンジョンの入口があるだけで、ダンジョン本体は学者曰く別の次元にあるらしいが、言われなくても梅田の地下街が潰れていないので分かる。

 当初はダンジョン関連の企業や研究施設が集まる急増のビルが建てられたが、数年前に再開発に合わせて複合商業ビルに建て直された。

 ホテルに、アミューズメント施設に、飲食店に、ダンジョン関連のショップに、ユニクロに高級ブランド店。そしてダンジョンである。


 なんだこのビル? 何でも足せば良いというのは関西人の悪い癖だろう。

 俺はその良く分からん複合商業ビルの地下、戦術担当のシートに座って、テトラコードの面々がダンジョン入口前に整列する様子をディスプレイで眺める。

相手チームには監督も一緒だが、こっちは兼業なので同席は出来ない。

 御堂がどうにか中学生レベルの英語で挨拶をし、互いの健闘を祈る。


 ダンジョンアタックは、出来うる限り控えめに言っても蛮族なスポーツなので、女性のみで構成されているチームというのは珍しい。

 かつそれが若い女性で全員の見た目が美しいとなると、レア中のレアだ。しかも魔法少女みたいな格好をしている。

 見た目で油断してくれないかなあと、相手チームの顔を見るが。残念、誰も油断していない。流石、二部リーグの育成チーム(ファーム)とは言え、わざわざチームが日本で育成しようという選手達である。


 ダンジョンアタック競技で性差が無意味な事を良く理解している。

 高校生時代では四部リーグで散々とその油断を利用させて貰ったが、今回は無理だろう。

 いやいや何を考えている、俺は指揮をするわけじゃない。


 それはそれとして相手の構成を確認する。ほら、だって観客として見る場合でも必要だろ? そういう前情報。

 相手チームの構成はアタッカー二枚にタンク一枚、ヒーラー一枚というスタンダードな物だった。チーム構成からしてテトラコードとは相性が悪い。

 俺はどちらのチームの事もよく知らない。

なので事前に分かる選手の役割ロール構成だけで想像するしかない。


 だけどそれだけで分かる事も多いのだ。

 特にテトラコードのように極端な役割構成をしているチームの場合は、戦術の幅は極端に狭くなる。

 ダンジョン入口前で、相手チームに聞こえないように集まって会話しているテトラコードを見る。内容は「いつも通り」とか「頑張ろう」とかなので、聞こえた所でって感じだが、その姿勢は正しい。


 がしかし、お前らの役割構成を考えたら無駄である。

 何せお前らの役割構成は、まさかのアタッカー四枚である。

 三部リーグでアタッカー四枚構成を選ぶチームがいる事に感動すら覚える。


 二部リーグどころか一部リーグでも殆どいない。日本だけじゃなくて世界中での話だ。

 それぐらいにアタッカー四枚構成は難しい。

 自分なら彼女達をどう指揮するだろうか? 流石に純アタッカー四枚は無理があるから誰かがマルチロールでもしているのだろうか? あーくそ、彼女達ともっと事前に話しておくべきだった、そうすれば……。


 違う違う。これは違う。

 これは試合前に、観客が今回の試合はどうなるんだろう? って想像するのと同じ。

 別に自分が戦術担当として指揮するならどうする? とか真面目に考えているわけじゃないから。


 俺は無理やりテトラコードから視線を外して、相手チームの方に目を向ける。

 彼女達を見ているから、そんな事を想像してしまうのだ。相手チームを見ていればそんな事は想像したりしない。

 それから俺が相手チームをじっくり観察していると、開始時間を告げるブザーが鳴り、選手達がダンジョンの入口に向かって歩いていく。


 テトラコードの足取りには自信が見て取れる。

 それに良い目をする連中だ。相手を殺す気の目だ。

 ダンジョンアタック競技は蛮族のゲームだ。それで良い。


 必要なのは相手を殺そうとする意思だ、目に殺気が宿らない連中に勝利は訪れない。

あの目をする連中をドル売りだって? やっぱり前監督はヘボだな。

 俺のチームは良いチームだ。

 いやいや何が俺のチームは、だ。頭おかしいのか俺は。


 公園から拉致られたオッサン、それが俺だ。

 勘違いする痛い自分に呆れるが、左手は無意識に動いてデバイスを操作。戦術担当が使用する各種モニターの準備などが終わってしまっていた。

 喘ぐように息を吸う。溜息を吐きたいはずなのに、なぜか息を吸うたびにチリチリと音がなるだけだった。胸の奥で。


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