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飲んだくれ無職のオッサン、公園で美少女に拾われ、迷宮に帰る  作者: たけすぃ


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飲んだくれ無職のオッサン、公園で美少女に拾われ、迷宮に帰る

 *


「明けましておめでとうございます」


 騒動から一週間後、正月三が日も終わった一月四日。

 俺はいつものマンションでテトラコードの面々と、コタツを囲んでいた。


 正直に言うと、全員が疲れ果てていた。

 連日続く日本迷宮連盟からの、ヒアリングという名前の事情聴取。


 日本においても、ダンジョン関連は国家権力の下にあるのだと嫌でも理解させられる。

 だって任意っていう名の強制なんだもの。


 最終的には四ツ橋さん家のお力を借りて解放された。監督という立場の俺は、大晦日を超えて三が日まで拘束されたが。

 本当に酷い目にあった。


 そして現在、俺はいつものマンションで約束を果たしているのである。

 昨今、どこも年末年始はしっかり休みお店が増えたので、ビーフシチュー用の肉を手に入れるのに苦労した。俺はビーフシチューにはブロック肉以外は認めないタイプだ。


「まさかビーフシチューにオモチが合うとは……盲点でした」


「モチ入れる時に別鍋にしないと大変な事になるけどな」


 俺はそう応えながらコタツの天板に突っ伏す。

 大きなコタツなので、足がぶつからないのが良い。


「そう言えば」


 御堂がモチを飲み込んでから口を開く。間違っても喉に詰まらせてくれるなよ。


「昇格決定戦の再戦日はいつになるんですか?」


 イレギュラーが発生したので融通を利かせてくれるとは聞いたのですが、そう言って首を傾げる御堂は嘘みたいに気が抜けている。

 熱量の高い瞳も、今はカイロ程度しかない。


 四ツ橋いわく、シーズン終わりはいつもこんな感じらしい。

 大丈夫か? 昇格決定戦の再戦が控えてるんだぞ?


 まあ御堂の事だからダンジョンの前に連れていけば、そこで勝手に切り替わるだろ。


「あー俺の聞いた話だと、確定ではないんだけど昇格決定戦の再試合はないかもしれないって事だそうだ」


「なんでよ!?」


 急に御堂のスイッチが入った。


「いやな。なんでも二部リーグの方で降格決定戦で何か不正があったらしくてだな。二チーム降格になるんだから、いっそのこと三部リーグから二チーム昇格させれば良いじゃないかっていう話になるかもなんだってよ」


 二部リーグになると、企業絡みの話も増えてくるので不正とかの話も増えてくる。

 競技性を売りにしている日本のダンジョンアタック業界にとっては頭の痛い問題だ。


「ダンジョンで不正だなんて、馬鹿な人達」


 再びスイッチの切れた御堂が、興味をなくしたのかテレビのスイッチを入れる。

 イレギュラーの発生はあったが、ダンジョンを閉鎖させる程の事ではない、そう判断したのか、新春ダンジョンアタックエキシビションなる物が開催されていた。


 俺は相変わらずネットからもテレビからも離れっぱなしだが、偶にはこういうのを観るのも悪くないな。

 そんな事を考えながら、だいぶエンタメに寄った解説をボンヤリと聞き眺める。


 つい最近まで、毎日がお正月みたいな生活をしていたせいか、休日らしいオフの感覚が心地良い。


「あれ?」


 ふとざわつき始める生放送のスタジオの雰囲気に、テトラコードの面々が首を傾げる。

 堺が新春からとびきりのジョークを言うぞ、みたいな口調で言う。


「まさか日比谷彩芽が出てきたりしてなー」


 あははーまさかー。緩みきったおざなりのツッコミを返した俺たちは、次の瞬間に絶句した。堺おまえ本当にする奴があるか。

 堺が全員からの視線を浴びて、いやオレのせいじゃねーよと叫ぶ。


 新年を祝う、おめでたい生放送が、彩芽に斬られて痛みに絶叫するダンジョンアタックプレイヤーの映像で酷い事になる。

 酷い絵面に、それでも放送を辞めないあたり、やっぱり人類は古代ローマからさほど変わっていないのかもしれない。


 テレビでは、彩芽に斬り殺されたプレイヤーが、ダンジョン入口に強制排除される場面が映って安堵の息が流れている。

 流石に生放送で人死にはアウトだと自覚があったのだろう。


 そうか、彩芽に斬られても強制排除されるというルールは変わらないのな。

 今後の為にも覚えておこう。


「戦術担当」


 御堂の声にテレビから視線を外す。

 あの日、公園で、俺に再び火を着けた瞳が楽しげに細められている。


「思ったよりも再会は早そうね」


 俺はそれに何か上手いことを返そうと言葉を探し、結局は諦めた。

 オッサンにそういうセンスを求めてはいけない。


「次も勝たせてやるさ。お前たちが天才である事を俺が証明し続けてやる」

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