第07話 スライムとの出会い
虹色の光に包まれ、タケルは目を開けた。
そこは──石畳の街道。空には浮遊大陸が浮かび、遠くには白い城壁に囲まれた町。虹色の滝が空から流れ落ち、まるで絵本から飛び出したような光景が広がっていた。
「ここが……ミラリア……!」
サクラが胸に手を当て、感嘆の声を漏らす。
アキラも無言のまま見上げていたが、その瞳は普段よりもずっと輝いていた。
「バラバラになったらどうしようかと思ったけど……」
サクラが微笑む。
「また一緒に冒険できるんだね」
タケルは小さく頷き、胸の奥がじんわりと温かくなる。
◇◇◇
「なぁ、みんな──最初のミラモン、何もらった?」
アキラが問いかける。
「私からね!」サクラがモンマスを掲げる。
「アクセス! リリーフェア!」
光の羽音とともに、小さな妖精が舞い降りた。花びらのような羽を持ち、眩しい光を振りまく。
「かわいい……!」タケルが思わず声を上げる。
「ありがとう、タケル」サクラは嬉しそうに答えた。リリーフェアもサクラの気持ちに反応するように、きらきらと光を瞬かせる。
続いてアキラが、少し照れくさそうにモンマスを構えた。
「アクセス! ……クロウルガー、出てこい!」
雷光をまとった、俊足の狼型ミラモンが飛び出した。
地面を走るたび、青白い火花が散る。
鋭い目つきに、タケルは思わず息をのんだ。
「タケルは?」サクラが首をかしげる。
「……俺だけ、もらえなかったんだ」タケルは苦笑いを浮かべ、視線を落とす。
「えぇ!? そんな……」サクラが驚き、アキラも眉をひそめた。
「まぁ仕方ないさ。俺もサクラも協力する。タケルの相棒、みんなで探そう」
「……ありがとう」タケルの胸が少し軽くなった。
◇◇◇
「始まりの町……どっちだ?」
タケルがつぶやくと、アキラが腕のモンマスを見つめる。
「たしか……リードだったな。リード!」
光が本型に変わり、空中に地図が展開される。石畳の街道、そして遠くの城壁都市が光で強調されていた。
「これが……始まりの町!」サクラが目を輝かせる。
三人は顔を見合わせ、うなずき合って歩き出した。
◇◇◇
道を進むと、ぬるりとした影が跳ね上がる。
「スライム!」サクラが声を上げた。
一匹がサクラに飛びかかる。
「きゃっ……!」
その瞬間、リリーフェアが光を放ち、スライムを弾き飛ばす。
「ありがとう、リリー!」サクラが呼びかけると、妖精は嬉しそうに瞬いた。
「俺だって!」タケルがスライムに突っ込むが──拳はぷにっと沈むだけ。
「えっ……効かない!?」
逆に弾き飛ばされ、地面に転がる。
「まったく……見てられないな。クロウルガー!」
アキラの声に応え、雷光がスライムを貫いた。
その時、冷たい声が響いた。
「遠くから見てたぜ。スライムも倒せないなんて──雑魚だな」
「ヒカル!」サクラが振り返る。
ヒカルは薄く笑い、モンマスを掲げる。
「アクセス! ドラゴレッド!」
赤き小竜が咆哮し、炎でスライムを瞬殺した。
「弱いやつとつるんでたら、同類に見られるぜ。俺は先に行く」
吐き捨てるように言い残し、去っていく。
タケルは唇を噛んだ。
(……くそ、俺だって……! 絶対に自分の手で倒してやる!)
◇◇◇
しばらく進むと、一匹の小さなスライムが目に入った。
その周囲には、地面を大きくえぐるような跳ね跡がいくつも残っている。
人間の気配に気づいたのか、
近くにいた大きなスライムたちは一目散に逃げていった。
残された小さなスライムは、
逃げ場を失ったように、その場で震えていた。
「……この弱そうなやつなら……!」
タケルは息をのんで拳を握る。
だが結果は──返り討ち。地面に叩きつけられ、泥だらけになる。
「はぁ、はぁ……」
タケルは小さなスライムを見つめ、膝をついた。
「……ごめんなさい。弱いのはお前じゃない、俺の方だった」
額を地面につけ、土下座する。
小さなスライムがじっとタケルを見つめ、ぷるぷると震える。
次の瞬間、モンマスが〈ピコン!〉と光った。




