第35話 カードガチャと新たな出会い
──カードショップの店内。
煌びやかなランプに照らされ、壁一面にはD〜Sランクカードが展示されている。
客たちの歓声が絶えず響き、まるで祭りのような熱気に包まれていた。
店主はにこやかに口を開く。
「ようこそ。《カードガチャ》へ。ここでは金額に応じて、ランクの高いカードが当たりやすくなる仕組みだ」
だが、その言葉を遮るように──
「さぁ〜皆さま〜っ! キララちゃんが詳しく解説しまーす☆」
派手な衣装の少女、キララがカウンターに飛び乗った。
観客から「また出たか……」と笑いが起きる。
キララは大げさに両手を広げて声を張り上げる。
「ここは夢と希望のガチャ☆ ほら、確率はこんな感じっ!」
•100ミラ=D以上5%
•300ミラ=D以上10%
•500ミラ=D以上20%
•1000ミラ=D以上30%
•2000ミラ=D以上50%
•3000ミラ=D以上70%
•4000ミラ=D以上90%
•5000ミラ=D以上確定
「しかも金額次第で光の色も変わっちゃうんですぅ〜!
100ミラならちょっとした火花、5000ミラなら天井全体がド派手に輝いちゃう!
まさに夢と希望のガチャ〜♪」
観客が「おおっ!」と盛り上がる。
「5000!? そんな大金あるかよ!」
「でも確定ってすげぇ……一度はやってみてぇ!」
天井から光のカプセルが降り、虹色の光が舞い落ちる。
カプセルがぱんっと弾け、中からカードが浮かび上がるたび、観客は息をのんだ。
「おぉっ! Bランクだ!」
「うわ、またFかよ……三日連続なんだけど!」
「給与で5000ミラ突っ込んだのにDランク、妻に怒られる……」
周囲の挑戦者の小芝居に、笑いとため息が交互に起こる。
──タケルたち三人の番が回ってきた。
タケルは目を輝かせた。
「よーし! 俺はここで神引きする!」
「……運より実力だろ」アキラは呆れる。
「無駄遣いにならなきゃいいけど……」サクラは冷静に見ている。
何だかんだで三人はやる展開に。
⸻
アキラの挑戦
キララが煽る。
「おっとぉ? まずは真面目くんのアキラ君!
えっ、100ミラ10連? ちょっと地味すぎじゃない〜?」
「統計的に妥当だ」
アキラはさらりと答え、100ミラガチャを10回続ける。
光のカプセルが降りる。淡々と火花が散り、シンプルにカードが現れる。
「Cランク《導きの羅針盤》……Dランク《ミラモン技カード》……確率からすれば悪くない」
アキラの冷静な表情に、周囲は「おお、堅実だ」とうなずいた。
──Cランクカード《導きの羅針盤》
効果:ピンチ時に正しい道のりを指し示す。
使用回数:3回まで。
──Dランクカード《ミラモン技カード》
効果:所持ミラモンにランダムで技を一つ追加。
備考:追加技は弱めだが、使用後は専用技カードとして残る。
⸻
サクラの挑戦
次はサクラ。
「えっ……どうしよう……」
キララがすかさず煽る。
「あー迷ってるその顔! ギャンブル初心者の顔だ〜☆」
「う、うるさい!」
サクラは頬を赤らめ、300ミラガチャを3回選択。
舞い散る光に、優しい花びらのような幻影が混じる。
「Dランク《共鳴の笛》、Eランク《マジックバンド》……!」
サクラは小さく読み上げた。
──Dランクカード《共鳴の笛》
効果:周囲の群れミラモンを一時的に足止めする。
──Eランクカード《マジックバンド》
効果:包帯が自動で即時展開される。
用途:応急処置に便利。
「……良い確率ね。即時展開できる包帯、実用的だわ」
観客の中から「おぉ、女の子なのに冷静!」と感嘆の声が上がる。
⸻
タケルの挑戦
最後にタケル。
「よし! 俺は1000ミラで突っ込む!」
「おおぉ!? 勇者現る〜!!」
キララが両手を振って煽ると、観客も「やれやれー!」と一斉に声を上げる。
タケルの頭上から降りた光は、爆発のように派手すぎる閃光を放った。
「な、なんか色合いが違わないか……?」
観客がざわめく。
「あれ、ヤバくないか?」
「マジか、これきたんじゃない?」
「出るぞー! 特大演出だ!」
タケルの顔が緊張で引きつる。
「やばい、緊張してきた……」
──ドボン。
カードは虚しく消え、残ったのは光の残滓だけ。
1回目──空振り。
「俺の1000ミラがぁぁぁ!!」タケルは膝をつく。
観客たちも一斉にずっこけた。「南無……」
「惜しい! いや惜しくもない〜!」キララがちゃっかりフォロー。
「やめとけ。今日は運が無さそうだ」アキラが冷静に言う。
「冒険は良くない」サクラも釘を刺す。
だがタケルは拳を握った。
「こんなとこでやめれるか! 俺はやるぞ!!」
2回目──光が爆ぜる。
虹色の演出に混じり、今までにない漆黒の閃光が走った。
ざわめきが広がる。
「な、なんだあれ……?」
「さっきと色が違う……」
「特殊カード……?」
キララが目を丸くし、にやりと笑った。
「ふふっ……タケル君。君、【特選枠】を引いたかもしれないね☆」
「え、えええ!? と、特選枠って何だよぉぉ!!」
店内はどよめきに包まれていた。
──だがそのカードの内容は、誰にも分からなかった。




