第25話 ミラリンピック日本決勝(後編・海戦)
「さぁ――ついに最終ステージ、海戦だぁぁ!」
DJブレイズの声に、スタジアムは総立ち。熱気と歓声が渦を巻く。
試合は激しく、観客の声も実況の言葉もかき消されるほどの攻防が続いた――。
そして――決着の瞬間。
「勝者、女王マリアぁぁぁ!!」
ブレイズの絶叫に、会場が揺れるほどの大歓声が響き渡った。
* * *
「最後の攻防戦なんて、やばかったな」アキラが汗を拭う。
「なんか途中から、ヴァルドも応援したくなっちまったよ」タケルが苦笑する。
「私はマリア様派かな。女性の憧れよ。最後の一言も最高だったわ」サクラが微笑んだ。
* * *
「皆さん、お待ちかね!」DJブレイズがマイクを掲げる。
「日本ミラリンピック・チャンピオン、女王マリア登場だぁ!」
観客「おおおおーーっ!」
DJブレイズ「まず最終戦についてお聞きします。ヴァルドの《アクアロドン》が先にお宝を見つけ、誰もが勝ちを確信しました。
しかし、マリアの《シーペガサス》が予想外の動きで勝利を引き寄せた。あれは準備していたのですか?」
マリアは堂々と微笑む。
「はい! 普段からあらゆる想定をして準備をしました。あとは、自分のミラモンを信じるだけですわ」
DJブレイズ「ヴァルド選手、この結果を受けて一言お願いします!」
ヴァルドは悔しげに歯を食いしばり、それでもはっきりと答えた。
「……悔しい。だが、女王の勝利は認める。次は必ず勝つ。そのために俺も挑み続ける」
観客「おおおおーー!」
「俺は必ず、もう一度立ち上がる」
そう言い残し、ヴァルドは背を向けた。観客の視線が、その背中にも熱を送っていた。
DJブレイズ「では最後に――女王マリア、皆さんへメッセージを!」
マリアは胸を張り、声を響かせた。
「今日は応援してくれてありがとう!
迷ったら、私の背中を見てですわ。
でも――次に背中を見せてくれるのは、きっとあなたたちですわ」
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、スタジアム全体が爆発したかのように揺れた。
「マリアさまぁぁぁ!!」観客の熱狂が空を震わせる。
アキラは拳を握りしめた。
「……俺は絶対にこの舞台に立ちたい。こんな感動を俺も味わいたい。やってやるぞー!」
――日本ミラリンピック、優勝は女王マリア。
その名は世界大会へと続く大舞台に刻まれ、同時に、未来を切り拓く少年の心に火を灯したのだった。
* * *
それから三日後。
ギルドに、アキラ、タケル、サクラの三人は呼び出された。
「ガロスさんから呼び出しって、何だろうな?」タケルが首をかしげる。
「報酬返せとか?」サクラが肩をすくめる。
「やっぱり五千ミラは間違いでした、とか……」タケルが苦笑した。
「さすがにないだろ。でも、行ってみりゃ分かるさ」アキラは笑う。
ギルド長ガロスの部屋前。
秘書ナミ「ギルド長、お連れしました」
扉の向こうから、低い声が返る。
ガロス「通せ」
恐る恐る入室する三人。
「失礼しまーす……」
重厚な机の向こうで、ギルド長ガロスが腕を組んでいた。
その視線が、三人を静かに見据える。
ガロス「……よく来たな」
一拍の沈黙。
ガロス「――実はな。報酬を多く渡しすぎた。返してくれ」
「えーっ!?」タケルが叫ぶ。
「……ほんとに返すんですか?」サクラが真顔になる。
「いやいや、絶対冗談だろ」アキラが眉をひそめた。
ガロスはニヤリと笑った。
「冗談だ。あれはお前たちが頑張った分だ。気にせず使え」
「……心臓に悪ぃっての!」タケルが安堵しながらも文句をこぼす。
ガロスは咳払いをして表情を引き締めた。
「さて――ここからが本題だ」
果たして、ガロスから語られる内容とは……。
――つづく。




