第24話 ミラリンピック日本決勝(中編・空中戦)
「さぁ続いては第2ステージ――空中戦だぁぁ!」
DJブレイズの声がスタジアムを震わせる。観客は総立ちになり、「女王負けるな!」コールが渦を巻いた。
「ここで切り札のおさらいだ!」DJブレイズが勢いよく続ける。
「マリアはカード未使用! 一方ヴァルドは地上戦でカードを切ったため、残るは補欠! ――この切り札が、勝負の行方を左右する!」
観客「おおおおっ!」
「さぁ続いては今回のフィールドの説明だ!」DJブレイズが手を広げる。
光のスクリーンに映し出されたのは、エルリア南部の渓谷。切り立った岩壁の間に無数のリングが浮かび、風の乱流が絶えず吹き荒れている。
•赤いリング:得点(+10点)
•緑のリング:得点(+5点)
•黒いリング:減点(-10点)
•青いリング:ボーナス加点(+30点)
•動くリングや揺れるリングも配置され、軌道は常に変化する
「得点はリング通過で加算! 制限時間は一分! さらに――攻撃ターンでは相手が妨害役に回れる! スピードで突き抜けるか、妨害で阻むか……駆け引き次第で勝敗は大きく変わるぞ!」
観客は一斉にどよめいた。
――――
DJブレイズが叫ぶ。
「マリアの《ストームホーク》は準備OKのようだ。先攻はヴァルド! 上空のスタート線を越えたら、空中戦スタートだ!」
「行け、《スカイホーンバード》!」
ヴァルドが腕を振り上げると、翼を広げた巨大な鷲のような魔鳥が、鋭い角を輝かせて飛び立つ。
「スタートォォ!」
開始直後、《スカイホーンバード》は突風を切り裂き、連続で赤リングを突破。通過のたびに光が弾け、スコアボードのゲージが一気に跳ね上がる。
「10点……20点……30点!」
DJブレイズの実況に、観客が熱狂する。
対するマリアの《ストームホーク》は俊敏に舞い、風でリングの位置を揺らして妨害を仕掛ける。だが――。
「効かねえ!」ヴァルドが吠える。
スカイホーンバードは突進力で軌道をねじ伏せ、強引に突破していく!
「すげぇ! もう50点超えたぞ!」
「やばい、このままじゃ女王が押される!」観客の声が飛ぶ。
ゲージは55点、70点と一気に伸び、終盤で85点に到達。
「3、2、1――時間終了! ヴァルドの最終得点は90点!」
「怒涛の攻めだ! ヴァルド、空でも女王を圧倒している!」
観客「これはまずい……! 女王負けるのか!?」
――――
DJブレイズが両腕を広げる。
「ここで攻守交代だ! 次に攻めるのは女王マリア!
ヴァルドの高得点――90点を、果たして超えることができるのかぁぁ!?」
「参りますわ……《ストームホーク》!」
マリアの声とともに、白銀の翼が空に舞い上がる。優雅で凛とした姿に、観客から「マリア様ー!」の声が響いた。
ヴァルドが高笑いする。
「さっき補欠を使ったのが運の尽きだったな。この試合、もらったぞ! いけ、《スモッグバット》!」
「おっとぉ! ここでヴァルドの切り札登場だぁぁ!」DJブレイズが叫ぶ。
闇色のコウモリが羽ばたき、黒い毒霧をリングの群れに撒き散らした。
一瞬で視界が閉ざされ、赤も青も黒も、すべて判別不能に――。
「うそだろ!」「女王、これは無理だ!」観客席がざわつく。
――――
マリアは目を閉じ、息を整えた。
「……霧の流れ。風が、すべてを教えてくれますわ」
ストームホークが羽ばたいた瞬間、乱流が霧を押し流す。霧の切れ間――赤いリングの輪郭が一瞬だけ浮かんだ。
「今です!」
ストームホークが急降下、黒い霧を切り裂き、リングを突き抜ける!
光が弾け、得点ゲージが跳ね上がった。
「40点! 50点! 65点!」DJブレイズの声が裏返る。
「うおおお! 見えないリングを連続突破しているぞ!」
「残り20秒! 時間がない! マリア、大差で負けてるぞ!」
観客「マリア様ー! 負けないで!」
ヴァルドが指を突き出す。
「最後におまけだ、《スモッグバット》! 青いリングを完全に塞げ!」
「これはきたない! スモッグバットが青リングをふさいでいます!」ブレイズが叫ぶ。
「女王が逆転するには、この青リングを取るしかない!」
マリアは静かに息を吐き、カードを掲げた。
「何が何でもですわね……。――セット! カード発動、《テンペスト・ゲイル》!」
天空から風が巻き起こり、巨大な竜巻が渓谷に発生!
「竜巻だぁぁ!」観客が総立ちになる。
突如、渓谷に巨大な竜巻が生じ、スモッグバットを巻き込みながら青リングごと暴れ回る!
「ギィィィ!」
暴風に耐え切れず、スモッグバットが青リングを手放し、竜巻に飲み込まれた。
「竜巻が青リングを高速回転させている! この状況で通過は不可能か!?」
ストームホークは宙で旋回し、必死に軌道を読むが、乱れる風に翻弄され迷っている。
(ここで外せば負け……でも、この子なら絶対に届く)
マリアは叫んだ。
「ストームホーク! 風に愛されているあなたならできる! 信じて、突っ込みなさい!」
「クワァァッ!」
気合の雄叫びとともに、ストームホークが竜巻へ一直線に突っ込む。
ピンッ!
得点ボードが閃き、数字がめくられるように跳ね上がった――「95点」!
「青リング+30点! 試合終了――女王マリア、最終得点95点! 大逆転だぁぁぁ!!」
――――
「なっ……ありえねぇ……!」ヴァルドが顔を引きつらせ、勝ったはずの展開を信じられずに歯を噛みしめる。
マリアは余裕の笑みを浮かべ、髪をかき上げる。
「これで一対一ですわ」
観客は総立ち、大歓声!
「マリア様ー!」「女王が戻ってきた!」
スタジアムの熱気は、まるで嵐のように渦巻いた。
――――
「勝負は最終ステージ、海戦へともつれ込んだ! 勝つのはどっちだ!? 決着は次回だぁぁ!」
DJブレイズの声に、スタジアム全体が揺れるほどの「うおおおおおーー!」が響き渡った。
――つづく。




