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ホラァ

俺だった

作者: 雪麻呂






 ある峠に関する噂を聞いた。

 なんでも首のない地蔵が「何処だ何処だ」と言いながら、己の首を探しているのだという。

 やれ戦国時代の武者の呪いだの、戦中の悲劇が関係あるだの、尤もらしい巷説がネットに散見される。

 見た瞬間、吹き出した。

 だってあれは、俺が原因なのだ。高校生のとき、何人かで肝試しに行って、ふざけて蹴ったら首が取れてしまった。それまで変な噂は一切なかったのだから、どう考えても、そこから出た話だ。誰かが首のない地蔵を見て、想像を膨らませた結果に違いない。

 噂の原因が自分だというのが面白くなって、再びその場所へ行ってみた。

 道路から少し入った獣道、件の地蔵が、胴体だけで佇んでいる。

 あぁ、これだこれだ。

 苦笑しつつ眺めていると、不意に後ろで声がした。


「何処だ……何処だ……」


 振り返った。

 地蔵の首だけが宙に浮かんで、恨めしげな顔で俺を睨んでいた。

 その瞬間、俺は理解した。

 あぁ違う。違ったんだ。

 こいつは。

 首を探してたんじゃなくて。


「……見付けた」


 首を折った奴を。


「お前だ」


 石の掌が、背後から俺の頭を掴んだ。






     了










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― 新着の感想 ―
[一言]  自分は真相を知っているから平気平気……からの見事なスピード解決。  噂が立つ以前にちゃんと詫びを入れに行っていたなら、こうはならなかったかもしれないのにねぇ。  死因はどう考えても行っちゃ…
[一言] タイトルとオチが見事。 それと、あえて短時間で読ませることで時間の経過を早くし読者の考える時間を奪うという考えには脱帽しました。
[一言] それ絶対行ったらあかんやつやー! と誰でも思いますね、この状況は(笑)。シャレにならない悪戯はもちろん、その後の罪悪感のなさというか不真面目さというか、舐めきった態度が報いを受けたのでしょう…
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