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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

百合短編

婚約破棄?ではそこの聖女と結婚しますね。

作者: れとると
掲載日:2023/12/15

 雑百合コメディを、3000字未満でやけくそ気味にお届けです。


 週末で疲れたみなさまのお脳が、くすりとして癒されますように。

「アイオラ! 貴様との縁も今日限りだ!」


「それはどういう意味でしょうか、殿下」


「俺はお前との婚約を破棄し!


 この聖女シーラと結婚する!」



 わたくしが、王子殿下の影に隠れているシーラを見ると。


 彼女は密かに拳を握り締め、感極まったという様子で身もだえていました。


 ……状況を楽しんでやがりますね、この駄聖女め。



 わたくしは二の句が継げなくなり、思わずそっと息を吐きました。



「できるものならやってごらんなさいまし、殿下」


「ふふん、それは父や宰相に了解がとれていないだろうというあなどりか!


 だが貴様との婚約解消は、二人とも快く認めてくれたぞ!


 親にも見捨てられるとはな! ざまを見ろ悪女め!」



 そりゃあ認めるでしょうね。ですが王子の悪女基準が謎です。


 あなたの後ろで両手を頬に添えて身を捩ってる女は、その範疇には入らないのですか?


 入らないのですかそうですか。この駄王子め。



「あとはシーラの養父母にご挨拶するだけよ!


 だがその前に教会だ!


 俺は今日で18! シーラに並んだ!


 やっと婚姻の祝福を受けられるぞ!!」


「そうですね誕生日おめでとうございます殿下」


「フハハハ! いつも姉面しやがって!


 このまま追い越してくれるわアイオラ!!」



 何言ってやがるのです追い越す? 年齢を???


 わたくしの聞き違いでなければ、それ誅殺するってことですよね?


 やってみるがいいこのひょろもやしめ。受けて立ってやろう。



「では首を洗って待っていろ!!!!


 ハハハハハハハハ!!!!」



 すごい勢いで、王子は学園の外に走っていきました。


 そういえばあの方、足だけは早いのですよね。


 主に逃げ足で活用されていましたが。



 で。



「わたくしもそろそろ、笑っていいですか?」


「私が我慢したんですから! もうちょっと耐えましょうよ!」



 聖女シーラが残された。


 肩は震え、腹を抱え、目には涙がいっぱい溜まっている。



 しかし王子、なぜこの子を残していった。一人で行って意味あるのか。ないだろ。


 そして根回ししといてシーラの養父母・カンス男爵家にはご挨拶しなかったのはなぜだ。


 爵位の低い貴族だと、あなどったな? 詰めが甘い奴め。



 だからこんな恥をかくのだ。



「カフェにでも行きましょうか。待ってないといけないそうですから」


「律儀ですねぇアイオラ。私、甘いのがいいです」


「お酒にしましょう。やってられません」




 ◇ ◇ ◇




「アアアアアアアアアアアアアアイオラァァァァァァ!!!!」



 我々がほどほどに飲んでいい雰囲気になっているところに。


 ようやく、王子がやってきました。


 学園のオープンカフェが、少々騒がしい雰囲気になります。



 しかし何時間も、何していたのでしょうか。


 まさか教会の司教と問答? お騒がせして申し訳ない。


 後日、詫びに寄付でもしましょうか。



 あぶく銭が、手に入るでしょうし。



「なんでしょうか、元婚約者殿」


「ちょっとまてなぜシーラが貴様にしなだれかかっている!?」



 しなだれかかるとはいわんだろこれ。


 体を押し付ける感じで、ぎゅーって抱きしめられているのですから。



「一緒にお酒を飲んだからですが?」


「そうではないわあああああ!


 シーラなんで首筋にちゅーしてるの!?」



 今もかなりの勢いで首に吸い付かれています。


 跡がつくからやめてほしいのですが、離れてくれません。


 この子、キス魔なんですよね。



「そういう気分だからではないですか?」


「なぜだあああああああ!!」


「伴侶相手に欲情するのは普通でしょうに。なぜもなにも」



 王子が天を見上げ、絶叫した。



「それだあああああああ!! なぜ! なぜ!!」



 そして我々を両手の人差し指で、びしりとさした。



「 お 前 た ち が 結 婚 し て い る !!??」



 わたくしはグラスの中身を飲み干して。


 テーブルに、置いてから。


 これ見よがしに、肩をすくめてみせました。



 片手は、シーラの腰に回しながら。



「だから言ったではないですか。


 『できるものならやってみろ』と」


「貴様の浮気ではないかああああああああああああ!!!!」



 よく気づいたなその通りだ。


 王子との婚約中に、シーラと結婚したのです。


 わたくしの浮気で合っています。



「ええ。


 なのであなたとの婚約をどう丸く収めようか、頭が痛かったのですが。


 そちらから()()してくださるとは、大変助かりました」


「は?」


「破談にあたっての示談金、弾んでくださいましね」


「あほか誰が払うかああああああああ!!!!」



 残念、国王陛下の了解はとってあるのです。


 「王子から婚約破棄させたら、示談金はちゃんと出す」と。


 賭けはわたくしと宰相(お父さま)の勝ちです。



 たぶん、王子本人からは長年かけて徴収するのでしょうね。



「……ちょっとうるさいです王子」



 シーラが気だるげに顔を上げました。


 王子がびしり、と固まります。



「し、シーラ。こんなのうそだよな?


 俺たちは将来を誓い合った仲じゃないか!」


「なんですその存在しない記憶こわっ。


 王子、魔王討伐の時のこと覚えてないんですか?」


「仲間たちとの冒険の旅、忘れたことなど一度もない」



 おっと地雷を踏みましたね。


 シーラがすごいお顔で、王子を睨んでいます。



「魔王の面前で私を見捨てて、みんなで逃げ帰ったことは、記憶にないと?」



 王子が誇らしげに胸を張る姿勢のまま、微動だにしなくなりました。



「アイオラが助けに来てくれなかったら、大変なことになってたんですから」



 シーラは言うだけ言って、どうでもよくなったようです。


 王子からは目を離して、わたくしに抱き着いてきました。



 ……こら。人の面前で胸に顔を埋めるのはおやめなさい。


 そこに吸い付いて跡をつけるのもやめなさい。



 ちなみにその「仲間」については、わたくしが念入りに排除しておきました。


 「ざまぁ」というやつでしたか。たのしかったです。



「というわけで。


 あなたは報復のためにシーラに煽られて。


 できもしない結婚をしようとし。


 恥をかいたわけです。


 お疲れ様でした。


 ああ、18になられたんなら飲んでいかれますか?」


「うわあああああああああああああああああああああん!!


 誰かタル持ってきてええええええええ!!」



 酒初心者がタルで飲もうとすんなや。



 ま、これでシーラの留飲も下がったでしょうし、良しとしましょうか。


 でもわたくしは、大事な人ができましたので。


 嫁探しは一からがんばってくださいませ、王子。



 …………ちょっとわたくしの大事な人。ここで脱がそうとすんのやめろや。


 酒の入った聖女に、悪役令嬢がお持ち帰りされるまであと5秒。


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[一言] ノクターンのアドレスをちゃんと書いていてくださいw
[一言] むしろよく魔王までたどり着いたな駄王子
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