ジナの変化
ラナが亡くなった次の日、ヴォルトは公務をしていたが、何か思い詰めて作業をしていた。
あの日からヴォルトは笑顔になる事が減り、思い詰める事が多くなった。
公務中に考えていたが、ミスはあまり無かった。しかし、笑顔が減った事で召使い達はとても心配になっていた。
ヴォルトの様子の変化にシュルトは心配になり、
「お父様、作業変わりますか…?」
と、違う様子のヴォルトに声をかけることが少し怖く、声が震えてしまった。
その声にヴォルトは
「大丈夫だ、気にするな」
と冷たく答えた。それにシュルトは少し凹んで、
「わ…分かりました」
と、もっと声をかけた方がいいと思ったけど何も言えず、簡単な返答の分かりましたを使ってしまった。
公務している部屋から出たシュルト、出た途端にメルが居て、どうだったか聞かれた。それにシュルトは
「うん…やっぱりおかしい感じがする」
とメルに伝えた。それにメルは
「お兄様でも駄目でしたか…大丈夫でしょうかお父様…?」
一番色んな公務が出来るシュルトが手伝う事が出来ずに戻されるのに驚いて、ヴォルトをより心配になった。
その場でシュルトとメルは悩んでしまった。どうすればヴォルトが笑顔になるか等を考えていた。そんな時に
「……なんか騒がしくないか? メル?」
とシュルトは何処かでバタバタと足音が聞こえ、聞き間違いかメルに聞いてみたが
「確かに聞こえますお兄様」
メルもその音が聞こえてるので、聞き間違いではない事が確定した。
「ちょっとその音の場所に向かってみる」
とシュルトは言い、すぐに向かった。
それにメルはちょっと!?と思いながらシュルトの後を追った。
その音が近くなり、その場所にたどり着いたシュルトが見た光景は
召使いの一人一人がある部屋に代るがわりに出入りをし、とても焦っていた。その部屋はあまり訪ねていないジナの部屋だった。
シュルトは一人の召使いを引き止めて質問した。
「ちょっと待ってほしい。何故ここまで焦っているのか聞いてもいいか?」
と話した。その召使いはなんて返事をすればいいか分からず、暗い顔をしていた。
それにシュルトは
(もしかして何かあったのか!?)
と思い、急いでジナの部屋へ入った。
それに他の召使いは止めようとしたが止める事が出来なかった。
ジナの部屋へ入ったシュルトは、ジナの事を思い浮かべ、
(……あんまり話してなかったが、結構大人しい感じだったな)
と思い出していた。
あんまり話す事がなかったが、やはり家族だから一緒に生活できないかと小さい頃は思い浮かべていた。しかし、今はジナがどうしたか気になって入ってしまった。
シュルトの目の前には、ジナは背を向けて、肩で息をし、座っていた。
その様子に泣いていると思い、シュルトは近づいた。
それに召使いは止めようと思うが、止める事が出来なかった。
もうこれは伝わってた方がいいと思っていたからだ。
近づいてくるシュルトの気配に気づき、ジナは振り返った。
「……!? お兄様駄目です!!」
とジナは近づいてくるシュルトに静止の声を出したが、遅かった。
シュルトは驚いてしまった。
ジナは半獣だと分かっていたが、なんの脅威は感じずにいて、ただ野獣の両耳があるだけの妹一人だと思っていた。
しかし、その考えはジナの左右の腕を見たことで変わってしまう。
ジナの両腕は、人間の腕ではなく、野獣の腕に変わっていた。




