半獣のお嬢様
「どうか? やってくれるか?」
とヴォルトがやってくれるか聞いてくる。それにラグは嫌な思いをしながら、これはゾータ大陸の為と思い、
「はい、やります」
とラグは答えた。それにヴォルトは驚いていた。
「…驚いた。この依頼の詳しい内容を聞かせた人達は、半獣という言葉で引き受けてくれなかったが、君は違うのだね」
ヴォルトはまた引き受けてくれないだろうと思っていたが、ラグは違って、その仕事を引き受けた事が驚いた原因だった。
「すいませんが、どのようなお嬢様なのか話し合ってもいいですか?」
とラグは丁寧にヴォルトに質問する。その質問にヴォルトは娘に会って話してみたい事を言うラグに不思議になっていた。
「ああ、いいぞ」
と別に問題ないと思い、軽く返事を返した。その態度にラグは少しずつ怒りが出てきそうになるが、我慢する。
「あと、娘にはお出かけの事で話を通してるから、秘密にして欲しい」
それを聞いたラグは、ヴォルトの印象がかなり変わった。
しっかりとした国王様だと思っていたが、娘に対しては半獣だからか嘘をついて、捨てようと考えている。
そんな印象を抱いてしまったラグは、ヴォルトを見ると嫌な気持ちが出てきてしまう。それでもなんとか抑えた。
「わかりました。娘さんと話し合わせてくださりありがとうございます!」
とヴォルトを見ると内心嫌な気持ちになるが、ラグはそれを隠して、丁寧にお礼を言った。
「では、娘の部屋の前に向かうとしよう。付いてきてくれ」
とヴォルトは言い、座っているソファーから立ち上がり、案内してくれる。
ラグも急いで立ち上がり、ヴォルトの後に付いて行く。
王宮の中はやはり大きく、高級な物が溢れている。流石はこの国の中心、凝っているなとラグは思いながら、ヴォルトの後に付いて歩いていた。
暫くヴォルトの後を歩いていると、ある部屋の前に辿り着いて止まった。
それにラグはそこが娘さんの部屋なんだなと確信した。
「ついたぞ。ちょっと待っててくれ」
ヴォルトはラグに着いた事を言い、待ってくれるように声をかけた。
わかりましたとラグは言い、素直に待った。
「ジナ、これから一緒にお出かけする人が決まったぞ! ジナとお話したいと言っているからいいか?」
どうやら娘さんの名前はジナという。どんな人だろうとラグは考えていた。
ヴォルトの声を聞いたジナは部屋の中から返事をした。
「それは本当ですかお父様!? その方を部屋に入れても大丈夫ですよ!」
とまるで嬉しく声を上げているように聞こえる。
ラグはそこまで喜ぶ事だろうかと不思議と思った。
「では、ラグ君大丈夫そうだ。ジナが喜んで待っている」
とヴォルトは言った。
ラグは相手はこの王宮のお嬢様だから、失礼のないようにと気を付けて、ジナの部屋の前に立ち、
「この度、一緒に外出させて頂きます。ラグと申します。入っても宜しいでしょうか?」
とラグなりに丁寧な言葉を使った。それを聞いた部屋の中にいるジナは
「はい! いいですよ!」
と喜んで返事している事が分かる。
「では、入ります」
とラグはジナの部屋のドアノブを捻り、部屋へと入った。
ジナの部屋へと入ると、そこはやはりお嬢様らしいフワフワした空間になっている。そして、ラグの目の前には、一人の少女が立っていた。
その少女は白銀のロングヘアーをしていて、ドレスを着ている。目は優しそうな目で、話し方はとてもお嬢様としての言葉使い。
しかし、そこに合ってはいけないのがある。
少女の頭には狼みたいな両耳が生えていて、ピコピコ動いている。
これが半獣のお嬢様だった。




