緊張感と昔話
夜が明け、朝が登ってくる。
ヴァルカラ王国での新しい一日がくる。
外が明るくなった事で、ラグは目を覚めた。そして、ドキドキと緊張感を持っていた。
その緊張感は、今日で依頼所の役員が自分にとって適任な仕事が見つかるか見つからないかの心配の気持ちであった。
その為、ラグの顔は少し硬い感じになっていて、笑顔にすることが意識できない程緊張していた。
目を覚ましたラグは早速泊まっている部屋から出て、宿主のベェナとの朝の会話をしに行った。
「おお! ラグ! おはよう!」
ベェナはいつも通り朝早く宿主としての明るく仕事をしていた。
「ベェナさん、おはようございます」
とラグは返事をしたが、やはり顔が硬い感じがしていた。
その顔にベェナは気がついて、ラグに近づき、ラグの両頬を揉んできた。
それにラグはびっくりし、「どうしましたか!?」と両頬を揉まれたまま質問した。
ベェナは素直に
「ラグ、いい顔が硬いぞ〜 どうしたんだい?」
とラグが緊張してる事を察したので、どうしたか聞いてみた?
それにラグは何故自分が緊張してるかわかるかと内心驚いていた。自分自身の顔が表情が硬い事を無意識だった。
ラグは素直に話そうか悩んだが、ここまで見破られてるなら話そうと思い、自身の持っている緊張感を話した。
「実は昨日、依頼所へ仕事の相談に行ったんです。それはゾータ大陸出港の船に乗るためで、その船に乗るお金が足りなかったから、相談しました。やはり3、4泊でゾータ大陸行きの船に乗るのにお金が足りる仕事が難しそうでした。
しかし、依頼所の役員の方は親切に仕事を探してくれてるので、今日、もう一度行ってみて、仕事を貰えるかが緊張してます」
ラグは包み隠さずに自分の緊張してる事を話した。話していると不思議と緊張感が和らいできた。
ベェナは話しているラグの言葉一つ一つに頷き、しっかりと聞いていた。
ラグの話を聞いて、ベェナはラグに声をかける言葉を少し考え、思いついた。
「ラグの今の気持ちが私でも凄く共感するよ。
私も初めてこの宿主としての仕事をしっかりやろうと思ってた時あってさ、その分プレッシャーで緊張凄かったんだ、すぐに逃げてしまいたい程な」
とベェナは自身の昔の事をラグに話し始めた。
ラグはそれを聞いて驚いた。
(ベェナさんも最初は宿主としての仕事は大変だったんだ…そんな気持ちあるの初めて知った)
何故ベェナが昔の事を語るのかは、ラグがこうしてプレッシャーに押されてる事を気にかけて、ベェナ自身もそんな経験あった事を伝えれば安心するかなと思ったからだ。
ベェナは話を続ける。
「色々ミスもあったり、上手くいかない日もあったよ。それで凹んでる時もあった。だけどね、色んなお客さんから、いい宿だねとか、ベェナさんは話しやすくていいとか言われると、私はまた頑張れるようになるのさ。
最初の一歩は緊張するけど、段々と慣れていって、プレッシャーとかいつの間に吹き飛んでしまうのさ。だから、最初の一歩、頑張れな」
と話し終えると、次にラグの頭を少しポンポンと軽く叩いた。
その言葉を聞いたラグは勇気が少し出てきて、大丈夫と思えるようになった。
「ありがとうございます…! 最初の一歩、頑張ってみます!」
ラグは貴重な言葉を聞かせてくれたベェナに感謝の言葉を送った。それにベェナは
「大丈夫大丈夫! 私の言葉で救われるなら嬉しいよ! 頑張れな!」
とラグを応援した。
このベェナの昔の話はラグだけに初めて聞かせた事はベェナだけの秘密だった。
「それではいってきます!」
とラグは言い、宿から出て依頼所までまっすぐに行った。
そのラグの後ろ姿にベェナは頑張れよと小さく呟いた。




