模擬戦2
門の前で2人、木製の剣を構えている。リードとラグである。急きょ、討伐から模擬戦へと移った。
「では始めようかラグ君」
「リードさん、よろしくお願いします。負けません!」
とお互い声を掛け合い、模擬戦が始まった。
リードはまず最初にラグの剣の構えを見た。
(しっかりとした構えをしている。本当に習ってますね。しかし、私との戦闘の差はあるはず)
とリードはラグが確かに剣術を習っていることを確認し、そう思った。
「では行きますよ!ラグ君!」
とリードから攻撃が始まった。その攻撃はとても素早く、剣を目で追えるか分からない攻撃だった。これはマルスとジンの教育の成果で、この素早い剣術で戦いを乗り越えてきた。横一閃の攻撃がラグに迫る。
(これで私の勝ちですよ。ラグ君)
とリードは思い、マルスとジンもリードが勝ったと思った。しかし、
「早い攻撃ですね…危なかったです」
なんと、その攻撃をラグは目で見えていたのか、見事に横からの攻撃を剣で防いだ。
それを見たリードは目を見開いた。
(何だと!?)
といつも丁寧な言葉を使っていたリードは、初めて頭の中で言葉を変えた。それを見ていたマルス、ジン、ゲイルの3人もそう思った。
(でしたら、これならどうです!?)
と、縦、斜め、突きの順でリードは攻撃する。それもラグは、縦と斜めの攻撃を防ぎ、突きの攻撃は横に回避した。しかも紙一重の間隔で、
(嘘だろ!?)
またリードは驚いた。自分の攻撃をここまで防ぐ事に心の中で悔しがっていた。
「あいつすげぇな!」
とジンは絶賛していたが、マルスは
(ここまで防ぐのは驚いたが、なぜラグは反撃しない?)
と疑問に思った。
リードの猛攻を防ぎながら、ラグは困っていた。
(この攻撃は早いけど、これなら勝てるな…
でも、『力』を使いそうで怖い…)
とラグは考えていた。
リードが攻めて、ラグは守りになっている中、リードは困惑していた。リードの攻撃が一撃もラグに入らないからだ。しかも相手は17歳の少年だ。
(なぜここまで防げる!?もしかして私より腕前は上なのか…。
そんなの認めない!!)
とリードは急に足で地面を蹴って、ラグの顔目がけて砂を上げた。そう目潰しである。
それを見たマルス、ジン、ゲイルは
「「「なにしてるんだ!?」」」
と3人一緒の言葉で驚がくした。
リードはそんな事をする人間ではないからである。
リード自身、そんな事したくないのがあったが、プライドが許せなかった。
しかし、そのかかってくる砂をラグは剣を振った。すると、風圧ができ、砂を吹き飛ばした。
その光景にリードは
「……え」
と頭を止めた。見ていた3人も同じく頭を止めていた。
その隙をラグは見逃さず、一瞬で移動し、リードの首に木製の剣を少し当てた。
「これで僕の勝ちです。リードさん」
とラグは言い、勝利宣言をした。
リードはまだ頭が追いついてなく、返事はしなかった。ジンも同じ状態だった。しかし、マルスだけは頭を動かせるようになった。
(なぜあの小さい腕であんな事が出来るんだ…
ラグ君、君は何者なんだ…!?)
とマルスは思った。そして、ラグに対しての意識を警戒するようになった。
模擬戦に勝ったラグは
(勝ったのはいいけど、力を少し使ってしまった…
だけど、『腕が変わってない』から大丈夫かな?)
と不安になってたが、自分自身に大丈夫と声をかけて、模擬戦はこれで終わった。