模擬戦
「な…なんでですか?」
ラグの頭の中は困惑していた。ゲイルの許可してくれたのに、マルスは「参加するな」と止められたからだ。それでラグはマルスに聞いてみた。
「ゲイルさんは討伐を許可してくれたが、俺たちは話し合って、ラグを討伐に連れていけないことにした。君みたいな子供を危険なことに巻き込みたくない」
とマルスはしっかりとした意見をラグに伝えた。
これを聞いて、ラグは何も言えなかった。
「ゲイルさん、すいません。やっぱり俺たち3人で討伐に向かいます。ラグ君は一人で旅をしていて、剣術を習っているとはいえ、俺たちはその実力は知らない。だから連れていけない」
とマルスはゲイルに謝罪した。
「とりあえず、ジン、リード、俺たちで行こう」
マルスは2人に出発の合図をし、
「おう!やってやろう!」
とジンは指を鳴らして、気合十分で、
「はい!マルス先輩行きましょう!」
とリードは忠実に返事をした。
マルス、ジン、リードの3人は門から出ようとした時…
「……ちょっと待って下さい!!」
とラグは大きな声を出して、3人を呼び止めた。
「なんだい?ラグ君?俺たちはそろそろいきたいんだが」
とマルスは足を止めて、ラグの方に振り向いた。
ジン、リードも足を止めた。
そこでラグはある提案をする。
「僕の実力が分からないですよね?でしたら、自分と模擬戦をしませんか?
もし、自分が勝ちましたら、討伐に連れて行って欲しいです。負けましたら、討伐の事、諦めます。
どうですか?」
と真剣な言葉で交渉する。
その交渉にマルスは
「ほお、面白い」
と交渉に乗った。それを聞いたジンとリードは
「おい!?いいのかよ!?」
「マルス先輩!?どうしたのですか!?」
と驚いた。
その交渉に乗った理由をマルスは素直に言った。
「少しだけラグ君の事を気にしててね。一人で平気で旅をしているし、剣術を習っていると聞いてね。どのくらいの実力があるか気になったんだ」
その理由を聞いた2人は納得した。
確かに平気で一人旅してる事で、ラグの実力はどのくらいあるのか、2人は興味を惹かれた。
そこで3人の意見は一致し、模擬戦をする流れとなった。
「では、マルス先輩、ジン先輩、この模擬戦、私がやります!」
とリードが自ら立候補した。
「彼は私と同じ剣使い、だからどのくらい剣を使えるのか見てみたいのです。あと、私も先輩程ではないのですが、かなり野獣と戦いました。その実力を彼に見せつけたいのです」
という理由をマルス、ジンに話し、2人には納得した。そして、
「リード、負けるなよ」
「俺たちの力、見せつけてこい!」
とリードに応援の言葉をマルスとジンは送った。
「では、ラグ君、この門の前でやりましょう。怪我しないように木製の剣を使いましょう。その剣は私が持ってくるので、待ってて下さい」
とリードは木製の剣を持ってくる事をラグに伝え、ラグは
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
と感謝の言葉を伝えた。