輝く月の下で
ラグは顔を後ろに回し、ガートとシャーレの方を見て震えだした。
ラグの今の状態が、近くに現れた野獣の頭を野獣の右腕に変えて、潰した状態だった。
ラグにトラウマが走る。
化け物、人に生まれなかった者、人殺し…
様々な言葉がラグの頭をいっぱいにする。
また言われるんじゃないか? 怖い
ラグは頭を潰した野獣を離して、一歩ずつ後ろに下がる。潰された野獣はピクリとも動かず、亡くなっていた。
(もう逃げよう…!!)
とラグはすぐに走り出そうとしたが、
待った!!
とガートの静止の言葉で一瞬、足を止めた。そして、ガートは意外な言葉を言う。
「ラグ君、無事で良かった…」
え?っとラグはガートを見つめたまま、唖然とした。
(この半獣の自分にありがとう?聞き間違えかな?)
とラグは可笑しいと思い、少し混乱した。
続けてシャーレが
「ラグ君、怪我はなかったかい? よく見せてみ」
と言い、ガートとシャーレはラグに近づく。
ラグはガートとシャーレが近づく事に対して一歩ずつ後ろに下がる。
「自分…半獣ですよ!? 人に生まれなかった者ですよ!? 危ないです!!」
と近づいてくる二人にやめてほしいという気持ちが出てくる。
あの温かい優しさは自分には必要ない
ラグはそう思って生きてきた。しかし、その優しさが今、迫ってきて怖くなる。
ガートが否定の言葉に対して言う。
「ラグ君、大丈夫だ 君は優しい子だ」
違う!! 違う!! 違う!!!
ラグは必死で拒絶しようとするが、体は言う事聞かずに動かなかった。
段々とガートとシャーレが近づき、ラグを抱きしめた。
「ラグ、大丈夫だよ 大丈夫」
とシャーレはラグの背中を擦った。
背中を擦られたラグは
「う…うわああああ!!」
と大声で泣き出し、ガートとシャーレに抱きしめた。
ガートとシャーレはうんうんと思い、ラグを強く抱きしめ返した。
月が美しく輝いてる下で、半獣の少年と老夫婦は抱きしめ合っていた。




