ラグの悪夢2
ある子供が一人の大人を殺してしまった。
この言葉だけだとありえないと感じる。しかし、その子供は半獣だった。野獣の力で初めて殺害をしたのだ。
その光景にその場の空気が重くなる。
ラグを踏み潰していた二人の大人は一瞬思考が停止したが、すぐに戻り、
「………ああああ!!」
と一人が怯えた声を上げ、腰が抜けて後ろに倒れて、もう一人はすぐにその場から走って逃げた。
一人の怯えた叫び声に、顔を伏せていた村人がどうしたか顔を上げて、今の現状を目に入った。
子供の右肩から生えている野獣の腕の爪は、見事に悪人一人の腹を貫いていた。貫いた爪の先にはその悪人の血がシトシトと音を立てて、地面に落ち、悪人は力を亡くして、ブラブラとぶら下がっていた。
その光景にその場の村人達は、目を見開いて、体が震え始めた。そして、
「……きゃあああ!!」
とその場にいた女性が恐怖の声を上げた。
その声にラグは意識を取り戻し始めた。
(あれ?…確か僕は…え!?)
と段々と意識をハッキリしてき、ラグは自分の右腕を見た。
いつもの腕とは違う感覚で、狼みたいな腕、それに鋭い爪が生えて、その爪であの悪人を突き刺していた。
突き刺した感覚がその腕から伝わってきて、生暖かく、グニョグニョした気持ち悪い感触がある。
それにラグは
「うわあああ!?」
と声を上げ、突き刺した野獣の腕を急いで引き抜き、亡くなっている悪人はグタッと落ち、ピクリとも動かなかった。そして、そこの地面は血が広がり始める。
ラグは動揺し始める。
何故いつもの腕が狼みたいな腕になっているのか?どうしてこんな事が起きたのか?
と頭の中がこんがらがり、精神が不安定になってしまった。
「もしかして…あの子供は半獣か!?」
と村人の一人が声を上げた。それに他の村人は凄く驚いていた。
(半獣…?)
ラグは精神が不安定になっていたが、その単語を聞き逃さなかった。
「半獣だ!早く殺せ!」
「早く武器を取るんだ!」
と村の中はパニックになり始めた。
ラグは自分が殺される状況になっているが、放心状態で動く事が出来なかった。だが、
「逃げるぞ!!」
とラグを抱えてもうスピードで走る者が居た。その者は、ラグの父親シャーロットだった。
ラグは何も感じられず、喋る事も難しい状態をシャーロットは見て、
「くそ!!」
とシャーロットは自身の不甲斐なさに苛立ちを覚えた。
シャーロットは半獣ではないが、鍛えられた筋肉で村からなんとか逃げ切ることが出来た。




