騒動の終わり
巨大野獣達を倒し、これでハース村は救われたと思われたが、ただいまハンター達全員とラグの間に不穏な空気が漂う。
ラグの野獣の一部を見たハンター達は、それぞれ武器を再び手にしたり、恐怖を抱いていた。
ラグ自身は顔を伏せて、暗い表情をしていた。
その空気は長く、時間を忘れ、誰も声を出すことは出来なかった。
建物の壁に座って休んでいたリードは、その空間をなんとかしようと自身の剣を杖の代わりにし、フラフラと立ち上がった。そして、声を出そうとしたその時に
「やっぱりラグ君は半獣だね… この人間になれなれなかった怪物が!! 早く村から出てけ!!」
と一人の男性の怒号が響いた。
その怒号にリード、ハンター達は一気に目を向けた。
怒号の正体はゲイルだった。
あの穏やかな村長のイメージだったゲイルが凄く怒っている姿に、リードとハンター達は驚いていた。
ラグは自身に向けた怒号を聞いて、一瞬体を震え、より暗い顔になった。
リードはふらつきながら、
「何故ゲイルさんがこちらに…?」
と疑問になっていた事を話した。その内容に対し、
「村人と避難していたが、あの怪物が建物の上を走りながらこの場所に向かっていたから気になって追ってきた」
とラグを怪物呼びにし、ゲイルは答えた。
ラグは怪物と呼ばれた事で段々と震えが強くなる。
ゲイルはラグに指を差しながら強い口調で
「あいつは人間として産まれなかった存在!それが半獣!見た目が人間だが、やがて野獣へと変わっていく。身体能力が野獣と同じように高く、野獣へと変わると、知性を失い、人々を襲うようになる!私達人間は生き残る為に、どんなに幼い半獣でも始末しなければならないんだ!!」
と半獣の特徴を言い、ラグを殺らなければならない存在としてその場のハンター達に聞こえるように伝えた。
その言葉にハンターの一人一人が、
「あれが半獣…」
「もしかしてあいつが村に野獣達を呼び込んだんじゃないか!?」
「だったら俺たちで始末しよう!!」
とそれぞれが怒り出し、武器を構え始めた。
リードは、ゲイルの言葉はそれが正しい事だと理解しているが、ラグはそんな危険な存在ではないと思っている為、葛藤し、行動できなかった。
ラグは自身に向けられた敵意と人間ではない事を言われて、心が痛み始める。
(早く逃げなければ…)
とラグは思い、今度は両足を野獣の姿に変えた。
それにハンター達は警戒をしたが、その警戒は必要なかった。
ラグは変化した両足に力を入れ、地面を蹴り、高く飛び上がった。それは村の壁を余裕で飛び越える高さで、そのまま村の外の森へと飛んで行った。
ラグが森へと行った事で、ハンターの一人は
「あいつ… 逃げたぞ!! 俺たちが勝ったんだ!!」
と声高く言い、喜んだ。それに他のハンター達も歓喜の声を上げた。
これでハース村の騒動が終わった。




