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半獣

この場の空気の音が静かになった。なぜ静かになったかは、ラグの右腕が野獣の腕に変化しているからだ。

その腕の変化にハンター達は思考が止まった。野獣達も同じ状態になる。

しかし、唯一1人だけ思考が動いてる者がいた。

(ラグ君… 君はやっぱり『半獣』なんだ…)

その者はリードだった。

なぜリードがこの衝撃的な光景に普通に居られるのかは、村長のゲイルから渡された本を読んだからである。


あの時、リードが半獣という本を読み終えて、ゲイルに質問した。

「何故私にこの本を渡したのですか?」

との質問にゲイルは顔をしかめて答えた。

「リードとラグの模擬戦を見た時に、ラグのあの人間離れした動きでもしかしてと思ってね。前に読んでいたその本と特徴が一致してると思ったんだ。

まだ決定的に半獣って決まったわけではないから安心して欲しい。ただ…」

とゲイルは途中で話を止めた。それにリードは、

「ただ?」

と気になって、話の続きを促した。

ゲイルは決心し、話の続きをした。


「半獣と分かった時には始末して欲しい」


と真剣な目でリードにそうお願いをした。

それに対してリードは

「……え?」

と困惑していた。何故あの優しい少年を始末するのかと頭の中がいっぱいになった。

「半獣は人になれなかった者であり、やがて野獣へと変化する… それが本当なら、ラグは始末しなければならない」

とゲイルはその本に書かれていた事を話し、ラグを始末するべきと考えていた。

それがリードにとって、どこか冷酷な部分を感じた。

リードが戸惑っている事を察したゲイルは

「あれは人間じゃない。 君なら始末出来るはずだ」

と声をかけた。それはリードに圧をかけているような言葉だった。その圧にリードは負けて、

「……分かりました。 やります。」

と歯切れが悪い返事を返した。

リードは願った。

  どうかラグ君が半獣でない事を


しかし、その願いが届かなかった。

ラグは自身の右腕を野獣の腕に変化させ、顔を下に向けながら、野獣達に迫っていた。


野獣達は迫ってくるラグに対し、先程まで戦った雰囲気とは違い、不気味な圧で震えていた。それはハンター達も同じだった。

ラグはまだ顔を下に向けながら、野獣達に歩み寄ろうとする。


2匹の野獣は体を震えているが、その圧に負けずに勢いでラグに飛び掛かった。すると、

ヒュン!!

と空気を切り裂く音が鳴った。そして、飛び掛かっていた2匹の野獣は、横に切り裂かれ、五等分に分かれた。

一瞬の事だったので、巨大野獣とハンター達は驚愕していた。

「やっぱり嫌だな… この腕…」

とラグは変化した右腕に付いた血を払った。

その血を見た巨大野獣とハンター達はやっと気付いた。

その変化した右腕の爪で、2匹の野獣を切り裂いた事を。


巨大野獣は初めて冷や汗をかいていた。それに対しラグは巨大野獣に向けて歩き続ける。

その時、一部のハンターはラグの顔を少しだけ見えた。その顔は野獣よりも恐ろしく、まるで獲物を見付けて狩るような人間ではない化け物みたいな顔だった。

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