ラグ
巨大野獣に一撃入った事により、その場の空気が変わった。
ハンター達はラグに対し、
「あの少年は何者だ!?」
「あの動きと力強さ……すごい!!」
と最初の不安だった気持ちが吹き飛び、絶賛の声が上がった。
巨大野獣達は、ラグを脅威の存在として認識し、警戒を強めた。そこで、
「オマエタチ! カカレ!」
と巨大野獣は2匹の野獣に指示し、それを聞いた2匹の野獣は、ラグに襲いかかった。
2匹の野獣はラグがいる建物に向かい、左右に分かれて、建物の壁を駆け上がり、ラグを挟み打ちにした。
それを見たハンター達は
三対一とは、なんてズルいんだ!
と思い、巨大野獣に対する恐怖がなくなり、ラグという新たな希望を潰される訳にはいかないと、自分達も加勢しようとした。しかし、
「これくらい大丈夫です!! 任せて下さい!!」
とラグは加勢しようとするハンター達を停めた。
それを聞いたハンター達は戸惑ったが、
もしかして、三対一でも戦えるのか!?
というイメージが出来、ラグを信じ、見守った。しかし、ラグの内心は
(2匹の野獣と巨大野獣… これはきついな…)
と思っていた。なぜ加勢してくれる事を断ったのか?
それは、
(これ以上誰かが傷つくなら、僕一人だけで充分だ。 誰かが傷つくのは見たくない…!!)
というラグの優しさもあり、自己犠牲の精神があった。
2匹の野獣はラグに対して、鋭い爪の突き刺し攻撃を息を合わせて当てにいく、そこをラグは冷静に対処する。その爪を剣で弾き、建物の上でなんとバク宙をし、攻撃を回避していく。
2匹の野獣の攻撃を見事に回避するが、ラグに段々と疲労が溜まっていく。
ハンター達に疲れ始めている姿を見せる訳にはいかない
とラグは気合で回避する。だが、少しずつラグに傷が付く。
ラグの頬、腕、横腹に掠り傷が出来ていた。
2匹の野獣のコンビネーションに翻弄されて、ラグは反撃が出来ないままだった。
ハンター達はラグが建物の上で戦っているので、今のラグの状態がよく見えなかった。しかし、ラグを信じ待っていた。
巨大野獣はボロボロになっていくラグを見て、
(ソロソロオワラセル…!)
と思い、ニヤリと笑った。
(何とかこの連携を止めないと反撃出来ない…!)
と2匹の野獣の攻撃を防ぎながらラグは考えていたが、
ヒュウウウン……
という何かが此方に飛んで来る音がした。それをラグはすぐに確認した。それは、
村のレンガの家、丸々一軒、ラグに向かって飛んで来ていた!
巨大野獣がその家を掴み、投擲したからである。
それにラグは驚いてしまった。その驚いた一瞬の隙をついて、2匹の野獣はそれぞれ、蹴りと殴りでラグに攻撃を当てた。
それは見事にラグに当たり、ラグを飛ばす。
「うっ!!」
と回避出来なかった事により、ラグは強い痛みを食らいながら、飛んで来る家の方に飛ばされる。
巨大野獣が投擲した家と2匹の野獣の攻撃を食らい、飛ばされるラグを見たハンター達は
「何が起きてんだ!?」
「え!? あのままだとぶつかる!」
とパニックを起こしていた。そして、
ズガァァァン!!
と何かと何かが衝突した音が響いた。
それは一人の少年と一軒の家が衝突した音だった。
ラグは投擲された家に防げずに当たり、地面に向かって落ちていく、その上には半壊した家がラグを押し潰そうと同時に落ちる。
その瞬間を見たハンター達はそれぞれ、口を抑えたり、目を見開いたりしていた。
巨大野獣は笑顔で見ていた。これで勝った事を確信していたからだ。そして、
ドン!! ガラガラガラ……!!
とラグが地面に落ちた上に、半壊したレンガの家がバラバラと降り注ぐ。
そこでハンター達は
(もう終わりだ… )
と自身の持っていた武器を手から落とし、野獣達は
カッカッカッ!!
と大きい笑い声のような鳴き声をした。
しかし、まだ戦いは終わってない事を誰もが知らなかった。




