報告
ラグとリードはゲイルの自宅の前に着いた。2人は報告しにゲイルの敷地に入る。その時、またラグは花の香りを嗅いで、不思議と疲労感が少し軽くなった。
(この花達は疲労回復効果もあるのかな?)
とラグは思った。
リードはこの花の匂いに慣れていて、花の匂いには気にせずに扉をノックし、
「ただいま戻りました。入られても宜しいでしょうか?」
と言った。そして、
「おかえり。どうぞ入ってきて」
とゲイルの声がし、2人はゲイルの自宅へと入っていった。
リードとラグはゲイルの仕事場に入った。そこでラグ達が見たのは、ゲイルの仕事用こ机の上に大量の本が置かれていた。それを見たラグは
(何か調べ物してたのかな?)
と不思議そうに思った。
ゲイルが2人が入ってきた事を確認して、
「お疲れ様。とりあえずそこに座って」
と来客用のソファーに2人が座るように促した。
ラグ達が座った後に、ゲイルはラグ達の対面のソファーに座った。
「では、討伐の話をしよう。いきなりだけどマルスとジンはどうした?」
とゲイルは思った事を2人に伝えた。それを聞いたリード、ラグは顔が悪くなる。特にラグは震えていた。
リードは震えているラグを見て、代わりに説明した。
「先輩方は殺られました…しかし、ラグ君は私がピンチの時に助けてくれて、一人で2匹の野獣を倒してくれました。」
と伝えたら、ゲイルは
「そっか… それは苦しかったね」
と暗い顔をした。まだ話を続ける。
「では、その討伐の証拠があるかな?」
とちゃんと討伐出来たかの確認の証拠を求めた。
それを聞いたラグは、急に体の震えが止まった。それは、
(し… しまった!?)
と証拠を取る事を忘れていて、内心焦っていたからである。しかし、リードは
「はい、こちらをどうぞ」
とバックから何かを取り出した。それは、ラグが倒した2匹の野獣の爪だった。その爪は鋭く長く、何でも貫いてしまう程である。しかも大きさは人差し指とほぼ一緒である。
それをなぜ持っているのかは、ラグが泣き止むまで側にいる時に、倒された野獣から剥ぎ取った爪である。
それを見たラグは
(リードさんって意外に器用ですごいな)
とリードの器用な一面を見て、尊敬の気持ちが出てきた。
その野獣の爪を見たゲイルは
「うん、これは野獣の爪だね。討伐してくれてありがとう」
と言うと、来客用の机に2人分のお金をリードとラグの前に置いた。また、
「今回の討伐は結構苦労したと思うから、前に手配した宿屋の宿代を無料にしとくよ」
と宿代無料というおまけを付けた。
それを聞いたラグは
「え! ありがとうございます!」
とソファーから立ち上がる程喜んだ。それを隣で見たリードは暗くなっていた顔が明るくなって良かったと思った。
これで報告は終わり、ラグ達はゲイルの自宅から出ようとした時、
「リード、ちょっと待ってくれないか?」
とリードはゲイルに呼び止められた。ラグはそれに気づかず、手配された宿に向かった。
呼び止められたリードは
「どうしましたか?ゲイルさん?」
と不思議そうにゲイルに訪ねた。ゲイルは一冊の本を取り出し、
「とりあえず、これを見てくれないか?」
とリードに渡した。
その本の表紙に書かれていたのは
『半獣』
というタイトルだった。