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答え

 ガートとシャーレの家に着き、ラグは二人にジナの事を紹介する。

 ただいまいつもの食事をする所で、四人は椅子に座り、真ん中に机がある。

 座っている並びは、ラグとジナで隣同士にし、ガートとシャーレはその対面で座っていた。


 ガートとシャーレは王族がいる事でまだ緊張しているが、ラグがなんだか思い詰めていた雰囲気がしていたので、緊張感よりも何故自分達に訪ねた事に気になっていた。


 「では、まずはこの娘の名前はさっき知っていますが、ジナ・ベーレ。王族です。しかし、この娘はとても苦しい生活をしていました。」

 とラグは話し始め、次の言葉を言う時は口が重く、とても話しにくかった。

 ラグはジナへ目を向けた。それにジナは気がついて、ラグに顔を向け、ラグの目を見た。

 その目はいつものジナと違って、何処か覚悟を決めた感じで、真剣な顔をし、話していいとラグにアイコンタクトをした。

 それにラグはジナのアイコンタクトの意味を気付き、安心しガートとシャーレの方へと顔を戻した。


 ガートとシャーレは、ラグが次の言葉を話す時、何故か迷っていたのを感じ、心配していたが、ジナとの見つめ合いをして向き直したら、ラグは迷いを吹っ切ったらしく、話す覚悟が出来たのをラグの顔で分かった。


 ラグは深呼吸をし、その時の空気はとても緊迫し、とても静かになった。そして、ラグは次の言葉を話す。


 「…ジナお嬢様は半獣なんです」


 その言葉は静かな空間を響かせた。

 ジナは覚悟をしていたが、やはり隠していた事を伝わるのがとても怖かった。

 もしこの事でガートとシャーレに怖がらせたら、とても居心地がなく、ここまで来た旅の理由が無駄になってしまうからだ。


 ガートとシャーレはラグが話したジナは半獣という事を聞いて、とても驚いた。

 見た目は普通で半獣だと分からなかったからだ。

 ラグは続けて話す。


 「ジナお嬢様は半獣と国王様は見ていて、外にはあんまり出さずに、国民には知らせないようにしてたんです。そして、ある日依頼でジナをヴァルカラ王国から出して、森の中で捨てるというのを僕が受けました。それを言われた時は、自分は王国様に怒りを覚えました。しかし、自分はお金が足りず、次の所へ行くために受けました。ですが自分は捨てる事をしたくなくて、ガートさんとシャーレさんならジナお嬢様を助けられると思い訪ねました。この考えは自分の一方的な考えだったので迷惑かけていると感じてました。しかし、このままジナお嬢様を自分の旅に連れて行く事になるので、そこまで連れて行くのは自分には出来ないです…ここまで来た理由が自己中心的な考えなのですいません!」

 とラグはここまで来た理由と自身の気持ち、自己中心の考えで来た事の謝罪をガートとシャーレに言い、頭を深々と下げた。


 ラグが話したのを聞いたガートとシャーレは顔を穏やかにし、優しい声で

 「ラグ君、そこまでしなくていいぞ」

 「ええ、頭を上げていいよ」

と、ラグに顔を上げていいと伝えた。

 それにラグは申し訳ない顔をしながら、顔を上げた。


 ラグが顔を上げたのを見た二人は優しく微笑んで、まずはガートが

 「ラグ君、頑張ったな。俺は大丈夫だぞ。」

と言い、次にシャーレは

 「私も大丈夫。ジナお嬢様も頑張ったね。」

とジナへ言葉を送った。

 ジナはシャーレから頑張ったねという小さな言葉だったが、その言葉はジナの心を温め、ジナは少し泣きそうになった。


 「うん、ジナお嬢様をここで生活させる為だよね?ラグ君」

 とガートはラグの考えに察して、その言葉を伝えた。

 それにラグは驚き、そして苦しくなった。しかし、ラグは気持ちを強く持ち、

 「……はい!」

 とはっきりした答えを出した。


 それを聞いたガートは、うんうんと頷き、そして、答えを出した。


 「うん、いいぞ」


 え…という感覚にラグはなり、唖然とした。それにガートはにっこりと笑い、

 「うん、大丈夫だってことだよ」

と伝えた。

 その言葉はラグの意識を戻すようになり、それは聞き間違えでない事が分かった。

 ラグは意識が戻り、そして、


 「……ありがとうございます!!」


 と感謝の言葉をガートとシャーレへ伝え、泣きそうになった。


 ここまで連れて来た理由は無駄にならず、ジナの為にできた事がラグは嬉しかった。

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