到着
ラグとジナはガートとシャーレが住んでいる家まで目指した。
ジナにとってこの道のりは初めての旅の始まりだった。
旅の始まりであったこそ、色んな経験をした。
まず火の起こし方、何処で休むかの土地の判断、どの食材が食べれるかの知識など、覚える事が多く、ミスをしてしまう事があったが、ジナは少しずつ覚え、段々と旅に慣れてきた。
あの日から2〜3日経った。
その日数が経過したお陰で、ジナの旅の知識がかなり培った。
「あとどのくらいですかね?ラグ樣?」
と一緒に歩きながら声をかけてくるジナ。
最初は動物を狩る時、動物の事を可哀想と思い悲しんでいた姿を覚えているが、今は冒険に必要な知識を覚え、冒険者らしい姿へと変わっていた。
それにラグは何処か感動を覚えていた。
ジナの質問にラグは
「確かこの辺にあるはず…」
と自身の記憶を思い出しながら進んでいた。
この辺という言葉を聞いたジナは、やっともうすぐ着くという言葉が出てきて、早くガート達に会ってみたいと思い、ワクワクしていた。
ラグとジナはどこまでも続く森を迷いなく進み続ける。
進み続けるとやがて森の開けた場所に着いた。
そこは…
少ししか経ってないが、懐かしい手作りの家があり、その側に薪置場もある。
こんな森の中に家が一軒だけある不思議な所だが、自然の優しさを感じられる家であった。
それを見たラグは、
(やっと着いた!)
と心の中で喜んだ。
そう、目的のガートとシャーレの老夫婦が住んでいる家にたどり着いたのだ。
ジナもその家を見て、
「あの家がラグ様がお世話になった家ですか?」
と聞いてきたので、ラグは気持ちが高くなりながら、
「はい!ここがそうです!」
と喜びを隠しきれずに答えた。
それにジナも無事にたどり着いた事で嬉しくなり、「やった!」と言い、少し飛び跳ねた。
早速ジナはその家へと向かうが、ラグは少し躊躇ってしまった。
あの時、置き手紙だけ残し、声をかけないで旅を再開したことによる罪悪感が出てきていた。
立ち止まっているラグを見たジナは、ラグの側に戻り、ラグの手を握った。
「一緒にいきましょう!」
とジナは言い、ラグを引っ張った。
引っ張られたラグは困っていたが、ジナの為にと思うと、今向き合える気がした。
ラグは引っ張られながら、ガートとシャーレになんて声をかけるか考えていた。