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時忘れの砂を求めて 〜僕の記憶を忘れる為の冒険〜  作者: ロロ
半獣のお姫様、ジナの過去
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感情の爆発

 ラグは驚いていた。それはジナの口から自身を捨てる為という依頼の本当の理由を知っているからだ。

 何故知っているのか?

 まさか何処かで聞かれたのか?

とラグは思っていたが、その内容はヴォルトと二人の時だけしか他の人は分からないはずと分析をしていた。


 ラグが懸命に考えていると、ジナの口から答えが出てきた。

 「わかってました…お父様はお兄様、お姉様だと優しく顔をしますが、私の場合は、何故か自分苦しそうな顔をしていたので」

 とジナは言い、その目から涙が少しずつ流れていく。

 それにラグは何も言えなかった。どう声をかけるか分からなかったから。


 ジナは急に涙が出てきた事で目を擦って涙を止めようとするが、一粒一粒と段々と流れていく。

 やがてジナは立つのが大変になり、姿勢を曲げ、気持ちが爆発した。

 「なんで…なんで私にだけ苦しい顔をお父様はするの…!! あんな顔はされたくないのに…!! なんで私だけ…!!」

 と苦しそうな声を出して、ジナは自身を傷つける。

 見ているラグは何も言えない自身を悔しく思い、ラグ自身も、なんでジナを立ち上がらせる言葉を言えないのだろうと、自分を責めていた。


 かなりジナは泣いていた。もう咳が出る程に苦しんでいる。

 ジナが泣いている間、ラグはどうすればいいか考えていた。

 (……もうこうするしかない)

とラグは思い、泣き崩れているジナへと歩む。

 ジナはとても呼吸がしにくく、過呼吸気味になっている。

 それは父親であるヴォルトがジナの事を避けているのを、少しながら思っていたけど、考えすぎだと自身で言いかけたが、本当に避けていた事が分かって、自分自身を傷付け、心を壊そうとしている。

 そんな状態のジナを見たくないラグは、考え抜いた事を実行した。それは…


 ラグは何も言わずにジナを優しく抱きしめた。


 そのラグの行動に抱きしめられたジナは目を大きくし、ラグの優しい温もりを感じ、より泣いてしまった。

 ラグは抱きしめながら、ジナの頭を撫でていた。

 ジナがより泣いてしまったのは、ラグの抱きしめた温もりで安心してしまったからだ。

 その結構、過呼吸気味にならずに、一定の間隔で呼吸をするようになった。

 それにラグは良かったと思い、ジナが落ち着くまで抱きしめたままだった。

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