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迫害

いつも読んでくださってありがとうございます!!

毎回夜になるけど、昼に投稿した方が良いのだろうか・・・

俺たちは魔族の軍団を倒した後、≪太陽の神殿≫に向けて歩みを進めていた。

と言ってもイーリスの≪空間≫があるので、だいぶショートカットで来ているが。

「改めて、≪空間≫って便利ね。汎用性も高いし、私も欲しいなぁ」

「ふふん、そうでしょう?世界中を探しても私くらいしか使い手がいないはずよ!」

ルーナとイーリスが談笑している。

この二人はここ数日で友人と呼べるくらいには仲が良くなっている

が、

「けど、お兄ちゃんは私の狐耳と尻尾が大好きだもんね~」

「ちょっ!達哉は私の方が好きなの!特に胸!」

ことあるごとに俺をめぐって争ってくることだ。

しかも俺の付近で。

イーリスは呪いのせいだが(・・・・・・・)、ルーナは見た目的に強く反対しづらい。

だから、俺は地蔵のように嵐が過ぎ去るのを待つというのが一番無難で良い方法だということに気が付いた。

「ハア・・・」

俺は幾度目か分からないため息をこぼした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば、ルーナ以外の獣人を見かけないな。他の種族はどこに行ったんだ?」

俺はそのことにずっと疑問を抱いていた、が、

「今も逃亡生活をしている者や、奴隷として魔族に連れていかれた者もいるわ」

答えはシンプルなものだった。

俺も想定はしていたとはいえ、当事者の口から直接聞くのでは重みが違う。

「狐人族以外の獣人は戦闘能力だけど、身体的に普通の人間よりも優れているもの。魔族からしたら、狐人族よりもお宝に見えたでしょうね。もっとも、そのせいで私たちは4種族から恨まれているんだけどね・・・」

最後に独白のような本音がぽつりと出た。

暗い雰囲気になってしまった。

俺がどうしようか考えていると、

「それで今どこに向かっているの?」

イーリスが機転を利かせて話を変えてくれた。

正直マジで助かった。

ルーナは俺たちの方に向き直り、そして、

「今私たちが向かっているのはグレン温泉よ!」

さっきまでの暗い表情から打って変わって喜色に満ちた表情で言った。

「温泉?」

「温泉!!?」

イーリスは大口を開けた魚のように食いついた。

そういえば、イーリスは温泉好きだったな。俺もだけど

「そう!グレン山脈で獣人しか見つけられない神聖な温泉よ。だから、生き残った獣人もそこに集まっているはずよ」

「じゃあ、狐人族も?」

「狐人族はそこには入れないわ。4種族が立ち入りを禁止しているもの」

「え?じゃあ入れなくね?」

「ところがどっこい、私とイーリスがいれば入ることもできるわ!」

「え?私?」

突然、指名されてイーリスは驚いた。

「何する気なんだ・・・?」

にんまりとするだけのルーナに若干嫌な予感がした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

グレン温泉というのは太陽の神殿がある山の麓、もとい谷底にある。

だから、俺たちは山を下っている。

「それじゃあ行きますか!」

「なんでそんなに元気なんだよ・・・」

俺はルーナの作戦を聞いて頭が痛いっていうのに・・・

「なあ今からでも考え直さないか・・・?」

「「嫌よ!」」

こんな時だけ声をそろえやがって・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

下っていくと、うっすらと霧が出てきた。

ルーナの言ったとおりだった。

「じゃあ私に捕まってね」

ルーナは俺とイーリスの中心で俺たちの手を取った。

歩いていくと、どんどん霧が濃くなっていく。

「前が全く見えないな」

「本当ね。ねぇルーナ、本当に道は合ってるの?」

「当たり前よ。昔、何度も来てるし、間違えるはずがないよ」

とはいっても俺もイーリスも全く前が見えないのだ。

頼りになるのはルーナのみだからルーナが大丈夫と言ったら大丈夫だと信じるしかない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1時間ほど歩いただろうか。

俺たちは何も見えない中を歩いているため、正直死ぬほど怖い。

「ルーナまだなの・・・?」

イーリスは不安そうにルーナに訊ねるが

「もう少し」

「それさっきも聞いたぁ」

実際、その会話を数十回は聞いているので、俺の方もだんだんしんどくなってきた。

「本当にもう少し・・・!!!見えた!!」

「え!?どこどこ!?」

「何も見えないけど・・・」

俺もイーリスも全く見えない。しかし、徐々に霧が晴れてきた。

すると、目の前には巨大な門が見えた。

「ようこそ!ここがグレン温泉よ!」

ルーナはそう言うが、まだ俺たちには門とその後ろにそびえたつ(・・・・・・・・・・)どでかい山しか(・・・・・・・)目に入らなかった(・・・・・・・・)

「ルーナ、あの山・・・さっきまで存在してた(・・・・・・・・・・)()?」

今まで歩いてきて全く視界に映らなかった。

しかし、グレン山脈の中で一番でかい山だ。

「あそこに≪太陽の神殿≫があるの。視認するにはどうしてもここを通らなければならないから、温泉もついでに入ってしまおうってわけ」

「なるほど・・・」

獣人以外の人間や魔族は≪太陽の神殿≫に向かうためにはここを通らなければならない。

≪魔族≫が躍起になって、ルーナを捕えようとしていたのはそれもあったのかもしれないな。

などと俺が真面目に考えていると、

「じゃあ作戦開始ね!」

「ラジャー!!」

「もう少し真面目な空気を保たせてくれ・・・」

そして、温泉に入るために作戦が実行された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

門の前にいる門番を確認して、俺たちは隠れた。

門番は熊の特徴を持つ熊人族と犬の耳を持つ犬人族がいた。

「すげえ、ルーナ以外の獣人を見れるなんて、感動だぁ~」

俺は異世界ってすげぇと感動していると、

「お兄ちゃん!グズグズしないで!」

「じゃあ行くわよ」

イーリスが≪空間≫の窓を開く。

そして、俺たちは門をショートカットして、

いきなり温泉に落ちた(・・・・・・・・・・)

「うお!!」

「なんだ!!」

「なになに?」

俺たちは空中から温泉に落ちたので、当然注目の的になってしまった。

「ぷは」

俺たちは温泉から顔を出す。

すると、

「こらこら君たち、温泉に飛び込むのはダメだよ」

「そうそう、けど、犬人族なのに飛び込む(・・・・・・・・・・)ほど温泉が好きだ(・・・・・・・・)なんてねぇ(・・・・・)。珍しいこともあるもんだ」

鳥人族と猫人族の人たちが俺たちを困ったのように見ていた。

「すいません!お騒がせしました!」

周りは笑い声で包まれていたが、俺たちはすぐに温泉を出た

そう、俺たちは周りから犬人族に見られれていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ね!うまくいったでしょ!」

「本当だな・・・」

俺たちは全員犬人族に見られていた。

だが、俺たちは変装のスキルなど誰も使えなかった。

しかし、

「私の力が覚醒するとこんな感じになるんだよ」

狐人族は例外的にグレン温泉に入ると、力が解放されるらしい。

===============================================

ルーナ レベル:30

≪職業≫:≪炎の巫女≫

≪スキル≫:冷炎+ 炎魔法強化+ 霧操作 魔力自動回復

===============================================

俺たちは温泉に飛び込むことで、覚醒したルーナの霧操作を使って俺たちを犬人族のように見せることに成功した。

俺たちにはその≪スキル≫がかかっていないので、本人に見える。

一か八かだったが、なんとか住人をだますことに成功したらしい。

「そ・れ・よ・りぃ、ねぇ達哉ぁ~」

「何・・・?」

「私の身体を見て何も感じないのかしらぁ?」

ルーナの身体が成長しているのだ。

しかも若干俺よりも身長も高く、大学生くらいの色気を放っていた。

イーリスはさっきから驚きすぎて声が出ていない。

「なっ、なっ」

「さあ!それより俺は男湯に行くから後で外で合流しよう!じゃ!」

俺はここにいたら危険だと思って、即時非難を選択した。

「待ちなさい」

ルーナに手を引かれた。

「何?」

「男湯って何なの?温泉はさっきのところにしかないよ?」

「「え?」」

俺とイーリスは声が揃った。

「じゃあ、行きましょう、お兄さん(・・・・)

俺は成す術なくルーナに手を引かれて混浴の場に連れていかれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

男なら一度は夢を見たであろう混浴。

しかし、実際に入ってみると、羞恥心で女性の裸体を見るなんてできない。

だって童貞だもの!

俺は数日ぶりの風呂でしっかり身体を洗った後に岩陰でひっそりと誰にも見えない位置で温泉を楽しんでいた。

しかし、背中に柔らかい感触が二つ当たっていた・・・

「ルーナ、やめー」

「私なんだけど」

イーリスだった。正直ルーナの印象が強すぎて、イーリスのことを忘れていた。

しかもルーナと勘違いしたせいで、不機嫌だ。理不尽。

「罰としてしばらくこのままでいなさい!」

俺は背中に当たるメロンのせいで、理性が崩壊寸前。だが、

「呪いが酷くなっているのか?」

努めて冷静に返す。決して何かやましいことをしているんじゃないと言い訳をしながら。

「そ、そうよ!最近ルーナがいたから中々接触できなかったじゃない///だから呪いを我慢するのが辛くて・・・///」

何か言い訳じみた感じに聞こえるが、呪いの話で辛いと言われたら、断ることなんてできない。

「ハア・・・5分だけだぞ・・・」

「うん!えへへ///」

なんかイーリスが可愛いんだけど・・・いかん!煩悩退散!

しかし、神は俺を見捨てた。比喩抜きでアルブは本当に俺を見捨てたけど・・・

「お・兄・さ・ん、お背中、はもうイーリスが取っちゃってるから、前に失礼」

「ちょっ、ルーナ!!」

ルーナが俺の股の間に座ってきた。

綺麗な背中・・・!じゃなくてっ

「ん、何か固いものが当たってー」

「っ~~~~~~~////もうこんなところにもういられるか!!俺は出る!」

「「達哉!!」」

二人が俺のことを呼んでくるが精神衛生上ここにいてはよろしくない!!

俺は風呂をダッシュで出ることにした。

が、

「あ」

途中で滑って頭を打ってしまった。

「達哉!!大丈夫?」

「今のは痛いわね・・・大丈夫?」

風呂は走っちゃダメだった・・・

俺はそんなことを考えながら完全に気を失った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ん、んん~」

目を覚ますと、知らない天井だった。

そして、

「大丈夫・・・?」

イーリスとルーナが覗いてくる。

もう温泉の効果が切れたのか、ルーナの見た目は小さくなっていた。

「平気だよ」

ふぅ~と2人がほっと息をつく。

「ちょっと悪ふざけが過ぎちゃった・・・ごめんね、お兄ちゃん・・・」

ルーナの尻尾と耳がしなだれている。

今回は本当に反省しているらしい。

「いいよ。次、気を付けてくれれば」

「!!うん!」

「それより、今どこにいるんだ?後、どれくらい気絶してたんだ・・・」

「ここは医療室よ。さっきの温泉のね。たまに達哉みたいに転んで頭を打つ人がいて、それ用にベッドが置いてあるんだって。後は寝てた時間だけど、2時間くらいよ」

「そうか、ありがとう」


ぐ~~~~~


俺の腹から恥ずかしいくらいの音がなった。

イーリスとルーナが笑って、

「いい時間だし、ご飯を食べよ」

「いいわね。私もお腹がペコペコよ」

俺たちは医療室から出て、ご飯を食べにいった。

余談だが、ルーナは温水を飲んでも覚醒するらしい。

今は水筒に温水をいれて、俺たちに≪霧操作≫で犬人族に見せている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

食事をとりに外に行くと、屋台が多く並んでいて、活気づいていた。

「凄いわね!!」

イーリスは目をキラキラと輝かせていた。

「本当、戦時中とは思えないな・・・」

それくらいに活気があった。

俺たちの声が聞こえていたのだろう。

「そりゃ嫌なことを忘れるためさ」

近くで屋台をやっていたおばちゃんの犬人族が答えてくれる。

「忘れるため?」

「あんたら新人だろう?よくここまでたどり着けたねぇ。さっきの質問だけど、言ったまんまさ。ここにいる人たちはみんな魔族と狐人族のせい(・・・・・・)心に傷を負ったものたちばかりだからねぇ」

「っ」

ルーナが何か言い返したい衝動に駆られているがすんでのところで我慢した。

「・・・狐人族もですか?彼らはグレン山脈の守人ではなかったのですか?」

「・・・あんたら妙なことを聞くね。狐人族は戦いもせずに逃げて(・・・・・・・・・)きた臆病者だろう(・・・・・・・・)?」

「え?」

戦いもせずだって?この人たちはスルトと狐人族が戦ったということを知らないのか・・・?

「こんなことグレン山脈に住む者なら誰でも知ってる。あんたら何者だ?」

犬人族のおばちゃんが俺たちに疑念の眼差しを向けてくる。

「私たちは生まれが魔族領なんです・・・親が奴隷で・・・私たちはそこから逃げてきたんです」

イーリスが咄嗟に機転を利かせた。

「なんだい!!そんな大変な目に合ってたんかい!それなら一尾だけ銀ケサをプレゼントしてあげるよ!」

俺たちの境遇を知って、おばちゃんは気前よくしてくれた。だから俺たちはそこで夕飯を調達した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

グレン温泉の中央には木の椅子や机があった。

酒を飲むもの、歌を歌う者、飯を食べるもの、違う種族たちが思い思いに楽しんでいた。

俺たちは情報取集もかねて耳をこらして聞いていた。

内容はすべて反吐が出るようなものだった。

「あいつら本当にクソだよな。≪太陽の神殿≫に居座るだけで何もしないしよぉ」

「全くだ。魔族に拷問されても4種族に関することだけは口にしなかったけど、あいつらの居場所だけはほいほい吐いたわ。そしたら解放されたし、結果オーライだったわ(笑)」

俺は目線を上げる。そこには

「っしゃーブル!」

「くそ!おれは尻尾の先を狙うぜ!」

「無理無理!目玉を狙った方がまだ確率が高いぜ!」

ダーツのような遊びをしている鳥人族たち。

しかし、的は狐人族の身体を表していた。

他にも狐人族を蔑む音楽、物語、ダンス・・・すべてに反吐が出た。

「最悪の気分だわ・・・」

同感。

「仕方ないよ。事情を知らなければ狐人族を恨むよ。無力な狐人族を捌け口にする(・・・・・・・・・・)のは当然だよ(・・・・・・)

ルーナは悲しい笑顔でそう答えた。

しかし、俺にはこの状況に覚えがあった。

今のルーナは過去の俺だ。

山本たちに好き勝手言われて、周りのクラスメイト達もそれを信じて俺をイジメた。

痛いほどわかる。今のルーナの気持ちは。

真実を伝えてもかき消される気持ちは・・・

けど、

「イーリス、ルーナごめん」

「え?」

「ちょ!達哉!?」

俺は自分に≪魔剣≫を当てて、ルーナの幻術を解いた。

そして、

「バキっ!!!!!!!!!!!!!!」

≪黒鍵≫でテーブルを叩き斬った。

周りの喧騒は一瞬で消えた。

そして、一斉に俺の方を見た。

「何で人間が」

「どうしてここに?」

静寂は一瞬。そして、ざわさわと俺の方を見た。

「どうも負け犬、負け猫、負け熊、負け鳥の皆さんこんにちは。同じ傷を舐め合って生産性のないことをやっている途中に申し訳ありませんね」

おれは慇懃無礼な態度で恭しく言った。

「あ?今何か言ったか?」

「負け犬とか言ってたと思うんだが」

「負け鳥とも言ってた!」

「なんだ人間の癖に!」

徐々に俺に対して、怒りをぶつけてきた?

「ああ?魔族には勝てないからって、力の失った狐人族(・・・・・・・・)のせいにしている(・・・・・・・・)雑魚(・・)がお前らだろう(・・・・・・・)?」

周りの4種族は全員ブチ切れた。

俺に対して石を投げるやつも出てきた。

「達哉、もうやめて!もう十分!」

不幸なことにルーナの≪霧操作≫が切れてしまったらしい。

「おい!狐人族がいるぞ!!」

「捕まえろ!!」

「あの人間もだ!!拷問してやれ!!」

俺たちに対して、怒りの矛先が向けられる。

が、

俺は≪黒鍵≫のみねうちで一瞬で5人ほどの腕自慢をのした。

また静寂が起こる・・・

「おい・・・今何が起きた?」

「あいつらはグレン温泉の番付で上位にいるやつらだぞ・・・?」

ざわざわしだす。

俺は、

「いい加減見て見ぬふりをやめろ。お前らだって本当は気が付いているんだろう?狐人族が何かと戦って(・・・・・・・・・・)いたことを(・・・・・)

俺の言葉に黙り込む4種族。

だが、自分たちの正当性を証明しなけらばならないと腐った頭で考えているようだ。

「もういいよ達哉・・・」

ルーナが俺の袖を引っ張ってくる。

そして、イーリスも俺の元に来て、≪空間≫を使って姿を消した。

「き、消えた?!」

人間2人と狐人族が突然消えた。

しかし、この3人を認識していなかった喧騒は元にはもどってこなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺たちは≪太陽の神殿≫に向けて、最後の登山を目指した。

だが、もう夜なので寝ることにした。

あれから追ってもくる気配がない。

空を見ても、鳥の一匹も見えないので、俺は一安心した。

しかし、ルーナはあれから一言もしゃべらず寝てしまった。

俺は見張り番をしている。

けど、

「いつまで狸寝入りしてるんだ?」

俺はルーナに向かって話しかけた。

「いつから気づいていたの?」

「最初から」

「そう・・・」

ルーナは俺の真隣に座ってきた。

「達哉、さっきはありがとね」

「気にすんな。俺がやりたいからやっただけだ。むしろごめんな。グレン温泉を追い出されて・・・」

「そっちこそ気にしないで・・・」

コテンと俺の胸に頭を預けてくる。

そして、

「達哉、わだじ、ぐや、じい」

ルーナは唇から血が出るほど嚙みちぎっていた。そして、目から涙が一筋出ている

「なんで!!!なんで!!!私たちがこんな目に合わなきゃいけないのよ!!!!私たちはいつもいつもこの山を守ってきた!!他の4種族が平和に暮らしていたのだって私たちのおかげ!!感謝されることはあっても、迫害を受ける理由なんてない!!!!」

俺は黙って聞いていた。

「辛い辛い辛い辛い、辛い!!!お母さまもお父さまも目の前で殺されて独りぼっち!!!それなのにどいつもごいづも私をイジメる!!なんでよ!!!わたしは戦った。私たちは戦った!!あの大きくて強すぎる神の使い魔を相手に!!!!」

俺は黙って聞く

「もうづらいよぉ。死にだ、い、でも、あいづらも死んで、ほじ、い!!け、ど、わだじが死んだ、ら仇が、どれないのぉ、ヒッっグ」

俺はルーナの慟哭を黙って聞いていた。

「みんな死んじゃえ、死んじゃえ、死ん、じゃ、え・・・うわああああああああん!!!!!」

俺は本当に聞くしかなかった。その一言一言を胸に刻みつけながら・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「・・・落ち着いたか?」

「うん・・・」

ルーナの目は赤く腫れあがっていた。

「ごめんね、見苦しいところを・・・」

「大丈夫だよ。むしろ、ルーナのことがもっと理解できてよかったよ」

ルーナはまた俺の胸にしがみついてきた。

すると、顔を上げ

「ねえ、達哉?」

「ん?」

「何であそこで庇ってくれたの?」

そんなの考えるまでもない。

友達なら当たり前だろ(・・・・・・・・・・)?」

かつて薫はこうやって僕を助けてくれていた。だから、今度は()が返す番だ。

「ズルい・・・」

そのまま俺の胸にしがみついたままだったが、ルーナの身体はグレン温泉よりも温かくなっていた。

「ハア~」

達哉の背後で銀色の髪の少女は一人、ため息をこぼしていた。

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