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ヨルムンガンド戦1

いつも読んでくださってありがとうございます!

俺たちは≪サウンドタートル≫を倒して、≪冥王の玉座≫に向かって歩みを進めた。

一度、まぐれでヨルムンガンドを退けたとはいえ、やはり恐ろしいものは恐ろしい。

神経が高ぶっているのだろう。

一歩一歩、踏みしめる草や折れた枝の音、そこかしこから聞こえてくる猛獣の鳴き声。

日の光が差し込まなくなる樹海が地獄への街道のように思えてますます恐ろしくなった。

「恐ろしいな・・・」

俺はポツリと弱音を漏らしてしまった。慌てて口をふさぐ。

先導しているイーリスは振り向かないで

「当たり前よ・・・私だってできることならこんなところに来たくなかったわ」

と言った。

イーリスも内心は怖いらしい。よく見てみると手が震えているのが分かる。

さっきの神業をぶっつけ本番でこなすくらいだから、イーリスには怖いものがないと思っていた。

しかし、内心は俺と変わらないらしい。

「馬鹿だなぁ、俺は(ボソっ)」

「何か言った?」

イーリスだって一人の女の子だ。だから、俺は心の中で薫に謝った(・・・・・・・・・)

「何してんのよ/////」

「何ってビビっているようだから、手を握ってやっているんだよ」

俺は初めてイーリスの手を自分から握った。

震えている女の子を放っておけるほど、腐っていられなかった。

「大丈夫。俺たちは負けない」

「達哉・・・」

「それとも俺たちが負けるとでも思っているのか?」

イーリスが俺の手を力強く握り返してきた。そして、不敵に笑った。

「そんなことはないわ。あんな大蛇、わたしと達哉が組めば敵じゃないわ!」

いつもの声のトーンが元に戻った。

良かった元気は出たみたいだ。

イーリスから手を離そうとすると、中々話してくれない。

「そ、そのありがと///毎日一人で不安だった・・・一生ここから抜け出せないかもしれないって・・・」

イーリスが初めて不安な心情を吐露した。

「こんなところで一生を終えるくらいなら死んでやろうかと思ったわ。勇気が出なかったけどね・・・」

自虐的に笑う。

「けど、達哉と出会って希望が持てた。ここから出るために達哉を利用してやろうっていう打算も確かにあった」

俺は黙って聞く。

「だけど、ここで出会えたのが達哉でよかったわ」

イーリスは太陽のような笑顔で俺にそういった。

≪冥王の玉座≫に近付くにつれて薄暗くなる≪奈落の樹海≫の中でイーリスの笑顔はまさに太陽だった。

「・・・俺も出会えたのがイーリスでよかったよ」

俺も本心を伝える。照れ臭かったが、イーリスが打ち明けてくれたんだ。俺も本心を伝えなければイーブンにならないだろう。

そして、イーリスが手を叩く。

「よし、この話は終わり!行くわよ!」

「おう!」

俺たちは絶対に負けない。ヨルムンガンドを倒して、薫の元に戻るんだ!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昨日の夜の作戦会議中

『ヨルムンガンドの特性を教えておくわ。もっとも達哉には必要がないと思うけどね』

『特性?』

『そう。ヨルムンガンドの皮膚は分厚い魔力で覆われているのよ。だから、魔力を使った遠距離攻撃をしても全くダメージを受けないの・・・』

『だから、物理でダメージを与えて倒すのがセオリーだった(・・・・・・・)

『≪大王樹≫か・・・』

『そう・・・ヨルムンガンドは魔法のダメージをほとんど受けない。かつ、物理で戦おうにもダメージを一瞬で回復されてしまう』

つまり物理も魔法も通じないチートの権化のような存在だ。

元の世界のゲームでそんなモンスターが出たら炎上ものだろうな。

けど、

『こちらには≪魔剣≫がある(・・・・・・・)。≪大王樹≫は魔力を回復できない。だから、達哉、貴方が切り札よ』

俺は無言で頷いた。

『私が引き付けるから、『魔剣:飛式』で狙撃を頼んだわ。何があっても当てて。それができなければ私たちの勝てる可能性はゼロよ』

『・・・OK』

『よし、これで防御におけるチートは把握できたわね?それなら次は攻撃面の話を伝えておくわ』

『攻撃と言ったら、あのマグマのブレスを放ったり、あの巨体を活かして突進してくるやつとかか?』

『そうね。それが主な攻撃よ。だけど一番厄介なのはそれじゃないのよ。達哉も食らったはずよ』

『俺も・・・あっ、あの身体が動けなくなるやつか!!』

『そうそれ。あれはヨルムンガンドの皮膚から発生している毒を吸いすぎたことが原因よ。無味無臭だから攻撃されていることにすら気が付かない。正確な数字は出せないけれど、ヨルムンガンドを中心にして、大体10mほど付近には確実に効果が及ばされるから気を付けてね』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ヨルムンガンドの特性を思い出してみたが、どう考えてもチートだった。

現在俺とイーリスは別行動している。

イーリスは正面からヨルムンガンドをおびき寄せ、俺が狙撃をするという作戦だから近くで固まっていると不味い。

俺はヨルムンガンドの背後から近づいて、『魔剣;飛式』を放ちたい。

そんなことを考えながら≪冥王の玉座≫があるという≪大王樹≫を見るが、≪王樹≫とは比べ物にならない大きさだった。

あの根元にヨルムンガンドがいる。

俺はダッシュで向かった。


しかし、背中に死の気配を感じた。

「っっっ!!!」

俺はとっさにかがんだ。

俺の首めがけて毒が放たれていた。そして、毒がかかった箇所がドロドロに溶けていた。

しかも一発だけじゃない。

何発も頭上から放たれた。

雨のように何発も何発も放たれた毒をすべて躱して、追撃が終わった。

「ハアハア、一体なんだったんだ?」

俺は頭上を見上げた。

すると、上には5mほどの大蛇が木に巻き付いていた。

「こんな時に!!!!」

俺は焦燥勘から悪態をついてしまう。

俺がヨルムンガンドの元に行こうとしているのを阻んでいるように見えた。

恐らくヨルムンガンドの僕であろう。

そんなことを考えていると、毒を放ってきた。

「無駄だ!」

俺は≪魔剣≫で叩き落とそうとしたが、咄嗟に引いた(・・・・・・)

これは魔力を帯びていない(・・・・・・・・・)

そして、蛇本体に意識を向けてみるが、魔力を感じられなかった。

つまり、こいつはただの獣だった

「≪黒鍵≫がなかったら完全に詰みだったな!」

ここにいないイーリスに感謝しつつ、どう倒すか策をめぐらす。

しかも今回は早く倒すことが求められている。

俺は頭上からの攻撃を避けながら、倒す方法を考えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「久しぶりね、ヨルムンガンド」

私は≪冥王の玉座≫でヨルムンガンドと向き合っていた。

ヨルムンガンドは何の用だと言っているようだった。

「別に。私もそろそろこのクソ辛気臭い樹海に飽き飽きしてきたのよ。私を開放してくれる気はない?」

「シュルル・・・」

「そう・・・なら貴方を倒すしかないようね・・・」

イーリスから魔力が膨れ上がった。

ヨルムンガンドも鎌首をかかげて、戦闘態勢に移った

(達哉、信じてるわよ!)

今はここにいない達哉を信じながら、イーリスは一人戦闘に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「超邪魔だな!おい!」

上からの攻撃だから、≪黒鍵≫では届かない。

そして、唯一の遠距離技である『魔剣:飛式』は相手に魔力がないと通じない。

だから、なんとか近づかなければならないのだが、木の上では物理的に不可能だ。

地上をダッシュで走っても木の上をつたって追いかけてくるのだ。

こいつを連れてヨルムンガンドの元に行っても狙撃などできるはずがない。

「シャ~」

大蛇からは余裕を感じられた。

「舐めやがって・・・」

俺は悪態をつくが今は何もできない(・・・・・・・・)

「急がば回れか・・・」

俺はチャンスが来るのを待つことにした。

俺はイーリスを信じて予定を変更して、長期戦に臨んだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(ちょっと達哉、どこで道草を食っているのよ!)

≪空間≫を使って、ヨルムンガンドの突進を回避し、ありったけの攻撃魔法をぶつけた。

「≪攻撃魔法強化≫があるから私の魔法は相当強いはずなんだけど・・・」

魔法で起きた煙が晴れると無傷のヨルムンガンドがいた。

「流石に無傷は私のプライドに傷がつくわ・・・」

苦笑しか出なかった。

達哉が来ないと何もできないというのはわかっていたが、ここまで現実をまざまざと見せつけられると辛くなる。

今、ここにいない達哉について考えられることは①逃げた②何か良からぬアクシデントが起きた。

前者に関しては論外だ。あの家を出た時点で私たちには死か脱出しかない。

それに私は達哉を信じている。

残るは後者だ。もしかしたら、≪サウンドタートル≫以外にやっかいな敵に当たっているのかもしれない。

だとすると、私は

「できる限り時間を稼いで、達哉が狙撃する時間を稼ぐ!!」

私は勝つことよりも回避と時間稼ぎに魔力を使うことにした。

けど、猛攻をずっと逃げ続けるのは不可能だ。

(5分!それ以上は無理よ!)

私はここにいない相棒にそう念じた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

よし、計画通りだ。

「よっと」

毒が放たれるが、躱す。

直線的な動きはもう慣れている。

「そろそろか・・・」

俺の狙い通り、あの蛇は毒を放ち続けている(・・・・・・・・・)

そして、時が来た。

大蛇が乗り移った(・・・・・・・・)木が折れかかった(・・・・・・・・)

「シャ!!!?」

「よし!」

俺は長期戦に方針を変えてから、何度も何度も同じところを回って逃げていた。

そして、毒を放たせる場所(・・・・・・・・)も誘導した(・・・・・)

この蛇の毒は地面も溶かすほど強力だ。

だから、同じように木の根元で毒を放たせた。

そして、一発じゃ折れない木も何度も食らっていたら折れかかる。

「今だ!!」

俺は折れかかった木を≪黒鍵≫を使って横薙ぎに叩き斬った。

そして、落ちてきた大蛇の首に≪黒鍵≫をぶち込む。

大蛇は首と胴体が離れて絶命した。

そして、俺は息つく間もなく、≪冥王の玉座≫を目指した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ハアハア」

俺は一直線に≪大王樹≫を目印に、≪冥王の玉座≫の元に向かった。

≪冥王の玉座≫に近付くにつれて、爆音や木が倒れる音が聞こえる。

イーリスが戦っているのだろう。

「間に合え!」

俺は心臓がバクバク言っているのを無視して、最高速度で走る。

そして、目的地に着いた。

荒れ果てた≪冥王の玉座≫の前で無傷で佇むヨルムンガンドと、


血まみれのイーリスが倒れていた。

今日中に頑張って『ヨルムンガンド戦2』を出そうと思っています!

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