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樋口薫side2

朝起きたら指が筋肉痛でした。指専用のマッサージ器とかないのかな・・・

「ハア~」

「・・・大丈夫?」

「はい・・・先生こそ平気ですか?」

「ヤバい。日頃の運動不足がこんなところで祟ってくるなんて・・・」

私と音無先生は王宮を抜け出して、達哉君の捜索に出た。

フードを深く被り、音無先生の≪付与≫の魔法で見た目を変えている。

王宮で最高戦力である≪剣聖≫の私、そして、異邦の勇者の中で唯一の大人である音無先生が消えたので、相当数の追手が来るとは思っていたが、今のところ追手迫ってくる感じはしない。

あの人の言う通り(・・・・・・・・)ですね」

「ん、とにかく信じるしかない」


私たちは現在グレン山脈に向かっている。

この世界は強力な魔物が多く生息する≪奈落の樹海≫を中心に東西南北で国ある。

まずは、南にロザリア王国。

ロザリア王国に向かい合うように北に魔族のフロスト王国。

西に人魚たちが住むカルシ湖。

そして、最後に私たちが向かっている東のグレン山脈だ。

グレン山脈は少数だが屈強な獣人が多く生息している。

ただし、カルシ湖とグレン山脈の人魚や獣人は十数年前から魔族がロザリア王国を攻めるための拠点とするために、半ば植民地化してしまっている。

グレン山脈に向かっているのは達哉君の捜索はもちろんのことだが、協力者に依頼されたものを取りに行くという任務があるからだ。

「もう二週間以上経っているのに遠すぎる・・・車が恋しい・・・薫ちゃん、おんぶして」

「しっかりしてください先生。もう少しで麓に着きますから」

私と音無先生は一緒に生活しているうちに仲良くなった。お互いに読書好きで好きなジャンルがダブっていたので、仲良くなるのに時間はかからなかった。

何より、ここまでの道中、素人の私たちにとっては結構な修羅場を二人で乗り越えてきたことが功を奏したのだろう。

魔獣との遭遇はもちろんだが、女の二人旅なので盗賊に数えるのもめんどくさいほど狙われた。

けれど幸いなことに私たちはこの世界の人間に負けることはないほど強い異邦の勇者だ。

そして、私たちは殺した(・・・)

今でもあの感触は残っている。

最初は吐き気を催し、夢の中でリフレインしたが慣れてきた。

生きるため、達哉君を見つけて元の世界に戻るためにやるしかなかった。

そこは音無先生も同じなのだろう。生徒に殺しなどやらせたいと思っていなかったようだが背に腹は代えられないといった感じだった。


「それさっきも聞いたよぉ・・・」

愚痴をこぼしながら音無先生はちゃんと歩いてくる。現在の音無先生は物凄くだらけた感じで全く頼りになる感じがしない。

しかし、実際に2週間以上走っているのに着かない

ハアと息をついて私は音無先生をおんぶすることにした。確かにこっちの方が効率が良い。

「しっかり捕まっててくださいね」

「ん、≪付与≫はかけてあげるから任せて」

≪剣聖≫の私は勇者の中でもスペックが高い。そして、音無先生の≪付与≫は能力を底上げしてくれる。

私は音無先生をおぶって駆け抜けた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ありがとね」

「いえ、適材適所だと思います。こちらこそ≪付与≫をありがとうございました」

日が暮れる前に運が良いことに村を見つけた。

私たちはそこの宿に泊まることを決めた。

野宿を覚悟していたので、嬉しいことだった。

「それにしても村が見つかってよかったですね」

「ん、全く」

「私は明日達哉君の目撃情報がないか聞いてみます。もしかしたら近くにいるかもしれませんので。後後は色々と情報収集をしてきます」

「なら私は旅に必要なものをそろえておく。特に回復薬の類が尽きかけてるのはまずい」

「そうですね。お願いします」

私たちは明日やるべきことを確認して休息に入った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ふう~」

私は今風呂に来ている。風呂は好きだ。疲れがとれて、余計なことを考えなくて済む。

しかし、浴場は嫌いだ。

なぜなら、私の唯一のコンプレックスが他人の目に触れてしまうからだ。

しかも

「ん、いいお湯」

隣に巨大な物体を浮かせている音無先生。

私は、普通の人よりも、いえ、すいません。女性の中でもかなり小さい方だ。

「ハア~」

「どうしたの・・・?」

音無先生が心配そうにこっちを見てくる。

「いえ・・・」

こっちを向いたときに揺れるメロン。正直、羨ましすぎて唇から血が出そうである。

「そう、何か苦しそうな目をしている・・・もしかして、今日のおんぶが負担になりすぎたとか・・・?」

確かに背中に敗北感を味わっていたが、それは無心になることで事なきを得た。

ただこれ以上心配させるのも忍びないし、相談してみようかしら。

もしかしたら、大きくできる術を教えてもらえるかもしれない。

「あの、音無先生、その・・・」

「ん」

本気で生徒を心配している顔をしているから逆に言いづらくなった。

こういう時は勢いよ!

「おっぱいってどうやって大きくできるんでしょうか///?!」

「は??」

予想外すぎて、音無先生は顔が固まっている。

面白いくらい間抜けな顔を晒している。

「あの、もう一回言ってもらえる・・・?」

「胸をどうすれば大きくできるんですかと言ったんです!」

聞き間違いじゃなくて安心した半面、質問が斜め上すぎて驚いてる。

一瞬の静寂

「ええと、私は特に何もしていない・・・」

「そ、そうですか」

神は死んだ

「大丈夫。大きさは重要じゃない。バランスが大事」

「クソが!!」

「ひっ!!」

音無先生が滅茶苦茶おびえていた。

目の前でプルンと揺れる音無先生のブツに殺意が湧いてしまった。

「すいません、失言でした・・・」

「こっちもごめんなさい。不用意な言葉をかけてしまったわ」

謝罪されて余計につらくなった。この温泉に大きくする効能でもないかしら・・・

一瞬の静寂

「久保君なら胸の大きさなんて気にしないと思うよ・・・」

私がそれを気にする一番の理由はそれだった。

そう、達哉君が大きいのが好きだった場合私は死ぬ。

というか、辛すぎる。

もしそうだったら達哉君を殺して私は死ぬ!

「それにもし大きいのが好きだったとしても、揉んでもらえば良いと思う・・・異性に揉まれると大きくなるなんて言うのはよくある話」

「それよ!確かに揉んでもらうのを失念していたわ!仮に巨乳好きだったとしても、半殺しにして記憶を消してから私色に染めればいいんだわ!」

音無先生の半殺しにするのかよ・・・というツッコミは口から出ることはなかった。教師としてこんなことを教えるのはいかがなものか・・・

「ただ何かしら。この胸のざわつきわ。何か大事なものを取られたようなそんな感覚が止まらないのよね・・・」

知らんがな・・・

音無先生は愚痴を言いつつ、達哉が胸が小さいのが好きなことを祈った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そういえば達哉って巨乳と貧乳どっちが好き?別に気になってるだけよ?」

イーリスは意味わからんデレを発動しつつ聞いてきた。

「巨乳」

「へ、へえなら私がピッタリじゃない!この変態!」

クネクネしながらイーリスは俺を罵倒してくる。

嬉しそうだ。

俺は感情を消して答えたが、背中に殺意を当てられて気がした。

(何か地雷を踏んだ気がする・・・)

近い将来これが原因で死にかけるのだがそれはまた別のお話。

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