弱さが人を殺すのだから
漁師の歌が聞こえるようなタワーの下で
よそ見しながら歩いた日は
遠くに置いてきた優しさと一緒に
杖を突いて歩く人を避けるように
人だかりにできた空洞
老いた母の背を見るようで辛い
三十ワットの傘の下で見た
あの日々の
オレンジ色の
暖かさ思い出して
空を仰ぐ
夕闇が迫る街で早く帰らなきゃと
家路を急いだ夏の日
なぜ
こんなにも
悲しいんだろう
たった一人でもいいから
一緒に泣いてほしい
過去に戻れるのならば
行こうゆこう
前に行こう
振り返らないで
生きてゆくために人であることを
あきらめたのだから
弱さが人を殺すのだから
僕は強くなりたい
強くなりたい