第一話 始まりはいつもそう。
※2020/08/05付けで改稿。
※2020/08/06付けで改稿。
………そして世界は動き出す。原始の存在は幾刻かの思考を経てまずはこの漆黒であり虚無である空間の把握に努める。
この空間は事実上ほぼ無限に広く感じるただただ何もない、光すらもない虚無の空間だった。原始の存在が無限に近しいようなエネルギーを生成、保持出来てもこの空間をエネルギーで満ち溢れさせるにはいささか、というかかなり足りないだろう。
この空間を支配する法則は決まってはいるものの言ってしまえばその満ち溢れるエネルギーで法則の書き換え、上書きすること自体は可能だ。だが、わざわざすでにある程度揃ったものが用意されているのに書き換える必要がないと判断したようなので、特に書き換えることはなかった。
そしてもう一つ。原始の存在が生成、保持するエネルギーは完全に純粋なエネルギーとして貯蓄されているので変換にも無駄がない。エネルギーとしては最高峰だろう。そしてそれを利用し、空間のごく一部を完全に仕切り、分割、隔離する。これに使用したエネルギーはかなり普通に考えれば多く感じるかもしれないが、なにせ他の比較対象もない上にそのエネルギーの持ち主はあまりエネルギーを減らしたように感じていないのだから驚きだ。
区切られた、否、隔離された別空間は普通は何をしようと衝撃などを含めてすべて吸収するので通過、反射、破壊は不可能だ。純粋なエネルギーのロスなしで変換された完璧物質なのだから。
ちなみに色はついていない、というよりかは吸収してしまうので光があっても吸い込まれるだけ。つまり暗黒。
それと原始の存在は法則関係ない活動が可能であるため、これの通過や破壊は簡単である。もちろんこれを意に介さず場所を歪めて、というより歪める必要もなくどこにでも行ける。
そして隔離された別空間には活動の開始と同じく刻み込まれた情報を元に1からエネルギーを変換して様々な組成の物質を組み立てあげ、それをかなりの量解き放つ。そして解き放ち、何かが起こるまでその記録を蓄積することにしたようだ。
◇◇◇
結果から言うと中心に一つの重く高密度なものが生まれ、それは重力と光、温度という概念を誕生させた。そしてその周りにはその残りカスのような物質が集まり、中心の物質には及ばないものの、いくつかの集まった物質が生まれ、それぞれ違う地点に居る。中心の物質に引きつけられる形でその地点にいるのだろう。重力という概念の影響だろうか。それ以外の集まらなかった物質はそこらじゅうを漂っているようだ。
一方で光が生まれ、全てとは言わないもののある程度の姿形をわかりやすく照らしてくれる。そして光と同時に色という概念も生まれたようだ。
中心の物質はかなり明るく"赤い"ようだ。なぜこう呼ぶかはわからないがこうなのだろう。そしてかなりのエネルギーを放出し、"熱い"。ただ、この物質をエネルギーに再変換するには無駄が多いようだ。
それと中心の物質は純粋なエネルギーに少しは近いようで実態はあるけれどすり抜けれる、つまり"液体"や"気体"と呼ぶべきものに似ているようだ。このような中心の物質のことは恒久的に光るというところから"恒星"などといった呼び方が良いのだろう。
一方で中心に生まれなかった別の物質は中心の恒星とは違い、自身では光もせず、熱を発せず、中心の恒星からの光で明るく照らされ、中心の恒星からの熱で温まっている。
この中心にはない別の物質は中心の恒星に動かされ、光も熱も発せず、惑い続けているように見えることから"惑星"とでも呼んでおこう。
この惑星には2つの種類があるようだ。一つは硬い物質でできた触ったり立ったり出来そうな"固体"と呼べそうな状態の惑星。こっちにこの種類の惑星をエネルギーに変換するにはエネルギーが必要で、それを取り出すと更にエネルギーが減ってしまうためエネルギーの変換には完全に向いていないだろう。
そしてもう一つ。中心の天体に似たような"液体"や"気体"と呼べそうな状態の惑星である。こっちのこの種類の惑星をエネルギーに変換するには中心の恒星とまではいかないが、確実に固体の種類の惑星よりエネルギー変換がしやすい。そんな感じだ。
そして惑星の周りを回る物質。これは惑星を小さくしたようなものだ。これは惑星になることができなかった物質が集まり、惑星の重力というもので回っているようだ。惑星より軽く小さい。そしてどうやら固体の物質が主となっているようだ。
この物質は液体や気体で作られるにしては形が崩れて惑星に落ちていくようだ。もしくは温まっていないことで固まって固体になるようだ。エネルギー変換に関してはこれも固体の惑星と同じだ。
※この恒星系は形だけなら太陽系と似ています。それと、どこにでも行けるから。といってもそれはあくまでも完全掌握された地点のみです。